同時多発ツイート連詩夏組【あの夏の日を　完全版】pw夏組

星野 @tospace_space

透明を壊せ。 透明は全て偽物なのだ。 透明を壊せ。 大切にしていた それを、壊せ。 脳の中だけで 生きている曖昧なものに 縋るなんて、 馬鹿げている。 ああ、それなのに 鼓膜を震わせない音が 光にならない景色が 確かに俺を縛るのだ。 透明が、俺を。 (あの夏の日を) #pw夏組

梁川梨里（やながわりり） @riri_yanagawa

夏が鳴っている 炭酸水の海には 顔のない記憶が浮かんでいて 溺れそうな過去のわたしに 手を差し伸べても それが本当にわたしなのかさえ 疑わしく 名前を付け忘れた代償に どんなに泳いでも岸に辿り着けない （あの夏の日を）　＃pw夏組

末松 努 @dejodajo

浮き輪に体を預け 世界を漂流する ふやけながらも 捨てられず 近づきたい 思いが重みに変わり 空回りする手 いくら漕いでも 陸には上がれない それが 正しさなのだとしたら 世界を破るために 何ができるだろう 浮き輪の栓に ぼくは 手を かける (あの夏の日を) #pw夏組

黒崎立体 @kurosakirittai

夏が成っている、 夕立を終えた空には 声のない言葉が浮かんでいて ひとつずつ発音するわたしに 意味を与えても それが本当にわたしなのかさえ 果てしなく、 広げる宇宙の模倣に どんな光でも虹を見つけられない （あの夏の日を） #pw夏組 @riri_yanagawa

akutsu ayumu ꪔ̤̮" @ayusuke_

ここ何日か少しよそゆきの詩を書いている 炊飯釜をしゃもじでごりごりするように言葉をこそぐ 掻き出さなくては息もできない夏を憶えているけれど もう翅は乾いたようだ 夜の海で言葉とは神様だった 土を踏める世界のことを 脚があることを まだ知らなかったから （あの夏の日） #pw夏組

ブックワーム @BIBLIOTHEQUEa

港町で乱暴な言葉を書き留めて 不在の涙は 小さな悲鳴 華やかな夏のライト、もう忘れた？ 嘘のような青をたくさん弄んだのは 新種の花のピストル、 まさかね 小さな悲鳴が、嫌でも芽吹いていく 夏は 挨拶を交わさない虚像の散歩だ （あの夏の日を） #pw夏組

春森しゆう @junju_usako

舞台から見る景色。観客の視線。わたしたちの成果を見せるとき。お腹に響く太鼓の連打。リズムをとる小太鼓。緊張を手に握りしめ、鼓動を打ち鳴らす。いっとき主役になれる快感。 太鼓を習ったのは、祖父、父の背中をよく憶えているから。太鼓を叩けばあの日に戻る。 (あの夏の日を) #pw夏組

山崎みふゆ @mifuyu_yamazaki

涼を求めて飼い猫に付きまとっていた 泳げないのに父にプールで投げられた 水面に叩きつけられた平らな胸は今も痛む 今日は記録的猛暑の52日目で 異常ですねが挨拶で それもこれも いずれあの夏になるのか 猫と父とが この腕に届かぬように 【あの夏の日を】＃pw夏組

待子あかね @fairysky0723

会うときだけ　左腕にしてみせる 赤い腕時計をくれた　あの日 あれから幾年経ったかしら 会うときにだけ　左腕にするって決めたから　 ずいぶん　淋しがっている左腕 約束なんて　すぐに消える　 想い出になっているのか　 今もつづいているのか　 あの夏の日 （あの夏の日） #pw夏組

なぎさひふみ @hifumi_nagisa

環を感して、歓の夢見して。 現しに夢の幻に、質草の当に風吹きて、溜まりを惜しみ、なお感興の弔いに想いが奔る。 愛しき光を背に置いて、まみえる影の覚えに揺れる。 少年、麦藁帽子が飛んでいく。 いのち、祈りして。 (あの夏の日を) #pw夏組

落葉[Rakuyou] @a_fallen_leave

車の助手席で揺られていた。夜の風は心地よくて 眠っていた私に何も言わずにゆっくりと堤防に停車していた。君は観覧車の時計が八時を回りそろそろだと教えてくれた。虹色の大きなネオンの奥 天に向かい華が咲いていた。今君はあの景色を誰と見ているのだろうか。 (あの夏の日を) #pw夏組

