第二大罪大戦《一の狭間》【戦闘フェイズ2】

紅(ルージュ)は傲慢、オルグイユ(@Ssace_sin) 同じく怠惰、アセディ(@skbztter_sin) 同じく元黒強欲、イル(@ikjkr_sin) 黒(ノワール)は怠惰、トレークハイト(@sin_gomokumame) 続きを読む
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『   』 @Ssace_sin

扉を開いて、ほんの僅かな間を置いて。 視界に光以外のものが入り込んできたと思った瞬間、少しだけ強い風は暖かく吹き抜けた。 「……ここは……」 左右を見渡す。青い空の下に濃い緑の群れ、足下に寄り集まった種々の花。——花畑。 ここは、『狭間』かと、疑念よりも戸惑いの強い声で、呟いた。

2013-08-20 23:40:29
エッシェ @ikjkr_sin

傲慢の向こうに見えた、眩い光と色彩豊かな景色。 「なに、ここ……?」 何処をどう見ても、此処は花畑。『戦場』だとは思えない。 信じられない光景に目を見開き、一歩二歩。穏やかな風景の中で、僕は呆然と立ち尽くした。

2013-08-20 23:50:56
リコリス @actAcedie

「……イル?」 立ち尽くした背中にぶつかり、額を袖でさすりながら、今回はどんな場所なのだろうと一歩、横にずれた。 「おはなばたけ」 暖かい風が銀の髪を撫でた。鼻孔を擽る花の香に、怠惰は目を細める。――巻きつけたチェーンがじゃらり、と音を鳴らした。脳内の錠は変わらず、小さく喚いて。

2013-08-21 00:06:37
――― @sin_gomokumame

さくり。踏みつけた花の感触と、強く広がる香り。ひとつ、瞬いて戦場であるはずの『狭間』を見渡す。 一面に広がる春の香と、自然の淡い虹の色彩。ああ、 ――この、風景は。 左腕を欠いた人影、その顔に浮かぶのは、自嘲の笑み。右手に着け替えた『黒』の腕輪が、密やかに存在を主張しちりと鳴る。

2013-08-21 00:07:07
エッシェ @ikjkr_sin

視線を彷徨わせていると、ずっと向こうに人影が在るのに気付く。 「……誰か、居るね」 アレが、僕らの敵。 そう判断して、傲慢の前に出る。掌に、針を隠し持つように用意しながら、身構えた。 誰だか知らないけれど、2人を傷つけるなら容赦しない。――誓ったから。

2013-08-21 00:22:17
――― @sin_gomokumame

花畑の先に、人影。3つ。即座に展開するスクリーンは9つ。ひとりにつき、3つ。 周囲に半透明、薄青色をした画面が取り巻くように浮かび上がる。ちりちりと、僅かながら『解析』が始まって、画面が示す『敵』に、眉を、ひそめる。 「『紅』の『傲慢』、『怠惰』、――『黒の強欲(Gier)』?」

2013-08-21 00:26:24
リコリス @actAcedie

細めていた目を見開き、魔力を練り上げる。視線の先に、ひとり。 躊躇なく、記憶に掛けた錠を落とす。――逃げ出した。そう、逃げ出した。でもそれは『アセディ』じゃない。満ちた魔力で生成したハンマーの柄を握り、一歩前へ。イルの隣に、並び立ち。 「――だいじょうぶ」 ささやく。

2013-08-21 00:46:15
『   』 @Ssace_sin

ああ、と思う。イルの肩の向こうに、見たことのある、感じたことのある力と姿。声が聞こえて息を漏らした。 「『イル』、僕なら大丈夫だ。アセディを守ってくれるかな」 言って、そのままその人影の方へと進み出て。 「また会ったね」 そう、『また』だ。 「——『怠惰(Trägheit)』」

2013-08-21 00:54:48
――― @sin_gomokumame

肉眼で三人の存在を、確認する。自然、目は細まり。 「……あぁ、『また』だ、『紅の傲慢(Orgueil)』。僕としては大変納得のいかないことにね」 本来なら、自分の『予測』の通りなら、削ぎ落とされていなければならないもの。 視線は、傲慢から外れて、他の二人へと。→

2013-08-21 01:02:00
――― @sin_gomokumame

一人は知らない。けれど『怠惰』であることは、『知った』。これも削ぎ落とさなければならないもの。自分と同じ『座』。しかしもう一人は。 「――『強欲(Gier)』、何故、そちらにいるのか、聞いてもいいよね?」 何故、戻ってこなかった『強欲』が、『紅』の元にいる?

2013-08-21 01:02:04
エッシェ @ikjkr_sin

「ギー…ア?」 その名を聞き瞳が動揺に揺れ。呟きとして漏れたそれは何故か口に馴染む。 知らないはずなのに。――またこの感覚だ。 「何故って何?僕は僕を知らない。答えられない」 問いを反芻しても見つからない答え。頭で何かが軋んで、抱える。 風に揺れた紅いペンダントが、きらりと光る。

2013-08-21 01:29:14
――― @sin_gomokumame

「――ふぅん?」 訊ねる。 「君たちの名を、改めて、聞こうか?」 それは、『彼』だけでなく、『怠惰』と『傲慢』にも。名を知ることは、『把握』の一歩であるから。 「君の名は、本当に『それ』?」 ぽつり、最後に呟く声は、小さく。届くか届かないか、小さな、祈り。

