第一回大罪大戦《正3の狭間》【戦闘フェーズ02】

紅(ルージュ)は執着、オブセッション[ @nigayuki_sin ] 黒(ノワール)は色欲、ルクスーリア[ @whycame_sin ]
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ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

――荒野だ。 建物が朽ち、崩れ、転がっている。 果ての無いその中空、黒い歪みから、ルクスーリアは舞台へと降り立った。

2013-06-28 15:34:44
ワイマックス @nigayuki_sin

荒野に定間隔で無装飾の短剣がぶっ刺さる。計百本。荒野に布が舞い吹雪く。計百枚。布は荒野のどこからかループしているようで、途切れる事なく百枚のみ舞っていた。 地表近くの布が踊り流れたところに、忽然と男は現れた。 「お前の筋肉が、果たしてワイに届くかな?届かないかな?」 こいつうざい

2013-06-28 16:07:49
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

    ラスト 短剣。先の相手の得物もそれだった。何か縁でもあるのだろうか。 「筋肉がそうあるかはわかりませんが」 驚く様子を見せるな。見せたら『負け』る気がする。 「届かせます」 お下げがゆるく波打つ。スカートは揺れない。   ルクスーリア 「『 黒の色欲 』。 貴方は?」

2013-06-28 16:51:42
ワイマックス @nigayuki_sin

「ワイか、よう聞いてくれたな!ワイはな、ナタリシャ族の出自、ルージュの憤怒が眷属、執着の座に預かります筋肉の協奏曲ことマッスルセッションやで。でも皆オブセッションで呼んでくんねん。まあええわ!」 地面の手近な短剣を掴み、優しい手つきで左手の人差し指を撫でた。うっすらと血が滲む→

2013-06-28 16:58:08
ワイマックス @nigayuki_sin

「威勢がええよな。ワイも昔は威勢よかったけど、今はなんかこう、マッスル、心のマッスルに近づいておるんやわ  せやから。黒は皆殺しにする。傲慢、色欲、憤怒、怠惰、嫉妬、暴食、強欲。全ての黒は、皆等しく、紅が憤怒様に捧ぐ!」 短剣を頭上に掲げる。そして、ルクスーリアへ切っ先を向けた。

2013-06-28 17:03:50
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

「眷属、ですか」 七つの罪科以外が出てくるとは。黒も舐められたものだ。 いや、眷属を出さないといけない程に削られているのか? ――いや、黒の七席以外を送り出したのは此方も同じ。 そういうものなの、だろう。 「皆殺し。怖いですね」 言いながら微笑む女からは、恐怖の感情は見えない→

2013-06-28 17:14:17
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

「その様子だと、声をかけても靡いてはくれないでしょうか」 残念です、と呟く女の視線は男の左手、微かな赤へ。 ぽ、と桃色の灯が青鈍の瞳に点いた。 「でも」 「皆殺しになるのは、貴方達の方です」 腕を振りぬけば、スカートが揺れた。→

2013-06-28 17:18:41
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

ひゅうと空気を切り裂きながら、そこに握られていた、大剣 剣というには少し歪で、禍々しい衣装。 七つの刃を持つ、大きな櫛。 「マッスル。その首を、魂を」 「私たちの欠けた席の慰みへ」 白く細い身とは不釣り合いな筋力で地面を蹴った。 そのまま、上段から切りかかる!

2013-06-28 17:23:15
ワイマックス @nigayuki_sin

「はん。うちの大殿も殿もぶったまげるほど強いんや。あまり舐めてると早く死ぬで!」 振り下ろされる大剣を短剣で受け止める。ぎりぎり支えきれるが、あえて短剣を横に放り捨て、転がり、次の短剣を握った。 「これが、《妄執》や」 ルクスーリアの大剣が捨てられた短剣に吸い寄せられる。→

2013-06-28 17:37:44
ワイマックス @nigayuki_sin

「やっぱりお前ら付き合い長いねんな。虚でそんな罪同士の親睦深める時間無かったで。出来たてほやほやの赤ちゃん達やったからな」 ルクスーリアの大剣が引き寄せられるのは能力によるもの、であるなら、当然体勢は崩れるはずと読む。そこに、新しく握った短剣でルクスーリアの鼻頭へ向けて突き出す。

2013-06-28 17:40:20
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

「なっ」 いなされた。ならば今度は下から切り上げ――られない! 手首を返すことができない。武器が言うことを聞いてくれない。 何をされた?妄執?これが男の能力? 身体が傾ぐ。男が新たな短剣を掴むのを視界の端で捉えた。 体勢を立て直すには間に合わない。だったら→

2013-06-28 17:59:45
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

柄から手を放す。ぐ、と踵に力を入れ落ちる体を支える。 ぐぐ、と膝を曲げながら体を反らせる。間に合え! 「虚」 赤と黒の部台でその言葉を聞くとは思わなかった。 「……貴方は『何』?」 短剣と握る腕が眼前を通過したなら、その手首を捕えよう。 捕えて、伸ばされた肘を膝で打ち上げろ――!

