ヘイトスピーチ規制法についての考察

Bong_Leeさんのツイートをまとめました。
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ぼん @Bong_Lee

というわけで日々下劣なヘイトスピーチが展開されているわけなのですが、ここしばらく「ヘイトスピーチ規制法」の是非などが議論として起こっております。仮に成立する場合、違憲ではないのか、という意見を(ギャグちゃうで)友人のM・Kさんより頂戴しましたので長いけど転載します。

2013-04-16 23:15:44
ぼん @Bong_Lee

ヘイトスピーチに科料などの刑罰を科すという法律を制定し、X・Yらに適用することの違憲性 一 法令違憲について 1  まず、ヘイトスピーチの定義が明らかでないため、その文言が漠然とし不明確ゆえに憲法31条に違反し無効ではないかが問題となる。

2013-04-16 23:16:06
ぼん @Bong_Lee

(1)この点、一般にヘイトスピーチとは、人種や民族・性的志向などある属性を有する集団に対し、おとしめたり暴力や差別をあおる侮辱的表現を行うことと定義されている。

2013-04-16 23:16:21
ぼん @Bong_Lee

この定義に従えば、ヘイトスピーチを規制する法の目的は、その属性をもつ集団全体の誹謗や差別をあおることを防止し、その集団に属する特定個人の社会的評価を保護することにあると考えられる。

2013-04-16 23:16:48
ぼん @Bong_Lee

(2)このように解すると、通常の判断能力を有する一般人は、具体的場合に当該行為が当該法の規制対象となるかならないかを判断することができる。たとえば、「米国が嫌い」という表現は、その対象が特定の属性を有する集団ではなくかつ単なる個人の好き嫌いであり侮辱ではない。

2013-04-16 23:17:35
ぼん @Bong_Lee

そのため、通常の判断能力を有する一般人ならば、本問法律の適用対象ではない表現であると分かる。

2013-04-16 23:17:48
ぼん @Bong_Lee

(3)したがって、本問法律の文言は、漠然不明確といえないため、憲法31条に違反しないと考える。

2013-04-16 23:18:02
ぼん @Bong_Lee

2  次に、発言者の表現の自由(憲法21条1項)を侵害し、違憲無効ではないかが問題となる。 (1)ヘイトスピーチも表現の自由として保障されるが、「公共の福祉」(憲法13条後段)による内在的制約を受ける。   そこで、違憲審査基準が問題となる。

2013-04-16 23:18:17
ぼん @Bong_Lee

(2)この点、本法律は表現内容に着目した内容規制であるために、厳格な審査基準により判断すべきようにも思われる。

2013-04-16 23:18:58
ぼん @Bong_Lee

しかし、表現の自由に優越的価値が認められている趣旨は、それが自己統治・自己実現の価値をもち、民主主義に資すること、一度侵害されると民主制の過程のなかで回復することが困難であること、思想の自由市場を認める必要性にある。

2013-04-16 23:19:17
ぼん @Bong_Lee

そうであるならば、このような価値が認められず、むしろ民主制を害する可能性の高い表現について、厳格な審査基準を用いる必要性はない。

2013-04-16 23:19:32
ぼん @Bong_Lee

(3)本問が規制対象とするヘイトスピーチは、特定の集団に属する個人の社会的信用を損なうだけではなく、その個人が発言する機会を奪うものである。つまり、民主主義に資するものとはいえず、表現の自由として保障される価値は低い。

2013-04-16 23:19:53
ぼん @Bong_Lee

そして、人種等の個人の意思に関わらない属性は、個人のアイデンティティを形成する重要な要素であり、これを保護する必要性は高い。また、ヘイトスピーチを放置すれば、ヘイトクライムに発展する可能性は高い。

2013-04-16 23:20:14
ぼん @Bong_Lee

もっとも、国家による言論統制の可能性や表現活動への委縮効果も否定できないため、緩やかな基準で判断することは妥当ではない。 そこで、立法目的が正当で、その目的を達成するたより制限的でない他の選びうる手段がない場合に限り合憲とする違憲審査基準を用いるべきである。

2013-04-16 23:20:29
ぼん @Bong_Lee

(4)本法律の目的は、上記のように、特定の集団に対する差別を防止し、その集団に属する個人の社会的信用を損なわないことにある。これは、正当な目的といえる。では、より制限的でない他の選びうる手段がないといえるか。

2013-04-16 23:21:23
ぼん @Bong_Lee

たしかに、上記目的を達成するためには、ヘイトスピーチを行った者の氏名等の公 表や名誉棄損罪等で足りるようにも思われる。しかし、それは、氏名等の公表により、その発言者の社会的信用が損なわれるなどの不利益が課されるなど、それが抑止力になる場合にはじめて有効である。

2013-04-16 23:21:38
ぼん @Bong_Lee

つまり、 そもそも社会的信用が必要ではない職種・地位・環境にある者のヘイトスピーチに対して、公表等だけでは抑止力とはならず足りない。また、○○人という集団を対象にした言論は、名誉棄損罪や侮辱罪の構成要件にも該当しないため、現行法で対処することは困難である。

2013-04-16 23:21:51
ぼん @Bong_Lee

さらに、不法行為などの民事責任もその要件該当性を原告側が立証するのは困難である。そして、人種等の属性についての差別は歴史的に繰り返されており、時には虐殺などがおこってきたのであり、そのような属性をもつ集団や個人が、その社会の多数者に対して言論で対抗することも不可能である。

2013-04-16 23:22:06
ぼん @Bong_Lee

(5)したがって、科料などの刑罰を科すことより制限的でない他の選びうる手段があるとはいえない。

2013-04-16 23:22:55
ぼん @Bong_Lee

(6)よって、本問の法律は、発言者の表現の自由(21条)を侵害するとはいえず、違憲ではない。

2013-04-16 23:23:13
ぼん @Bong_Lee

2 適用違憲について Xは、在日コリアンが多く住む地域において、「よい朝鮮人もわるい朝鮮人も殺せ」「朝鮮人の女はレイプしろ」などと書かれたプラカードを掲げたり、「ゴキブリ」「出ていけ」「大虐殺をします」などと街宣で叫んでいる。

2013-04-16 23:23:30
ぼん @Bong_Lee

また、在日コリアンを自称しインターネットで発言をしている者に対し,Yらは、匿名で「外国人のくせに生意気」「しね」「でていけ」「犯罪者」などと発言をしている。これらは、在日コリアンという特定の民族をおとしめ、差別をあおる侮辱的表現だといえる。

2013-04-16 23:24:20
ぼん @Bong_Lee

また、インターネットは、現代社会において個人の主張を発言するための重要な場となっている。そのような場で、特定の民族であるというだけで多数の者からこのような発言を繰返し受ける立場を強いられることは、その特定の民族に属する個人が発言することを委縮させる。

2013-04-16 23:25:00
ぼん @Bong_Lee

さらに、多数の者が閲覧できるインターネットという場や多数の者が通行する場で、特定の属性をもつ集団について、「税金を払っていない」「生活保護を不正受給している」「犯罪率が高い」などというデマを吹聴することは、その特定の属性をもつ集団への差別をあおり

2013-04-16 23:25:22
ぼん @Bong_Lee

かつその集団に属する個人の社会的信用を損なうものといえる。 (2)したがって、X・Yらのこのような発言に対して、刑罰を科すことは、X・Yらの表現の自由を侵害しているとはいえない。 (3)よって、X・Yらに本法律を適用することは違憲とはいえない。 以上

2013-04-16 23:25:40