大学での美術教育における美術理論教育について齋木克裕氏(@ka2saiki)と加治屋健司氏(@kenji_kajiya)のやりとりを中心に

2012年12月にMoMAから「From Postwar to Postmodern, Art in Japan 1945-1989」が出版されたことを契機にした、日本の大学での美術教育における美術理論の教育について、齋木克裕氏(@ka2saiki)と加治屋健司氏(@kenji_kajiya)のやりとりを、そこからの派生ツイートと共にまとめました。 参考:加治屋健司氏の大学院の授業での使用文献→http://d.hatena.ne.jp/kk392/20130408
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Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki はい、全員スタジオアートの学生です。日本画、油絵、彫刻、デザイン、工芸の、主に修士一年です。

2013-04-09 00:48:12
齋木克裕 @ka2saiki

なるほど、すばらしい。大学によっても異なるのかと思いますが、理論的なことをやったことがないという話を最近若い人から聞いたので、どうなってるのだろうと思ったのです。やっているところはやっているんですね。 @kenji_kajiya

2013-04-09 00:54:11
齋木克裕 @ka2saiki

日本の現代美術の議論も学生のときに読めるといいですよね。もの派あたりのこととか知らないとミニマルアートとの違いも説明できないだろうし。 @kenji_kajiya

2013-04-09 00:55:44
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki 日本の戦後美術は、作品や研究をもとに私が講義をしたり、担当者を決めて発表させることが多くて、当時の批評を全員に読ませる形式の授業は難しいんです。文脈を知らないと読めない文章が多いので。鶴見俊輔と中平卓馬はうまくいきましたが、中原佑介は少し難しかったです。

2013-04-09 01:07:47
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki もの派で言うと、文脈が共有されていない現在、当時の批評だけだと論点がくみ取れなくなっているので、発表の担当者を決めて、当時の批評だけでなく、『もの派 再考』をはじめ主な研究を一通り読ませて発表してもらうほうが、うまくいくんです。

2013-04-09 01:18:46
齋木克裕 @ka2saiki

文脈を知らないと読めないけれど、文脈を知るためには読まなければならないという、卵が先か…的な話ですね(笑)。たしかに授業ですべてやるのは時間的にも難しいのかもしれませんが、必読文献のリストの共有くらいは出来るといいですよね。 @kenji_kajiya

2013-04-09 01:21:01
齋木克裕 @ka2saiki

議論を理解するのに、当時の文献にあたるのが必ずしもいいというわけではないということですね。それは納得です。ただ、議論の存在自体を知らないでアートをやっている人も多いのかなという印象を受けます。 @kenji_kajiya

2013-04-09 01:25:52
齋木克裕 @ka2saiki

そういう意味で先日、加治屋さんらがだされたアンソロジーのような書物が、みんなに共有されるといいのかなと思ったのです。やはり日本語版の出版は難しいのですかね。あと大学を超えて教員間で授業内容のすりあわせや共有があるのかどうかということも気になります。 @kenji_kajiya

2013-04-09 01:30:39
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki そうなんです。議論の概要は私が話してしまうほうが早いんですよね。ただ、早く了解した議論は早く忘却してしまう傾向があるので、やはりある段階で当時の文章をじっくり読んでもらいたいんですよね。

2013-04-09 01:37:39
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki 大学を超えた授業内容の共有は基本的にないですね。でも、それは、大学によってカリキュラムや理論系教員の役割が異なるから仕方ないところもあります。それで、他に何か文献がありましたら、いつでもお知らせいただければと思います。齋木さんに限らず、他の方でも!

