仮面ライダーW　Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー　『エピローグ・Eにさよなら/この街に正義の花束を・プロローグ』

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　……――HOUKOKUSYO. 1 #WR

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　報告書、という形で事件の顛末を文書に記すのもずいぶんと久しぶりな気がする。いや、ここの所ずっと病院のベッドの上だったのだから、当たり前か。2 #WR

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　俺と照井が倒したドーパントたち――、倉田をはじめとした脱獄囚たちは皆警察病院に送られ、目覚めた先から刑務所へと逆戻りとなったらしい。ただ、姫香りんと稲本弾吾に関しては、照井警視様のきつーい厳重注意に留まり、そのまま釈放されたそうだが。3 #WR

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　後から聞いたのだが、『リベンジ』のメモリの能力者は、『恨み』の度合いが強い程毒性が強く、俺と関わりの薄かった弾吾や姫香りんは数時間で回復し、倉田や、照井に倒された加賀や鷹村は今尚昏睡状態なのだという。自業自得と言えばそれで終わりなのだが……。4 #WR

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　この報告書を書く数時間前、俺に先んじて退院し、再び収監されていた真理奈の元へと出向いた。既に所内での作業にも復帰しているらしいが、頬はこけ、目には隅。顔に刻まれた皺の数々からは、とても俺と同い年には見えない。間接的とはいえ、自分の仕出かしたことの結果と思うと胸が痛む。5 #WR

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　あのガイアメモリ工場跡地は、俺たちの戦い以降正式に取り壊され、買い手のつかない更地となった。未来の俺が遺した『リベンジ』のメモリは瓦礫に呑まれ、取り壊された後も見つからなかったらしい。戦いの最中ブレイクされたと思いたいが、気になる噂もある。6 #WR

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　噂と言うのは、『翼竜のような姿のドーパントが作業員を襲い、メモリを手に何処へと飛び去った』というものだ。噂の範疇を出ない話だが、もし本当だったとしたら。あんな苦しみを味わうの俺たちだけで十分だ。いずれまた詳しく調べる必要があるだろう。7 #WR

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　俺の腹に開いた風穴は、フィリップが何らかの形で塞いでくれたおかげで後遺症も無く、別段の支障は無い。とは言え、傷を癒して探偵業を再開するのに、半年近い歳月がかかってしまったのだが…… 8 #WR

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「半年。そうか、もう半年、か……」 　探偵・左翔太郎はタイプライターを打つ手を止め、うだるような暑さの夏の空に目を向ける。 　2011年8月29日。今日も暑苦しい日になりそうだ。9 #WR

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「仮面ライダーW　Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー」・エピローグ　『Eにさよなら/この街に正義の花束を・プロローグ』 10 #WR

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◆◆◆ 11 #WR

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　――ラジオをお聞きの風都市民のみなさん、おはようございます。 　――それでは参りましょう。ラジオ体操第一！ 12 #WR

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　太陽が朝方から高く昇り、うだるような暑さの日曜日。 　私立探偵・左翔太郎は、街の子どもたちと共に公園の大広場へと赴き、夏の風物詩・風都ラジオ体操に精を出していた。13 #WR

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「はいっ、おいっちにぃ、さんしっ！ おいっちにぃ、さんしっ！」 「おにーちゃん、暑苦しいよー」 「もうちょっと静かにやろーよー」14 #WR

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「馬鹿野郎！ ここで頑張らないでいつ頑張る！ ラジオ体操は夏の暑さを乗り切るためにやるもんです！ ここで気を抜いていたら日中の暑さにはとても耐えられないんです！」15 #WR

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「ラジオ体操を馬鹿にするような奴は子どもだろうと、お天道様が許そうと、街の顔役、左翔太郎が許さねぇ。分かったか？ 分かったよな？ じゃあみんな、俺に続いておいっちにっ、さんしっ！」16 #WR

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　黒いソフト帽にベスト、縞の入ったYシャツ。いつもの服装を身に纏い、子ども以上に真剣にラジオ体操をこなす。その様子に窘《たしな》められた子どもたちはおろか、それらを取り仕切る男性も唖然としていた。17 #WR

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「いやはや、いつ見ても凄いねェ左さんの体操は」 「なァに、ラジオ体操への参加は風都市民として当然すよ」 「あァいや、他に行くところないんですか？ いい歳して子供に混じって体操なんて……」 「余計な御世話だよッ」18 #WR

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「そんじゃ、ま。いい歳こいて頑張る左さんに、ちょっとしたご褒美を……っと」 「何だよ口汚いな……。って、おっさん、こいつはまさか！」19 #WR

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　翔太郎は目を剥いて喜びに声を上げる。男が褒美として手渡したのは、風都の有名なおもちゃ造形メーカーが特注で作った、一抱えもある「仮面ライダーW・サイクロンジョーカー」のビックマスクだったのだ。20 #WR

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　マスクを見た子どもたちは目を輝かせ、歓喜の声を上げる。 「うわぁ、すごい！ すごーい！」 「いいなー、いいなー。仮面ライダーのマスクだ！」 「ねぇおじちゃん、ぼくたちにもちょうだいよ」21 #WR

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　翔太郎はマスクの箱を抱えたまま首を横に振る。「だーめーだ。これはラジオ体操という苦行を、毎日欠かさずこなし、スタンプを押し続けた者にのみ与えられるご褒美。君たちみたいに途中でサボって抜け出した子たちには渡せねぇな」22 #WR

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「えぇーっ？」 「おじちゃんのけちー！」 「はッ、悔しかったら来年からは毎日出席することだな！ それと、俺はおじちゃんじゃねぇ、お・に・い・さ・ん、だ！」 　子どもたちが文句を垂れる中、翔太郎はしたり顔でマスクの箱を抱え、公園から出て行こうとするのだが――。23 #WR

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　――何ぁにしとんねん！ 「っ痛ェ！ あ……亜樹子ォ！？」 　背後から音も立てずに近寄ってきた亜樹子に、”ガキ大将か！”と描かれたスリッパで、大人気無さの制裁を喰らってしまった。24 #WR

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「朝っぱらからどこほっつき歩いてるのかと思ったら！ ……っていうかそんなの子どもに渡してあげなさい！」 「嫌だね！ こいつは最初から最後まで参加したものの努力を称えるものだ！ 途中でサボタージュしたようなやつらに渡せるか！」 「いい歳した大人が……言うことかッ！」25 #WR