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第二大罪大戦《一の狭間》【戦闘フェイズ2】

紅(ルージュ)は傲慢、オルグイユ(@Ssace_sin) 同じく怠惰、アセディ(@skbztter_sin) 同じく元黒強欲、イル(@ikjkr_sin) 黒(ノワール)は怠惰、トレークハイト(@sin_gomokumame) 続きを読む
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リコリス @actAcedie

ああでもこれだけは言わないと。 「わたし、『リコリス』って、いうの」 あの時、告げる事の出来なかった名をようやく、告げて。 「ありがとう、エッシェ。高潔になろうとしたきみ」 小さく、淡く、微笑む。そうして、紅の目が細められ、苦しげに喘いで。 「ごめんね、エッシェ。欲しがったきみ」

2013-08-26 01:45:12
リコリス @actAcedie

「きっと、『わたし』は、『きみ』から、何かを、奪って、しまった、のね」 零れた涙を掬うように指先を伸ばし痛ましげな表情を浮かべる。 視界は朧げに。目の前の青年すらもあやふやで。彼の綺麗な緑の目も何だかよく見えない。 ――ああ、何だかとても。 「ねむ、たい……」 目蓋が、落ち掛け。

2013-08-26 01:45:18
リズ @soujyu00_sin

もう一つ見えた狭間。兄と傲慢、傍らの男以外で、その名を知る黒の強欲は 「ヒジャウ(緑)――ヒィ、やっぱり、あなたなのね」 不鮮明な中見えた一雫に悲しいけれど、嬉しくて笑う。 笑うも、泣くも、素直でいい。難しい事じゃないと。 殺すと言う言葉には、やっぱり似てると、思いながら。

2013-08-26 03:16:12
リズ @soujyu00_sin

「あやまらないで、あやまらないで、アセディ」 彼女が何に対して謝っているかは分からない。彼女の『名』をあたしはこれしか知らない。 徐々に遠ざかる声に、不鮮明さをはっきりとする視界に――視界?に、それでも虚空へ声を。 痛々しい彼女の声は聞きたくないけれど――。全て聞くと決めたから。

2013-08-26 03:17:53
――― @sin_gomokumame

ずん、と背中から前へ、鈍い衝撃が貫いた。『傀儡』の刃が、背から腹へ、中央を的確に突き破る。 「かっ……っは……!」 喉の奥から何かがせり上がる感覚。しかし出血を削落された身体は赤い体液を零すことなく内に押し留めて、渦巻く不快感に悲鳴をあげる。倒れる力を、気力で腕に集めて。→

2013-08-26 01:57:54
――― @sin_gomokumame

その力で傲慢を押さえつけつつ、なんとか身体を支えた。隻腕、バランスを失った身体では、それもどれくらい保つかわからないが。   オ ル グ イ ユ 『傲慢であれとされたもの』 意味を込めて、名は名乗られて。→

2013-08-26 01:58:01
――― @sin_gomokumame

彼は求められて『大罪』となった。傲慢たれと、願われた。それは誰に? ――『世界』に。 「……ふっ、ふふ、っははは……」 ひゅうひゅうともれる息の音と共に零れるは、嘲笑。愚かな自分を、嘲笑う。→

2013-08-26 01:58:21
――― @sin_gomokumame

この戦いで欠けた『紅』も、『黒』も、誰もが確かに『世界』が認めた『大罪』だった。けれど、世界が求める『大罪(黒)』のかたちを、削落し続けることで自分の都合の良いように歪めていたのはきっと『怠惰(僕)』だった。怠惰であるがゆえに。怠惰でいられる安寧を求めて。→

2013-08-26 01:58:38
――― @sin_gomokumame

そして、怠惰であるがゆえに、『大罪』であるがゆえに、彼女は安寧を求めることをやめられない。削落し、歪ませ続けることをやめられない。 「……オルグイユ、きみは、『僕の安寧/僕の認める大罪』に『要らない』」 ふわり、スクリーンが1枚浮いて。→

2013-08-26 01:58:51
――― @sin_gomokumame

ごめんなさい。 ホーホムート、ナイト、ギーア、フェッラーライ、ツォルン、フライシェスラスト。君たちは確かに『世界が求めた大罪』だったのに、きっと、『怠惰(僕)』がそれを歪めていた。 謝罪は声にならずに、胸の奥で反響する。ぽたり、雫が、落ちる。

2013-08-26 01:58:56
『   』 @Ssace_sin

する、と。 糸が指先から、すり抜けていく。痛みはもう飽和して、感覚ももう茫洋とした中に投げ出されたようにつかみ所も無くて、それでも見上げる視界には、半透明のそれがくっきりと浮かび上がって。 ああ、と、声を漏らす。見下ろす片耳に菫、押さえつける腕に黒曜石の。 ——『要らない』と、

2013-08-26 02:40:06
『   』 @Ssace_sin

そう言われたのは、言われるのは、 『はじめてだ』と、琥珀を細めて、笑って、吐息ばかりの声で、言った。 「それ、でも」 手を伸ばす。血塗れた『紅』を伸ばす。 「ぼくは……其処、に——『此処』に」 たった一つ残った糸がするりと絡む。まるで正解を見つけたと言わんばかりに。

