処刑獣キルキャットは、文字通りネズミを見つけた猫のように若手俳優を追い詰めた。若手俳優が悲鳴をあげても誰も聞こえない……。そのときだった。「そこまでよ!」今度は拷問魔法少女がやってくる。 #dda第六話 1
2013-03-12 22:24:40「きたわね、拷問魔法少女」メグミはくっと低く笑う。「でも、今日はあんたたちのほうが目的だったんだ」青い衣装で金髪の少女が名乗る。「間違った拷問は許せない! 愛と平和を夢見る暴力! ファンタスティックドリラーみふゆ!」 #dda第六話 2
2013-03-12 22:25:05拷問魔法少女同士がぶつかると、「拷問空間」が発生する。一対一、それ以外の他者の侵入を拒む特殊結界だ。ミフユがハンドドリルを構えて高速で突っ込んでいくと、拷問空間が発生してアヤネを捕らえた。 #dda第六話 3
2013-03-12 22:25:29「アヤネ!」と、異常を察して慌てた声をあげるチナミ。そのチナミには、メグミの処刑獣キルキャットがぶつかっていく。凄まじい体当たり。超重量級の一撃。それに吹っ飛ばされて、チナミの体は近くにあったビルのコンクリートに深々とめり込む。 #dda第六話 4
2013-03-12 22:26:00「ひっ!」と怯えた声をあげて、しかしそれでもスクールエスケイパーせりかは自分の武器……まじかるブルーレイディスクを構えて、インドの古武器、チャクラムのように投じた。数枚のディスクが処刑獣の体に突き刺さるが、致命傷にはならない。 #dda第六話 5
2013-03-12 22:26:45「拷問空間」のなかで、ファンタスティックドリラーみふゆとドゥームズデイあやね。魔法少女同士の戦いが始まる。先手をとったのは、ミフユだ。ハンドドリルを回転させて、アヤネの腹部を突く。内臓がこぼれそうになったのを、アヤネは咄嗟に回復魔法でふさぐ。 #dda第六話 6
2013-03-12 22:27:17「いつまで回復魔法が間に合うかにゃー!?」ところで、ミフユは可愛い声で言った。「どんな世界にも、無限のエネルギーなんてものは存在しないんだよねっ!」 #dda第六話 7
2013-03-12 22:27:59ミフユはドリルでアヤネの右上腕部を突いた。一瞬でその先端が骨まで届いて、歯医者のような音が鳴り響き、焦げた臭いが周囲に広がる。同時に鮮血も噴き出す。アヤネの口から「ぎッ!」と苦痛の声が漏れる。「ぎゅいーん! ぎゅいいいんー! キリキリキリ!」 #dda第六話 8
2013-03-12 22:28:54アヤネの上半身をドリルで攻撃しながら、ミフユはアヤネの腹部に「まじかる前蹴り」を打ちこんだ。魔力によって強化された打撃が、アヤネの体を吹き飛ばす。浮いた体が、拷問空間の境界障壁に激突。魔力と魔力が反発して盛大に火花が散る。アヤネの体が焼ける。 #dda第六話 9
2013-03-12 22:29:03「拷問空間の障壁がリングロープみたいに働く……まるでプロレスの電流爆破デスマッチね」苦痛に耐えて、アヤネは不敵に笑った。「けっこう楽しいじゃない。大仁田厚になった気分よ」 #dda第六話 10
2013-03-12 22:29:43「無傷ってわけじゃないのに余裕があるんだにゃー、すっごーい!」ミフユは歓声をあげた。「妖精から正規拷問魔法少女の話を聞いて、ずっと会ってみたかったんだよね。ドゥームズデイあやね、グラップラーちなみ、スクールエスケイパーせりか……」 #dda第六話 11
2013-03-12 22:30:15「みんな、それぞれ悪を憎む『理由』があるんでしょ? 過去にひどい事件に巻き込まれたことがあるんでしょ? 姉を殺された、好きな女の子を虐待された、おばあちゃんをひき逃げされた……わたしにはそういうの、全然ないの」 #dda第六話 12
2013-03-12 22:30:56ミフユは続けて言う。「わたしはお金がほしいだけ。自分の居場所がほしいだけ。『立派な理由があって戦う』人間よりも、『大した理由もないのに戦う』人間のほうが強いと思うんだな、わたしは」 #dda第六話 13
2013-03-12 22:31:16「だってそうでしょ? そんなドラマチックな『理由』があるんなら、誰だってかっこよく戦える。わたしにはそういう『ドラマ』はない。何もなくても、人は生きていかなきゃいけない」 #dda第六話 14
2013-03-12 22:32:06「理由がないから、わたしは正規の拷問魔法少女にはなれない。悪を憎んでいるわけじゃないしね。そのかわり、妖精テロリストの『いんちき』によって、わたしはこうして力を手に入れることができた」 #dda第六話 15
2013-03-12 22:32:35