飯島明子先生の特別講義 第4回:「干潟の生物多様性」

飯島先生、ありがとうございます。
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飯島明子先生の特別講義 第4回:「干潟の生物多様性」

飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

浅い水域が有機汚濁解消のために重要、という連ツイを、ぶたやまさんと呼吸発電さんがまとめて下さいました。今日はそれに関連して、干潟や浅い水域の話をもう少し。 http://t.co/gJYZjAfvei http://t.co/QgaKKKIl55

2013-07-27 11:11:51
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

内湾は河川から陸起源の有機物が流れ込むため、元々有機物負荷が多く、沿岸に人口が集中している場所はなおのこと、生活排水による有機物負荷・リンと窒素の負荷が多いのです。

2013-07-27 11:16:35
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

一方で多くの内湾では河川から流入する土砂により遠浅の海岸ができています。その一部、潮が引いた時に干出するところを「干潟」と呼びます。干潟やその下に広がる浅海域に多くの生物が棲んでいれば、内湾のリン・窒素も除去されるので、有機汚濁は低減されるという仕組み。

2013-07-27 11:20:01
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

しかし有機汚濁解消のためにも、生物の生息域としても、漁業資源の宝庫としても重要な浅海域と干潟は、戦後埋立が進み、その面積を減らしてしまいました。

2013-07-27 11:25:12
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

現在の日本の干潟は、干潟に生息するベントス(海底に生きる生物の総称)の生息状況は、どんなことになっているのだろう? 北海道から沖縄まで、代表的な干潟を選んで同じ方法で調査して比較してみようじゃないか。

2013-07-27 11:29:34
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

日本ベントス学会のメンバーを中心に、北海道から沖縄までの干潟ベントス研究者が集まり、それぞれの地域で同じ方法で調査を開始したのが2002年のこと。環境省の自然環境基礎調査の枠組みの中ではじまった、「全国干潟調査」です。

2013-07-27 11:31:21
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

調査に4年、まとめに1年半かかった報告書は、こちらで読めます。私は関東の干潟調査と報告書のまとめに関わりました。http://t.co/8FMTGLvagr

2013-07-27 11:32:49
リンク t.co 基礎調査目次
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

干潟のベントス、この調査で何種出たか…。実のところ未記載種やら未記載種らしきものやらが多く、確たる数字ではないのですが、1000種突破。報告書をまとめる最後のあたりは、全国各地から押し寄せる種リストの洪水との格闘(^^;) 死ぬかと思った。

2013-07-27 11:37:24
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

全国干潟調査では、157ヶ所の干潟を選んで調査しました。報告書の2章「方法」に全調査地のリストと配置図があります。皆さんのご近所もあるでしょうか? http://t.co/8FMTGLvagr

2013-07-27 11:41:33
リンク www.biodic.go.jp 基礎調査目次 3 users 1
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

全国干潟調査の調査地点で一番多かったのは、九州地域。38ヶ所の干潟を調査していただきました。有明海や八代海など、広大で重要な内湾を擁しているため、調査すべき干潟も多かったのです。(38ヶ所でも少ないくらいなのですが、人が足りなかったので…)

2013-07-27 11:48:27
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

調査した箇所も多かったとはいえ、出現したベントスの種数も九州では抜きん出て多かったのです。その数、700種! 沖縄の630種を越え、関東の190種は足元にも及びません。

2013-07-27 11:51:05
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

生物多様性という観点で考えた時、種数の他に重要なのは、「狭い範囲でのみ出現した種はどのくらいいるのか?」ということです。その地域にのみ生息している種が多ければ、その地域は重要性が高く、保全に力を入れなければなりません。

2013-07-27 11:53:02
dedenden64 @dedenden64

これですよね。資料が多くて探すのに手間取った(^ ^; http://t.co/yJNXqSI19r RT @a_iijimaa1 全国干潟調査では、157ヶ所の干潟を選んで調査しました。報告書の2章「方法」に全調査地のリストと配置図があります。皆さんのご近所もあるでしょうか?

2013-07-27 11:51:43
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

@dedenden64 はい、そうです。すみません、資料多過ぎで(^^;)

2013-07-27 11:54:20
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

そんな訳で、お手間でなければこの目次の中の第4章「干潟底生生物の地理的な特徴」をご覧ください。pdfです。http://t.co/8FMTGLvagr

2013-07-27 11:56:32
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

それぞれの地域でのみ出現した種の数を比較してみると、ダントツで多いのは沖縄、388種。やっぱりね♪

2013-07-27 11:57:16
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

けれども九州もやっぱりスゴかった。2位。239種。次いで中国四国の113種。そして北海道89種、近畿86種と続きます。

2013-07-27 11:59:00
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

(しかし今読み返してみて、この全国干潟調査報告書は、生物屋以外の誰が読むんじゃい、という内容ですな…。これを元にもっと噛み砕いたものを作らなければならなかったかも。今からでも…。)

2013-07-27 12:04:20
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

その地域だけで出現する種が九州でやたらと多いのは、有明海と八代海を抱えているためです。歴史の古い内湾であり、大陸との関係も深く、有明海固有の種も数多く見られるからです。

2013-07-27 12:06:02
飯島明子 💉×7😷 @a_iijimaa1

固有種が多いだけでなく、広大な有明海の干潟と浅海域は、多くの生物を育み、すばらしい漁場でもありました。海苔とタイラギ(タイラガイ)は、特に有明海を代表する産物ではないでしょうか。

2013-07-27 12:07:29