2013-06-28 18:06:02
ワイマックス @nigayuki_sin

ルクスーリアの判断は極めて速かった。結果、耳の端が裂けるにとどまる。ほぼかわせたと言っていい。 「虚において原初のマッスルの座にあった。過去の話だ。だがまあ、とりあえず《マッスル》であることだけが確かなんやよ」 それは、今も昔も変わらないことだった。これからも。→

2013-06-28 18:16:26
ワイマックス @nigayuki_sin

「手首を掴んだから、何だ?」 がん、と凄まじい痛みが、痺れとなって全身を巡る。ルクスーリアの膝打ちは会心の出来栄えだ。 「ああ、こりゃ肘が砕けたな。はは」 左手で脇の儀礼装飾短剣(プロフの)を引き抜き、膝を妄執で肘に固定して刺し穿たんとしにいった→

2013-06-28 18:21:24
ワイマックス @nigayuki_sin

肘からルクスーリアの膝は能力によって接着されてしまったようだが、肘を砕いただけの成果は得ていた。 オブセッションの短剣の刺す速度が、先ほどのと比べて大分遅い。全身が、痺れているのだ。 「ワイがかつて、今も、これからも。最高の芸需品たる筋肉それ自体である。屈服せよォーーー!!」

2013-06-28 18:23:58
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

「虚から、紅へ?」 捉えた。 これで片腕は使えないか、思うほど動かせないか。 手応えを確認する前に、引こうとした膝が動かない。 まただ。触れたものを固定する?厄介。 「生まれたての虚、そして紅へ」 「眷属になって日も浅いでしょう」 「黒は、そう、」そう、短くはない→

2013-06-28 20:45:39
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

罪として在り続ける彼らを見ていると、心地よさを覚えたのだ。 それはきっと、他の者では得られない。 「……筋肉質な方は嫌いではないですよ」 男の手首を掴んでいた右手を離し、握りこむ。 右足と左膝を支えに、体を捻る→

2013-06-28 20:55:26
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

一撃ならくれてやる。 拳が狙うのは男の左手のその向こう。顔! 切られた耳が熱を持つ。気持ちがいい。 マッスルの座とは一体。虚って一体どんな集団だ。 マッスルの座とは一体!!!!

2013-06-28 21:00:04
ワイマックス @nigayuki_sin

ルクスーリアの膝を儀礼短剣が貫き通す。次の刹那。ルクスーリアの体とオブセッションが接着されたまま地面を転がる。 「ぬふぅ……」 右肘の全壊に、荒野の地質が触れる。損壊した建物の梁(はり)に激突する。 そして、顔の右半分が歪んで眼は潰れていた。→

2013-06-28 21:10:41
ワイマックス @nigayuki_sin

これでは、判然としない。能力の切欠を把握し損ねたのだった。 「痛い それが、やる気(きんにく)に繋がるならば」 ゆらりと、膝と肘の接着を解除して立ち上がる。一つだけ分かった。 「一つだけ、左眼でもわかることがある。ワイに攻撃したぬしは、ワイの次に地面に触れとる。ぐっばい」→

2013-06-28 21:17:19
ワイマックス @nigayuki_sin

「《妄執》は、痛いのを通り越して、虚しくさえあるぞ」 女の右拳と地面の間に強固な粘着力が生まれる。 「黒が勝つ…貴様が勝つという妄執がこの場において!もっとも!虚しい!!」 距離をとる。 「近接相手に飛び道具使うは常識なりぞ」 何語だ。近くの短剣を引き抜いた。精神的な油断は無い。

2013-06-28 21:23:47
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

「ああっ」 甘かった。狙いは太腿かと読んでいたのに。 膝をやられた。だが相手の目を仕留めた。 先とは比べ物にならない痛み。ぞくぞくする。 「筋肉ではありませんが……」 右手が地面から離れない。どこだ。どこまでが『範囲』だ。 左膝は刺された。剣も左手では届かない場所にある。→

2013-06-28 22:34:44
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

しかし 「ふふ」 女は不敵な笑みを浮かべる。 「己の罪科をを否定するような方に、負けるつもりはありません」 「私は、黒は、勝ちます」 「これは妄執ではなくっ」 「確信っ!」 自分が潰した目。壊された膝。 もっと、もっとだ!→

2013-06-28 22:35:31
ルクスーリア[色欲] @whycame_sin

桃色の光が強くなる。 左手がスカートを強くはたき靡かせ、その勢いを殺すことなく ――短剣の一つを掴みとると、投げ抜いた。 常識なんて、知ったことじゃありません!

2013-06-28 22:35:49
ワイマックス @nigayuki_sin

何がが、薄れ始めた視界で煌く。何かが、近づいてくる、何だ……何だというのか。 ぷつり。視界が明確な黒に染まる。痛い。いたい。イタい。 「いってぇええええええええッ!!!!!」 何だ、何が起きた。眼孔が砕けたのか。今手に握っているものは何だ。 →

2013-06-28 22:58:22