2013-08-26 02:40:06
『   』 @Ssace_sin

まるで真逆だ。一体何がだろう。 あの時もこんな青で。一体どの空だろう。 あの時も花と風の中で。——一体何処の事だろう。思う間に、息が漏れて。 指先が触れる。花弁がひとひら、頬に生まれて——『白い糸』が、『手繰られる』。 「成っ 、 、 レークハ ト」 泣いていたのは、僕なのに。

2013-08-26 02:40:08
――― @sin_gomokumame

「……要ら、な」 呼び出したスクリーンを、視界の前に置くことは、叶わなかった。がくりと腕から力が抜けて、そのまま、傲慢に重なるように崩れ落ちた。傲慢の血が、白いワンピースをじわと紅く染めてゆく。 むせかえるような花の香り。葉緑色の瞳が瞬く。

2013-08-26 03:02:31
――― @sin_gomokumame

僕が求めたから。僕が、君を、待っていたから、君は『此処』に来たのに。『要らない』、なんて。視界が、滲む。 『要らない』のは、『削落』されるべきは、『僕』だ。

2013-08-26 03:02:36
エッシェ @ikjkr_sin

名を呼ばれて。大きくなった、と言われて。 目の前の彼女を見下ろす自分の目から、更に雫が落ちていく。 君とあの汚い路地裏で会った日。僕は君に名前と、懐中時計をもらった。 懐中時計に刻まれた文字で、君の名前を知った。 けれど名前を呼ぶ前に、君は僕の前から消えてしまって。

2013-08-26 03:16:43
エッシェ @ikjkr_sin

どうしようもないこの虚無感を、僕は『白昼夢』と思い込むことで埋め合わせた。 ――その、白昼夢を今、消し去ろうとしているから。 今まで何度も奪ってきたのに。どうして今、こんなに苦しいのか分からない。 僕に謝り続ける彼女の声を聴いて、あふれる涙を袖で拭う。

2013-08-26 03:16:49
エッシェ @ikjkr_sin

『奪われた』、という悲しみは確かにあるけれど。 「君は、悪くない」 ――全ては、僕らが『大罪』になってしまったから、だ。 告げられる彼女の名前に、赤くなった目元で眉を歪めぎこちなく笑う。 「やっと、聞けた」 君の口から、君自身の名前が聞ける日を、この瞬間を待っていた。

2013-08-26 03:17:45
エッシェ @ikjkr_sin

ポケットから懐中時計を取り出し、開けた蓋には、『リコリス』と言う先ほど聞いた名が彫ってあって。 それと彼女を交互に見て、ふわり笑む。 僕の血で汚れた彼女の手を見て、小さく転移、と呟く。 温かい気持ちがそのまま白いベールのように彼女を包んで、土の中から自分の腕の中へと移動する。

2013-08-26 03:17:55
エッシェ @ikjkr_sin

麻痺が切れてぶり返す痛み、共に戻った僅かな力で彼女を抱く腕に力をこめ。 「君は、『僕』をくれた」 柔らかく笑う。 「ありがとう」 時計を横に置き、礼を告げ。 「さよなら、アセディ」 ナイフを手に取りだし、かつての『彼女』に別れを告げ。 「おやすみ、――」 終わりの、挨拶を。

2013-08-26 03:18:05
エッシェ @ikjkr_sin

「リコリス」 伏せられた瞼の奥の、紅を見つめるように。そして愛おしむように、名前を口にして。 ――どうせ消えてしまうなら、僕の手で確実に奪わせて。 そう想いながら、ナイフを彼女の手首に押し当てて滑らせる。

2013-08-26 03:18:11
リズ @soujyu00_sin

「おやすみなさい、アセディ」 呟いた言葉は、いつだって寝てばかりの彼女に向けた言葉の、ひとつ。 ひとひら、ひとひら。薄くなっていく紅色には気づかないまま。 笑う。いつだって、彼女と一緒に額を突き合わせ笑った時と同じ、明るさで。 紅が、記憶が、繋がりが薄れるごとに輪郭は揺らいで

2013-08-26 03:19:21
リコリス @actAcedie

「おやすみ、なさい……」 「『わたしのだいすきなきみ(エッシェ)』」

2013-08-26 03:22:25
『   』 @Ssace_sin

糸が、繋がったそれが手繰られて。 それを感じてようやく、思い知る。人形(かいらい)は、『傀儡』は、ああよほど『空の器(にんぎょう)』の方が、 ――繰られるだけの傲慢よりも。 目前に伏せられた菫にまた手を伸ばそうとして、思い通りにならない理由を知る。元よりそんな『もの』は『無い』。

2013-08-26 03:22:45
『   』 @Ssace_sin

崩れるようにしたその人を抱き止めようとしても、それは為らない。糸はもう途切れてしまった、『硝子(ヴェル)』に折り重なって形を成した『傲慢たれという慾望(オルグイユ)』など、そんなものは『元より無い』、『そもそも存在すらしない』のだから、 ――だからきっと、もう、保たないのだろう。

2013-08-26 03:22:58
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