仮面ライダーW Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー 『チャプター3・訪問者S/強敵凶悪脱獄囚』
「来人が作ったガジェットに、”ドーパント体内のメモリのサーチ機能”を加えておいたわ。これを使えば、メモリだけをピンポイントで叩く事ができる」52 #WR
2013-03-22 15:33:20特に変わった様子のないバットショットをまじまじと見つめ、翔太郎は大丈夫なのかとシュラウドに問うが、彼女は何も答えず首を縦に振る。 彼女が良いと言うのならそれで良いのだろう。翔太郎は深く考えずカメラを上着の中にしまい込んだ。53 #WR
2013-03-22 15:34:10「助かるよシュラウド。けど、一つだけ聞かせろ。何故お前が俺たちに協力する?」 彼女は暫しの間を置いて寂しげな口調で答える。「私はあの子を、来人を救えなかった。だからせめてあの子の願い……、あの子の大好きだった街を守りたい。……親としての罪滅ぼし。エゴと言ってもいい」54 #WR
2013-03-22 15:37:22翔太郎は複雑な面持ちでシュラウドを見つめた。正直な所、彼女のことは嫌いだ。”母親”という一番近しい存在でありながら、彼女は自分にフィリップの事を任せて消えた。 その身勝手さ、息子が消滅するという事実から逃げたことを、翔太郎は密かに心の中で根に持っていたのだ。55 #WR
2013-03-22 15:39:35だが、今はそんなことはどうでもいい。 街の平和を脅かす者から街を守る。理由は違えど目的に違いはない。だからこそ翔太郎は凛とした表情を作って言葉を返す。 「分かった。後は俺たち仮面ライダーに任せな。フィリップの大好きだったこの街は、何があっても絶対に守る」56 #WR
2013-03-22 15:41:10翔太郎はシュラウドに対し、心配するなと微笑みかける。 この先どうなるかはまだ分からない。だが今はそれが最善だと思ったからだ。 彼女もそう感じていたのか、何も言わずに再び首を縦に振る。57 #WR
2013-03-22 15:42:09「さて……、と。行こうぜ照井、亜樹子。もういっぺん奴らを刑務所送りにしてやろう」 「勿論だ。俺たち仮面ライダーの手でな」 「うん、うん。あたしも張り切っちゃうぞぉ」 打倒・脱獄凶悪犯を掲げ、決意を新たにした翔太郎たちだったが、彼に届いた着信が皆の言葉を遮った。58 #WR
2013-03-22 15:44:43ディスプレイには、『エリザベス』という名前が躍っている。風都の学生事情に詳しい、街の情報屋の一人だ。 「もしもし? なんだよエリザベス。何かあったのか?」 「――もしもし翔ちゃん!? 大変だよぅ大変なんだよう!」先の亜樹子と同じく、電話口の声は恐怖に震えている。59 #WR
2013-03-22 15:45:45「落ち着けエリザベス。何があったか説明してくれ」 「――でも、だって、だってぇ」 「――もう。あたしが代わるからケータイ貸して。もしもし?」 あたふたと声をまごつかせるエリザベス。すると、電話口の声が落ち着きある声質に変わった。もう一人の学生情報屋『クイーン』だ。60 #WR
2013-03-22 15:47:20「その声、クイーンか。何があったか教えてくれるか?」 「――うん。今ウインドスケールの風花支店前に来てるんだけど、見たことないヤバそうなドーパントが暴れてるの。警察じゃ相手になんないし、それより何より、しきりに翔ちゃんを出せ出せって言ってて聞かないの」61 #WR
2013-03-22 15:49:07「……風花支店前だな。分かった。すぐに向かうから待ってろ」 電話を切った翔太郎は、すぐさま照井と亜樹子に事の次第を伝える。 「さっそくビンゴだ。ウインドスケールの風花支店前に一体。俺を狙ってるドーパントがいる」 「了解した。潰しに行くとするか」62 #WR
2013-03-22 15:51:03翔太郎の報せに、両の拳を突き合わせ戦意を高揚させる照井。しかしそんな高揚を、亜樹子の素っ頓狂な顔と声が掻き消した。 「ちょ、ちょっと待って二人とも! シュラウドが、シュラウドがいないよ!」 「あぁ? 今は放っておけよ。いつものことだろ」63 #WR
2013-03-22 15:52:14「そうだ亜樹子。やることが終わればどこかへ消える。いつものシュラウドだ。問題ない」 「いや、でも、でもっ……」 「それに、今問題にすべきことはシュラウドなんかじゃ……ねぇよな照井」 「あぁ、まったくもってその通りだ、左」64 #WR
2013-03-22 15:53:37二人は険しい顔つきで事務所の扉の先を見つめる。そこにはごわごわとした天然パーマに黒縁眼鏡、ぼろぼろになった囚人服を身に纏った不気味な男が立っていた。 「見つけたぞ、左翔太郎ォ……。あの時のウラミぃ、今ここで晴らすぅぅぅううう」65 #WR
2013-03-22 15:54:57「左、あの男は……まさか」 「調書は見たろ? 裏サイトで”必殺仕置人”を名乗って人を襲い、その様子を漫画にして描いてた野郎さ。それと……」 窓から外の様子をちらと見る。見えにくいが茶色い土埃が舞い、爆煙が上がっている。遠方から爆音と銃撃音らしきものも聞こえてきた。66 #WR
2013-03-22 15:56:28「照井、あいつはあいつで手強いが……、任せていいか?」 「任された。お前は行け」 「あぁ。そうさせてもらう……、ぜッ」 翔太郎は伊刈が反応するよりも早く、事務所の窓を突き破って外に出、ハードボイルダーに飛び乗って現場に向かった。67 #WR
2013-03-22 15:59:14「待てッ! このまま逃がすかっ」 「待つのはお前だ。そこの漫画家。仮面ライダーが狙いなら、俺が相手をしよう」 「誰だよお前は! 邪魔するんじゃねぇ」 「邪魔なのは、お前だッ」68 #WR
2013-03-22 16:00:05伊刈の声に照井は少し口元を歪ませ、バックルを取り出して腹部にセット。アクセルのメモリを起動させつつ口を開いた。 「仮面ライダー……アクセル!」69 #WR
2013-03-22 16:01:05