第一回大罪大戦紅陣営【交流フェーズ03】
- sinlite_ohari
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私はいま、そこにはいないけれど。やさしい腕の強い力は感じられた。炎の熱さは、心地良く感じた。願いの込められた囁きは、『ここ』まで届いた。 「ごめんなさい」 紅の城から『目』を逸らせないまま、言葉を漏らす。同時に涙が頬を濡らした。 「守れなくて、戦えなくて、弱くて」 →
2013-07-07 01:06:43→ あなたは、そんなになっても、私を慈しんでくれるのに。 「それでもわたくしには、まだ、できることがあったのに」 私は、何一つ、応えることも、返すことも、できないままで。 「……耐えられなくて、生きられなくて、ごめんなさい」
2013-07-07 01:06:58@RougeWrath @siroeda_sin 「ラース」 一人。 「スロウス」 二人。 最後に残った同胞の名を、口にする。 辺りには、自分の他に誰の姿も見えはしない。 最早罪の座を無くした自分にとって、残された記憶も罪も矮小なる人としてのそれしか無いのであろう。 →
2013-07-07 02:03:40空になった杯。空になった腕の中。男は空しさをその右手に握り締める。「……」そして、そっと瞼を閉じる。「これで、再会の『約束』は果たせただろうか」男は問いかける。
2013-07-07 02:04:00思わず、手を伸ばした。のどが裂けても構わない気で、声を上げた。 「『約束』を、違えたのはわたくしのほうです……!」 「わたくしが、勝てなかったから」 「わたくしが、裏切ろうとしたから」 「わたくしが、至らなかったから」 届かない。どんなに手を伸ばしても、叫んでも、あちらへは。
2013-07-07 02:12:26「あなたは、しっかりと、紅(わたくし)のもとへ、帰ってくださったのに」 「わたくしが、わたくしが……」
2013-07-07 02:20:09「……ああ、きっとな」 きっと帰れて、喜んでいる。きっと再会出来たと、そう思っている。……気休めでしか、ないけれど。 つい、と上を向いた。何処からか、見ているだろうかと、そういう思いをこめて。 「…………暫く、そうしていてやれ」 そう言って、広間から出て行った。向かう先は――。
2013-07-07 02:21:48@RougeWrath @siroeda_sin → 「――確かに。あなたがたの想いは罪のみに囚われたものではなかった」 左腕を、伸ばす。掌。その先に、浄化の焔。 「いいや、本当は気付いていたのでしょう。私はただ、それを認めなかっただけだ」 →
2013-07-07 02:36:14もう帰れないかもしれないと思っていた。そうでないとしても、終わるまでは、歩くこともないだろうと思っていた。 部屋に入る。焼け爛れた手を伸ばす。 自らを縛る枷にして、自らを座たらしめる剣。それを再び取る意味は、一つしかない。 城の静寂。何処かで切れた、感覚。ああ、今も思い出す。
2013-07-07 02:47:20――誓いなさい ――貴方が、もうその腰に差した『美徳の剣』を振るう必要等無いと ――貴方は、『傲慢(わたし)』の名の元のみで――
2013-07-07 02:48:05@RougeWrath @siroeda_sin → 「無感など、在りはしなかった。心を持って然るべきであったのだ」 「私は罪である前に、ヒトであったのでしょう」 「嗚呼、スロウス。――私は、嬉しかった」
2013-07-07 02:53:24――――握り、引き抜いた。 「……我が名は、『怠惰<Sloth>』」 アイツは、死んだ。それならば俺が、俺だけが。『怠惰』たり得るのは、アイツと、俺だけなのだから。 なればこそ、俺は座としての使命を果たさねばならぬ。……もう、剣を使わぬ意味もない。
2013-07-07 02:54:26焼けた手が、新しい皮膚に覆われる。剣を、腰に差し戻す。それを覆う鞘は、最早飾りを示すものではない。 怠惰の座としての、力を。今一度、紅のために――仕える力でなく、大罪としての力を!!
2013-07-07 02:58:28@RougeWrath @siroeda_sin 「だからこそ、今は悲しい。貴方に剣を再び抜かせてしまったことが」 「――これは、ずっと気付いていた筈の、貴方の、貴方への、想いなのでしょうね」 「私は、ここに来て漸く、『想い』を、受け止められました」
2013-07-07 03:04:50@RougeWrath @siroeda_sin 「――ありがとう、スロウス。私の剣よ」 「どうか、私を」 「赦さないで欲しい」
2013-07-07 03:11:05祈りの時間は終わった。男はそっと瞼を開き、前方に目を向ける。その目に映ったのは飾られた絵画。そして、王が座るべき席。「……傲慢なる、王よ」
2013-07-07 03:24:35『必ず一度は此処へ戻ってきなさい。絶対に、先走った行動は許しません』男の頭に言葉がよぎる。「我が罪は『絶対に』許されぬでしょうか?」プライドがいつも眺めていた絵画を前に問いかける。
2013-07-07 06:35:58@RougeWrath 「――いいえ。私は赦しましょう」 「ただ、怖かったのです。漠然として離別への不安が、私の意識の奥底に巣食っていました」 「私は、貴方を失ってしまうことを、恐れていたのです」
2013-07-07 06:42:31@RougeWrath ――その言葉を、幾年待ち望んだ事でしょう ――我が『慈悲』と『憤怒』は、貴方様のものだ ――それが貴方の意思とあらば、仰せのままに 「嗚呼、ラース。貴方はまだ、『紅き王(プライド)』を信じているのですね」 「私は、其処にいましたか?」
2013-07-07 06:43:41@RougeWrath 「私は、ここに来て漸く、『想い』を受け止められました」 「今はただ、貴方の全てを受け入れてはいなかった自分の狭量が憎い」 「だから」
2013-07-07 06:43:58暫しの間を置き、怠惰は広間へと戻ってきた。 憤怒は……まだ、いる。珍しい事もあるものだ。 絵画を見つめ、静かに佇んでいる……その炎は、忠義を示すように、絶えることなく。
2013-07-07 18:31:30「あぁ、力半ばの怠惰よ……」男は広間に戻ってきたスロウスの足音に答える。そしてその姿を見る。先は無かった腰に帯びる黒き剣。「……否、矛盾孕む怠惰よ」もはやこの怠惰は二柱で一座の力半ばの罪でもなく、あえて力を振るわないただ怠けるだけの罪でもないのだから。
2013-07-07 19:31:02「……ああ」 最早ない左手は、鞘を掴む事は出来ぬ。握り固め、鍵とすることは出来ぬ。それでも身に纏う理由は。 「……俺は、『こう』することでしか、在れないからな」 生き抜かねば、ならないから。倒れていった者達のために、そして何よりも―― 視線はあくまでも、憤怒に。その、奥には。
2013-07-07 19:40:45