読書案内:フッサール現象学入門

若手現象学者 @uemurag さんによる、フッサール現象学に関する入門的な読書案内です。 ※ツイートの流れを見やすくするため、一部ツイートの順序を入れ替えています。
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S @fractalistic

メモ:ベルネー・ケルン・マールバッハ『フッサールの思想』

2010-09-14 17:25:37
gu @uemurag

この本を読みこなせるようになったら、フッサールについて一通りのことは知っているといって問題ないでしょう。“@suicidal_organ: メモ:ベルネー・ケルン・マールバッハ『フッサールの思想』”

2010-09-14 19:49:12
gu @uemurag

あと日本語で読めるものとしては、ダン・ザハヴィの『フッサールの現象学』は必読かつ必携。こちらはベルネ、ケルン、マールバッハよりだいぶ易しく、現代の議論の中にフッサールをどう位置付けられるかに気を配っているのが特色。

2010-09-14 19:53:40
gu @uemurag

フッサールが用いた数々の道具立てを自分で使うというのがどういうことなのかについて学びたい人には、Robert Sokolowski, *Introduction to Phenomenology*がお薦め。これ、訳されればいいのに。

2010-09-14 19:57:00
gu @uemurag

同じくSokolowskiの*Husserlian Meditations*も、フッサールの分析を議論として取り出してくる姿勢に貫かれた名著。

2010-09-14 20:00:26
gu @uemurag

英語の文献としては、Dermot Moran, *Husserl. Founder of Phenomenology*も外せない。明晰な解説に加え、一次・二次文献の参照が多く、調べものをするときのとっかかりとして使いやすい。

2010-09-14 20:06:04
gu @uemurag

さて、入門書や解説書の類は役に立つけど、一番大切なのはフッサール自身が書いたものを(翻訳でも構わないから)読むことです。「テクストを自分なりに理解しようとして悩む」という過程をあらかじめ経ていないと、他人がフッサールについて書いたことに引っ張り回されてしまいます。

2010-09-14 20:45:29
gu @uemurag

とはいえ、フッ君をいきなり読むのはなかなか大変なので、さまざまな概念を整理するために、弘文堂の『現象学事典』を手元に置いておくと便利。やや高額だけど、学部生から修士課程くらいの段階においてもっとも役立つ。(そこから先の段階だとあまり必要ではなくなる。ここ数年開いた記憶がない。)

2010-09-14 20:50:51
gu @uemurag

あと、Hans-Helmuth Gander, *Husserl Lexikon*(ドイツ語)も大変すぐれた辞典。各項目について『フッサール全集』への豊富な参照を含んだ解説と簡単な文献表がついている。調べものをするときにまず関連項目に目を通しておけば、かなり手間が省けるはず。

2010-09-14 20:57:41
gu @uemurag

ちょっと癖のある入門書についても触れておくか。Françoise Dastur, *Husserl. Des mathématiques à l'histoire*は、思い切った切り口からフッサールの全体像を描いていて面白い。めちゃくちゃ平明なのでフランス語の勉強にもぴったり。

2010-09-14 21:28:15
gu @uemurag

あと、Verena Meyer, *Edmund Husserl*(ドイツ語)も、後期フッサールを中性的一元論者として読むなど、なかなか野心的な入門書。分析哲学をある程度知っている人へのフッサール入門といった趣も。倫理学まで扱いながら200ページ以内に収まっているのは驚異的。

2010-09-14 22:41:08
gu @uemurag

分析哲学的なフッサール解釈に関しては、もうだいぶ古いけど、Hubert L. Dreyfus (ed.), *Husserl, Intentionality and Cognitive Science*に収められた論文から手をつけるのがいいと思う。

2010-09-14 21:44:57
gu @uemurag

分析哲学寄りのフッサール解釈といえば、*The Cambridge Companion to Husserl*も挙げられるけど、こっちはかなり癖が強いし難しい論文も多いので、いきなり手を出さないほうがいいかもしれない。

2010-09-14 21:46:59
gu @uemurag

David Bell, *Husserl*は、分析哲学者の手による貴重なフッサール論。かなり問題のある解釈も見られるが、それはフッサールの議論を理解可能にしようとする筆者の姿勢から生まれたもの。間違っていないけどつっこみの足りない解釈を並べた本よりもよほど生産的だと思う。

2010-09-14 21:53:46