「マニア」と「ファン」の乖離あるいは断絶について 《山崎雅弘》

昔から様々な分野で存在し、ネットの登場でさらに加速しているかに見える「マニア」と「ファン」の乖離現象について、思うところを書いたツイートをまとめてみました。
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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

『歴史群像』誌次々号の記事テーマについて、編集長と電話で相談した時、いつも痛感する問題をまた思い出した。「戦史マニア」はネットや洋書で日々新たな情報を仕入れて知識を更新しているが、気楽な「戦史ファン」は、そんなに駆け足では知識を更新しない。その結果、両者の差はどんどん開いて行く。

2013-08-25 17:05:50
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「戦史マニア」の間ではかなり昔から「常識」として周知されているような歴史的事実や解釈が、「戦史ファン」の間では全然知られていなかったりする。トンネルが深く掘られれば掘られるほど、先端を進む人と、浅いところにいる人との距離は遠ざかり、やがて直接会話できないほどに隔絶した関係になる。

2013-08-25 17:07:03
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ある主題についての会話で、自分の「常識」を相手が知らないことに苛立った「マニア」が、居丈高に「ファン」を恫喝するような光景もたまに見るが、「ファン」は相手が何に怒ってるのかさっぱり理解できない。嫌な思いをした後者は、自然と前者を避けるようになり、両者の断絶はますます深まっていく。

2013-08-25 17:08:00
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

NHKで現代史の番組が放送されるたび、なぜか「俺はあんな話ずっと前から知っていた」と憤慨する「歴史マニア」の姿を時おり見かける。一般に広く知られていない重要な歴史的事実が、TVで紹介されることには大きな意味があると思うし、それがなければ「マニア」と一般人の認識の落差は広がる一方。

2013-08-25 17:09:19
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

スポーツの選手やチーム、歌手やアイドルのファンも含め、趣味の分野で対象への知識量や応援期間の長さなどを自尊心の拠り所にしてしまった「マニア」は厄介な存在かもしれない。自尊心を守るために、新参者を「ニワカ」と呼んで見下して威圧し、彼ら・彼女らに足払いをかけるような態度を平気でとる。

2013-08-26 12:21:31
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

愛好・応援する対象に対して多少なりとも愛情があるなら、新参者を「ニワカ」と呼んで見下したり威圧したり、彼ら・彼女らに足払いをかけるような態度はとれない。「愛国者」を名乗る人が実は「その国の一員である自分自身」を愛するように、ある種の「マニア」も対象でなく実は自分自身を愛している。

2013-08-26 12:22:29
山崎 雅弘 @mas__yamazaki

その分野での自分の立ち位置や社会的な役割を意識できる「マニア」と、ひたすら自分の知識を増やし優越感に浸ることにしか関心のない「マニア」。生涯後者という生き方を否定するつもりはないけど、コミュニティ全体を見渡して、自分が「害」をなしていないか定期的に自省する態度は必要だろうと思う。

2013-08-26 12:23:40