第二大罪大戦《一の狭間》【戦闘フェイズ2】

紅(ルージュ)は傲慢、オルグイユ(@Ssace_sin) 同じく怠惰、アセディ(@skbztter_sin) 同じく元黒強欲、イル(@ikjkr_sin) 黒(ノワール)は怠惰、トレークハイト(@sin_gomokumame) 続きを読む
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――― @sin_gomokumame

力がはいらない。かろうじて動く『約束』を嵌めた右手を引きずるようにして、『彼』を抱く。それが、抱くに足る力かは、わからないけれど。 「ごめんなさい、ヴィエルヴィア」 それは吐息の様に。 まだ人間だった彼に彼女は言った。「辿り着いてみせて」と。 彼はその言葉に応えた。「絶対に」と。

2013-08-26 03:44:36
――― @sin_gomokumame

いつか、並び立つ『大罪』として再び出会えるようにと、交わした菫と黒曜石の約束だったのに。 「きみは、たどりつい、て、くれたのに」 その再会は、こんな形で。 「きみは、やくそくを、まも、った、のに」 「ぼく、はそれ、を、」 言葉は途切れて、視界は、霞む。

2013-08-26 03:44:41
エッシェ @ikjkr_sin

流れる血と次第に消えていく温かさを感じながら、終わった、と。憎いほど晴れ渡った空を遠い目で見つめる。 僕がこうして生きていて、まだ傲慢が生きているなら加勢するべきだろう。頭では分かっているが、体はこの場に張り付いたように動かない。 最期の彼女の幸せそうな声が。ずっと頭で反響する。

2013-08-26 03:49:27
エッシェ @ikjkr_sin

目線を落として腕にある亡骸を見て、ふと『誓い』を思い出した。守れなかったと悔やむ自分がいて、顔が自嘲に歪む。 「――やっぱり、捨てれないのか」 自身に吐き捨てるように呟いて。 それでも、『信じて』と。『信じたふりをして』と言わなくてよかったと。小さな砦を見つけて、こっそり安堵。

2013-08-26 03:50:01
『   』 @Ssace_sin

ゆっくりと、瞬く。もう、何を見ることもできないけれど。 「あなたが、のぞむ、なら」 声が出るうちに。 「『傀儡(ぼく)』は、それ、を。のぞむ、よ」 何度も何度も己が繰り返した言葉。その理由は、 「『最期に手繰るひと(トレークハイト)』」 そうでなければ、罪すら失ってしまう、から。

2013-08-26 03:59:13
――― @sin_gomokumame

『黒の怠惰(トレークハイト)』が、望むのは。 「……『黒ではない大罪(ルージュ)』を」 そして、 「『大罪を歪める大罪(僕)』、を」 「『削落』」 浮かべた1枚のスクリーンは、その『望み』の通りに、力を、放つ。

2013-08-26 04:06:06
『   』 @Ssace_sin

声に、目を閉じる。 人であった事を思い出してしまった。人形である事に気付いてしまった。罪であるための糸は剥離してしまった。だから。 唯一『望んだ』罪のまま、こう、なるのなら。   ――それで、良い。

2013-08-26 04:11:32
エッシェ @ikjkr_sin

崩れ落ちるような音を最後に、この空間から音が消えた。 重い頭を背後に向ければ、二つの影が重なるように倒れていて。動く気配は、ない。 ――本当に。これで、終わった。 得たものはあった。けれど、喪ったものが多すぎた。悲哀よりも虚無が先行する。 ぼんやりと思考して、また空を見上げる。

2013-08-26 06:02:45
エッシェ @ikjkr_sin

「ねぇ」 誰に話しかけるでもない。けれど、問いかけるように。 「僕は、『黒の強欲(Gier)』として戦えていた?」 独り言は、風と地に生える緑が擦れ合う音に混じる。 横に置いた懐中時計を手に取り視線を移して、 「『ギーア』に成った『エッシェ』は、『イル』すら捨てることが出来ない」

2013-08-26 06:03:02
エッシェ @ikjkr_sin

『黒の強欲』で在りながら、『紅』を捨てきれないなんてどうかしてる。この並存は不可能なのに。 分かっていても、求めすぎて何も捨てられない。欲してきたものが、僕を地に縛り付けていた。 「何も捨てられない僕は、何者にも成れないのかな」 震える声で呟いたそれに、返ってくる言葉は無く。

2013-08-26 06:03:21
エッシェ @ikjkr_sin

「……帰れないなぁ」 3人の亡骸をゆっくり見回して言う。 次に紅と対峙したら、僕はきっと戦えない。そうすれば、僕は確実に『大罪』として在れないから。 そうなる前に、これ以上何か失う前に。――僕は、ここで。 「ごめんね」 それは、自分を知る全員への謝罪。気づけばそれを口にしていて。

2013-08-26 06:03:38
エッシェ @ikjkr_sin

空間が、ゆっくり形を無くしていく。その狭間に溶け込むように、目を閉じて。 「さよなら」 その呟きを最後に、急激に狭間は薄れ『無』へと近づいていき。 音もなく、 ――消えた。

2013-08-26 06:03:55
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