こひもともひこ @kohimon

五島列島で レンタカーで 爆音で音楽かけて ふたりははしゃいで 海で 泳いで どこまでも透明なのに驚いて 日焼けのことなんかすっかり忘れて ふたりははしゃいで 夜になって 民宿で 日に焼けた体中が痛くって セックスなんかできやしない！ (あの夏の日を) #pw夏組

莉乃 @nnn_rinons7

｢花火が見たい。｣ 便りを待ったりもしたけれど、 結局はいつも自分から動いてしまう ｢君と、花火が見たい。｣ 転げるように、土手 着色料の多そうな氷を頬張って 湿った夜の空気 世界には二人だけしかいなかった。 今もかわらず、愛しています。 (あの夏の日) #pw夏組

落葉[Rakuyou] @a_fallen_leave

｢あんなに素敵な夜はもう来ない｣ 君が僕に泣きながら言った 最後の言葉だった (あの夏の日を) #pw夏組

つきのひかり【渡来先生の煙草の灰】 @_tknhkr_

突如降り注いだ夕立 天然のシャワーであたしたちは汗を流した (服はますます体に貼りつきブラジャーも透けてしまったけれど) 雨の後には蝉時雨が空を喝采するみたいに 暑いのは嫌いだけど、振り返れば 悪いことばかりじゃなかった、夏。 (夜蝉)(あの夏の日を) #pw夏組

. @Injoy__

「お前の事が、本当に好きだった。好きだったんだよ。」離れる事を先に選んだあんたが、振り絞るように吐き出した。今も夏の坂道に立つ頃、聴こえる声。 (あの夏の日を) #pw夏組

akutsu ayumu ꪔ̤̮" @ayusuke_

別れは潔くと言ったきみが 四度振り返る渋谷駅 （あの夏の日） #pw夏組

佐藤真夏 @yomoyamanohara

スクランブル交差点で 大きな浮き輪をふくらませて くるくる回る 小さな子どもみたいに 僕たちは夏を泳いでいた （あの夏の日） #pw夏組

悠 @kaze_you

太陽に近付きすぎた 熱に膨張して破裂した 僕らの夏 浮き足立っていた意識が 地に叩きつけられる 夏の終わりはいつも 課題を、残したまま （あの夏の日を）#pw夏組

雪野 @you_ki_yu_ki

またねという言葉に込めた嘘は 額の汗とともに流れた (あの夏の日を) #pw夏組

末松 努 @dejodajo

去ってしまう前に プロミネンスを触っておきたかった 胸懐を焼いてしまうためにも 夏は なぜか翌年に持ち越せない それをいいことに 一夏と まやかし また一つの嘘を置き去りにする いっそ 太陽に焼かれたい 跡が残らぬよう （あの夏の日を） #pw夏組

春森しゆう @junju_usako

いつまでも残る刺され痕。 塗り変わらない熱さがあった。 何度も伝えてくれたのに 離れてから分かるありがたさ。 戻れない夏に、戻れないから戻りたい。 ほてった頬を冷ませない。 (あの夏の日を) #pw夏組

末松 努 @dejodajo

日焼け止めなんかでごまかせない。光は皮膚を貫いて、体の中へ、そして。いつか冷めゆくなんて信じられない。夏だけで終わらせない。予感を振り払って。秩序に逆らって。四季を常夏に塗り替えて。消えない傷の幸せを知る。癒やさないまま、明日へ。（あの夏の日を） #pw夏組

悠 @kaze_you

蓄積されずに流れてゆく 誰に咎められことのない わたしの偽り かぶれた肌が その濃度を語る 鉢のなか涼しげな金魚が ことのほか疎ましい 水に流すのもたいがいにして （あの夏の日を） #pw夏組

春森しゆう @junju_usako

あの日私が飼い始めたメダカから産まれた子メダカの子メダカ。増えて減って自然淘汰されていく。それでも増えた子メダカがあなたの鉢にもらわれた。私の四角い水槽よりも、悠々とたくさんの睡蓮たちに守られている。増えて減って自然淘汰を繰り返す。あの夏の子どもたち (あの夏の日を) #pw夏組