2013-08-21 02:14:35
『   』 @Ssace_sin

「紅の傲慢、『Orgueil』」 問いには即座に答えて返す。琥珀がほんの少し、笑んで。 「……二度目だよ、トレークハイト」 『傲慢』はただそれだけを返した。『彼』が『誰』であるかなど、一切口にしないまま。

2013-08-21 02:25:19
エッシェ @ikjkr_sin

目の前の彼女が願うように呟いた、一言。それが自分のどこかで引っかかる。 「…僕が知っている僕の今の名前は『イル』だよ」 ありのままの事実を、告げる。けれど。 「『ギーア』という存在も僕なら、」 『自分』に繋がる鍵なら、看過できない。 「教えてほしい」 ペンダントを、握りしめ。

2013-08-21 02:38:04
リコリス @actAcedie

じ、と。ただ見詰める。見詰めて、息を吐いて。 「紅の怠惰……、『Acedie』」 一言。脳内で騒ぐ錠の音を無視しながら柄を握り直して。 「エッ……、」 ふるり、と首を振る。違う、『それ』じゃない。錠がうるさい。 「『イル』」 見上げて、まるで希うように、『彼』の『今の名』を呼ぶ。

2013-08-21 02:47:17
――― @sin_gomokumame

「あぁそう、『君』はそういう認識なんだ。なら僕は答えられないよ、『黒の強欲(Gier)』は『君しか知らない』」 まだ『把握』せぬままに、『彼』はいなくなってしまった。 「ただ、君にまだ『罪科』があるなら。『座』を名乗るなら。その根幹はどこにあるかくらい考えてもいいんじゃない」→

2013-08-21 02:53:30
――― @sin_gomokumame

突き放すように、言いたいことはそれだけだとでも言うように。緑の視線は知らぬ名で彼を呼ぶ、『紅の怠惰』へ移る。イル。イル、ねぇ。 周囲には9枚のスクリーンを従え、白のワンピースを、春風に遊ばせ。花を踏み潰して、一歩。踏み出す。視線は射抜く、見つめる先は、『紅の怠惰』。

2013-08-21 02:53:35
リコリス @actAcedie

「『    』」 ペンダントを握り込んだ青年にしか聞こえぬくらいの小ささで、囁くように。 ――それは、青年に届いただろうか。『アセディ』が呼ぶ事は、恐らく赦されないのだろうけど。 「ぼくは、へいきだから」 魔力を通す。柄を握り込み、二人より更に前へと立つ。 「だいじょうぶ、だよ」

2013-08-21 03:10:14
リコリス @actAcedie

「だいじょうぶ、だから」 自分の口から不意を衝いて出た言葉に、思わず首を傾げる。――そうして、思い付いた。ぼくは黒の怠惰に、青年を近付かせたくないのだ。何故? 視線からは逃げる事なく見据える。『彼』とは違う緑。柄を握る手に力が入る。 「――わすれて、ぜんぶ」 呪詛のように、囁き。

2013-08-21 03:14:09
エッシェ @ikjkr_sin

『ギーア』は『僕しか知らない』。そう言われて、思考が途方に暮れる。 『罪科』と『座』の根幹、というのもよく解らなくて。 けれど何か引っかかって、違和感があって、考えずにはいられない。 分からないからと放棄したくはなかった。歯を食いしばり、頭の中で己に問う。 ――僕は何。僕は、誰?

2013-08-21 03:19:54
『   』 @Ssace_sin

問いと返答の応酬を、無言のまま見やり。 黒は無き座にも執着するのかと、胸中に落とし込む。問いかけはしない、それは何にも『関係ない』のだから。 代わりに視線すら向けないまま、一人へと口を開いた。 「イル、新しい紅の『友人』」 自然、わらう。 「君は『イル』で、僕の『もの』だろう?」

2013-08-21 03:29:56
――― @sin_gomokumame

全てを忘れることは、全てを知らぬ形にすること。把握することを求める自分に、それはあっては、ならない。 「嫌だね」 スクリーンを新たにひとつ呼び出し、『怠惰』を範囲内に収める。まだ物理的な『削落』に至るほどの『把握』は進んでいないが、牽制のつもりで。→

2013-08-21 03:47:58
――― @sin_gomokumame

口を挟んだ傲慢を睨みつける。 「君には何も聞いてない」 聞きたいのは、『彼』の意思。『彼』が『どこに在るか』。 「ねえ。僕は『君』に聞いてるんだ」 『君は誰?』

2013-08-21 03:48:15
エッシェ @ikjkr_sin

握りしめていたペンダントに、ぴしりと罅が入る感覚がして。 瞬間、自分の中の何かが、ぱん、と弾けた。 「――ごめん。ごめんね」 呟いて、ふらりと『黒』の『怠惰』の前へ。 「ごめん、トレークハイト」 眉を下げて笑んで、振り返り言う。 「ごめん、2人とも」 こちらにも同じ顔で、謝る。

2013-08-21 04:10:00
エッシェ @ikjkr_sin

開いた手からは、赤い破片がぱらぱら落ちる。 「僕は、『イル』の前に『ギーア』だったから」 「『イル』は、守りたかったよ。誓いを」 誓いを守ることで、居場所を得たかった。 けれど僕は。『黒(いばしょ)』を思い出してしまったから、 ――最早『紅傲慢の人形(イル)』では居られない。

2013-08-21 04:10:28
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