ノーホーマー・ノーサヴァイヴ #2

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォートレスはサブスティテュートに合図した。大ニンジャは言った。「察しの通りよ。いじましい努力に応えて、お前を出塁させてやろってんだよ。次のバッターに任せるがいいぜ……居るならな!」「イヤーッ!」サブスティテュートが放物線を描くボールをフォートレスの高く上げた右手めがけ投擲!16

2013-08-28 21:15:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!なんたる高さと遠さか!バッターボックス内のニンジャスレイヤーがバットを届かせる事はもはや物理的に不可能ではないか!放物線を描いて投げ込まれた投球はフォートレスの天高いミットに吸い込まれる。「ボール!」アマクダリ審判が叫び、スコアボードのBのランプが一つ点灯した。 17

2013-08-28 21:19:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サブスティテュートが再び放物線投擲!「ボール!」Bのランプが二つ点灯!Bランプは三つしかない。四回ボールを出せば、守備側ペナルティとして、バッターは一塁に出塁する。通常であればこれは守備側のウカツを意味する。だが、限られた局面において、あえてバッターを敬遠する戦術がある。18

2013-08-28 21:27:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

強打者に本塁打を打たれるよりも、そのバッターを一塁に送り、損して得を取る方法だ。そして考えてもみてほしい、今この状況を。今は上記シチュエーションのいわば極致だ。思い出していただきたい。ニンジャスレイヤーは独りなのだ。他にバッターボックスに立てる者無し!出塁してはならないのだ!19

2013-08-28 21:29:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」またも放物線!なんたる事か!「ボール!」「グフフフフ……お前の背中が小さく小さく、頼りなくなってきたぜ……」フォートレスが嬉しそうに言った。「次で終わりだ。ボールフォアでお前の人生もゲームセットよ」「その高さと遠さで……果たして、そうかな」「何?」 20

2013-08-28 21:36:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォートレスは聞きとがめた。ニンジャスレイヤーは答えず、マウンドのサブスティテュートに向き直る。「生意気な奴にはペナルティを与えるのが俺の作法よ……」フォートレスが低く言った。そして右へ足をにじり、さらに遠く高く右手を掲げた。「俺の、ジョックのスタイルよ!出る杭は打つ!」21

2013-08-28 21:41:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」サブスティテュートの目が処刑人めいてギラリと輝き、さらに高い放物線球が放られた。ナムサン……ゲームセットカウントダウンか?だが、その時だ!ニンジャスレイヤーはカッと両目を見開き、叫びながら跳躍したのだ!「イヤーッ!」「何!」フォートレスが目を剥く! 22

2013-08-28 21:42:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

クルクルと回転しながらバッターボックスを大きく逸脱して飛び離れたニンジャスレイヤーは放物線球に接近……そして、空中でバットを振り抜いた!「イヤーッ!」ガキイン!「バカな!」フォートレスが煙を吹いた。「ボックスに戻れまい!反則自殺行為もいいところ……グワーッ!?」23

2013-08-28 21:44:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォートレスは己の右手首を見た。何かが巻きついている……縄?そう、それはフックロープだ!「何……これは!取れぬ!」見よ!縄のもう一方の端は、当然空中のニンジャスレイヤーだ!「バカな、バカなーッ!」その時だ!「グワーッ!」「サブスティテュート=サン!?」 24

2013-08-28 21:47:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウランガ!ニンジャスレイヤーの打球がドライブ回転しながらサブスティテュートの肩に直撃していた!「グワーッ!」サブスティテュートは悲鳴を上げ、マウンドでのたうつ!「バカな!」フォートレスは狼狽した。だが彼は注意を向けねばならなかったのだ!ニンジャスレイヤーに!「イヤーッ!」 25

2013-08-28 21:48:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ロープ巻き取り機構を働かせ、ニンジャスレイヤーがフォートレスへ飛来!「イヤーッ!」「グワーッ!?」強烈な空中踵落としがフォートレスの肩に叩き込まれる!その反動でニンジャスレイヤーは一塁側へ回転ジャンプ!回転の中からヘルメットが飛び出し、フォートレスの顔面を直撃!「グワーッ!」26

2013-08-28 21:53:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何が起こったんです!?」アマクダリ審判はなす術なくニンジャ達を交互に見た。ニンジャスレイヤーは回転着地、さらにフリップジャンプして、一塁ベースを蹴ると、二塁へ向かってスプリントを開始した!「カバー……カバーしろーッ!」「スッゾー!」サイボーグ野球ヤクザが転がる球に飛びつく!27

2013-08-28 21:55:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ザッケンナコラー!」二塁手へ……否!野球サイボーグの精密な状況判断をもとに、三塁手へ投擲!ボールをキャッチしたヤクザが、致命的スパイクで覆われた殺人グローブでニンジャスレイヤーに殴りかかった!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは身を沈め、攻撃をワン・インチ回避!ホームへ走る!28

2013-08-28 22:12:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スッゾオラー!」ベンチの野球ヤクザが隠しチャカ・ガンでニンジャスレイヤーを射撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは走塁しながらこれをブレーサー(手甲)で弾き返し、さらに加速する!「死ね!内臓をブチまけて死ねーッ!」フォートレスがスパイクタックルの構え!突進す!「イヤーッ!」29

2013-08-28 22:19:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「走塁の……」ニンジャスレイヤーは怖じぬ!「邪魔だ!イヤーッ!」「グワーッ!」殺人巨壁タックルを危うく跳んで躱し、交錯時にその横面へ強烈なサイドキックを叩き込む!「何が起こったんです!?」アマクダリ審判が砂煙を見通そうとするうち、ニンジャスレイヤーはホームベースを踏んだ! 30

2013-08-28 22:25:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あと126点」ニンジャスレイヤーはヘルメットを拾い、呟いた。サブスティテュートはストレッチャーで運ばれてゆく。ニンジャスレイヤーはザンシンめいて見守る。敵はこの暗殺野球に全てをかけている。引き下がるまい。強化ZBRアドレナリンを含めたリカバリーを行いASAPで復帰する筈だ。31

2013-08-28 22:35:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「味なマネをしてくれるじゃねえか」フォートレスがキャッチャーのポジションへ戻りながら吐き捨てた。ニンジャスレイヤーは替わりにマウンドに立つピッチャーヤクザを見ながら言葉を返した。「くだらぬ小細工にどんな報いが待っているか、理解したか」「これで勝ったと思うなよ……」32

2013-08-28 22:40:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フォートレスの言葉は負け惜しみではない。依然、ニンジャスレイヤーに慢心は許されない状況なのだ。ピッチャーヤクザサイボーグはサイバーサングラスに「殺しも罪悪感の無い投手」の文字を流し、鋼鉄筋肉の切れ目からUNIX光を発する。威圧的だ。だが、ニンジャではない。 33

2013-08-28 22:48:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ここまでは良い流れを維持している。だがそれがいつ崩れるとも知れぬのだ。ニンジャといえどスタミナは有限。サブスティテュートが戻るまでに、ニンジャスレイヤーは何点、何十点獲れるか?それがこの勝負を分けるといっても過言ではない。オニタマゴ・スタジアムは彼を捕らえた戦闘牢獄である!34

2013-08-28 22:55:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【ノーホーマー・ノーサヴァイヴ】#2 終わり。#3に続く

2013-08-28 22:56:28