2013-04-09 01:45:01
齋木克裕 @ka2saiki

まあ、そうですよね。文献は挙げ出すときりがなさそうですが、先日もツイートした『作者の死』を含むバルトのいくつかの著作は、学生のうちに読んでもらいたいかなと思います。写真関連でいえばクラウスの『指標論』は外せないように思います。 @kenji_kajiya

2013-04-09 02:32:15
齋木克裕 @ka2saiki

というわけで、加治屋さんが広島市立大学で持っているスタジオアートの学生向けの授業で、学生が読む文献のリストはこちらです。僕も未読のものが数本あります。共有します。 http://t.co/O5Zf8BmYby

2013-04-09 02:41:48
QMRSN(くまさん)🌱 @marumovich

@ka2saiki こちらもよろしければ、現在マスターのカリキュラムで使っている、スタジオワークとリサーチの関連付けについて扱った本です(より実践向き)。卑近の例(D.ホックニーのカメラルシーダについてのリサーチなど)も取り上げていて、学生さんにはお勧めできると思います。

2013-04-09 02:59:22
QMRSN(くまさん)🌱 @marumovich

@ka2saiki すみません、肝心のリンクを忘れていました→http://t.co/JA3HWQhLtW

2013-04-09 03:01:46
齋木克裕 @ka2saiki

こちら、内容的はアンソロジーとなっているのでしょうか?UKの大学で教科書的な位置づけの本ですか? @marumovich

2013-04-09 03:04:10
QMRSN(くまさん)🌱 @marumovich

@ka2saiki はい、アンソロジーではないですがコラム的にチャプターに関連した実例が盛込まれてます。制作とリサーチの近代以降の歴史的な経緯を踏まえ、アートをアカデミズムの中でどう位置づけ定義&評価すればいいか?という問題を一貫して扱ってますので、教育サイドにとっては重要かと

2013-04-09 03:22:42
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@marumovich はじめまして。教えていただいた本は面白そうだったので注文しました。私の大学では理論が教養教育的な位置づけなのですが、本当はこういう実践的な授業がしてみたいです。 @ka2saiki

2013-04-09 18:28:23
QMRSN(くまさん)🌱 @marumovich

@kenji_kajiya はじめまして。90年代の技術<理論の傾向(?)への反省から、制作プロセスをアカデミックなリサーチとして捉え直す方法論を説いています。個人的にはアートを学問として捉える難しさが滲み出ているようにも読めたので興味深かったです。

2013-04-09 19:21:52
齋木克裕 @ka2saiki

メディア論関係疎いのですが、視覚文化論方面だとジョナサン・クレーリーあたりも入りますかね? @queequeg @kenji_kajiya

2013-04-09 03:11:09
齋木克裕 @ka2saiki

たしかにアーティストを目指しているスタジオアートの学生向けということだと、やり過ぎな気もしますね。 @queequeg @kenji_kajiya

2013-04-09 03:22:19
齋木克裕 @ka2saiki

加治屋さんのセレクトを基本として、扱うメディウムや表現分野ごとにプラスアルファのような感じが良いのかもしれませんね。 @queequeg @kenji_kajiya

2013-04-09 03:25:30
流 麻二果 @manikanagare

@kenji_kajiya @ka2saiki これだけの文献を読み砕く機会があるなんて羨ましいですね。彼らはその線上に自分の制作を置いてみたりしているのか気になります。日本の大学は制作と講義が切り離されている印象が強いので。そんなに多くはないけど学生と接すると未だ感じます。

2013-04-09 14:22:29
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@manikanagare そうですね、切り離されていますね。でも、自分の制作のなかで理論のことを考えようとする学生も、多くはないですが、いることはいます。 @ka2saiki

2013-04-09 18:41:36
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki お返事遅くなりました。バルトは昔「第三の意味」を使ったことがあるのですが、今回はストレートに「作者の死」「作品からテクストへ」を入れることにしました。ありがとうございます。

2013-04-09 18:02:52
Kajiya Kenji 加治屋健司『絵画の解放 カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』発売中 @kenji_kajiya

@ka2saiki クラウスのインデックス論は画期的な論考だとは思うのですが、インデックス概念とシフター概念の意図的な重ね合わせがあまりうまくないし、何よりも、インデックスは70年代よりも50年代後半の特徴だと思うので、躊躇してしまうんですよね。

2013-04-09 18:10:50