即興ニンジャよたばなし バトル・オブ・コンプティーク #4

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藻類(nsfw) @kunshomo_actual

先日から本アカウントで気まぐれに連載されている短編についてある疑念がある。そう、コンプティークの重版分はもう発売されたという点だ。

2013-10-05 21:09:15
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

だが既に# 3までが連載されており、最後に# 4へ続くというツイットをした以上少なくとも# 4をやる必要があるように思うので、やります。また、途中で放棄するのも座りが悪く、可能であれば最後までやりたい。どうぞよろしくお願い致します。

2013-10-05 21:10:58
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

【バトル・オブ・コンプティーク # 4】

2013-10-05 21:12:39
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

(前回までのあらすじ)お世辞にもカラテ巧者であるとは言えぬアドミラルであるが、その我が身を省みぬカラテと戦術により なんとかクローンヤクザの包囲を突破、ボーキサイトインゴットを入手する。下層フロアを撹乱した 彼は二つ目の目標である『情報』を求め上層フロアへと侵入したのであった。

2013-10-05 21:13:48
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

ブーンブンブン。ブーンブブ。ブーンブンブン。コケシマートのテーマのベース音が壊れかけた内線スピーカーから ざらついたノイズと共に流れる店舗フロア。クローンヤクザたちは現在下層の倉庫フロアを重点捜索しており、 捜索が上層フロアまでに至るのは実際あと少しの猶予あるであろう。

2013-10-05 21:16:55
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

大きく膨らんだバイオフロシキを背負って走るのは、アドミラル。 危険なネイビー妄想ニンジャである。彼のカラテは実に荒削りで未熟だ。 しかしその狂気からもたらされる使命感が、多少のダメージを意に介さぬヤバレカバレとも取れる戦法を可能としていた。

2013-10-05 21:19:43
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

かつての戦争で生まれた謎めいたニンジャソウルは宿主である彼に苦難が訪ればより大きく燃え盛り、 より強烈な麻薬的作用を持った使命感を与え、アドミラルを突き動かすのである! いかなダメージを受けても、シツレイと罵られようとも彼にとってはさほど重要なことではない。

2013-10-05 21:25:49
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

かつて俳人剣士、ミヤモト・マサシは「ブッダは七回でも八回でも九回でも試練を与える」というコトワザを残した。 ブッダがなにゆえ彼をそのような境遇に選んだかはわからない。 何らかの意思があってかあるいはさしたる意味が無いのか―それはブッダその人こそ知ることである。

2013-10-05 21:28:02
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

アドミラルはフードコートのテーブルやベンチを一跨ぎに飛び越え、陳列棚を飛び越える!そして目的地に向かって パルクールパフォーマンスめいてUNIXめいた計算力で弾き出された最短距離を走る!重い荷物を背負っているにもかかわらず俊敏な動き!ワザマエ!

2013-10-05 21:30:26
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

床の虚無的な広告フレーズを投げかけるバイオ防水半紙が舞い上がるよりも速く フロアを駆け抜け、全力スプリント!彼が駆け抜けた後には突風がピンポイントで発生したかのように渦を巻いてバイオ防水半紙が、打ち倒されたノボリが舞い上がり、突然の嵐の来訪を告げていた。

2013-10-05 21:36:14
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

巨大ダンプの急ブレーキめいた音と共にアドミラルはフロアを滑り、床に焦げ跡を残しながら停止。 舞い上げられた埃がチリチリと燻りながら散っていく。アドミラルが見上げる先にはミンチョ体で「知識チャンバー」と書かれたLED看板が蜘蛛の巣まみれで下がっていた。

2013-10-05 21:40:28
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「知識」「タノシイ」「体験」デフォルメされた戯画アニマルがカトゥーンフキダシで物理書籍の重要性、娯楽性をアッピールする巨大ポップや 様々な広告、求人情報誌などが散らばる上を踏み越え、アドミラルは薄暗い書店内へとエントリーした。

2013-10-05 21:42:04
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

通路の両脇にはたいへん背の高い書棚に大量の書籍が詰め込まれたままになっており、色とりどりの背表紙が並んでいる。 平積み台には防水シートがかかっており今でも何者かによる手が加わっているのは容易に見て取れる

2013-10-05 21:46:59
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

ジャングルのバイオジャガーめいて重点警戒しながら進むアドミラルのニンジャ感覚には ニンジャソウルがすぐ近くにあることも感知されている。 彼がまともな神経の持ち主であれば、ボーキサイトインゴットを入手した時点で撤退しただろう。 「敵前のスモトリ、ドヒョウリングを踏まず」。

2013-10-05 21:48:44
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

ただし、それは一般的なニンジャの状況判断である。 彼に憑依したニンジャソウルはそれを許さず、より危険で難易度の高いタイガー・クエスト・ダンジョンを彼に課すのである。

2013-10-05 21:49:07
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

かつてのクラシックケマリ選手やアメリカンフットボール選手、オールドオイランアイドルが微笑みかける表紙が並んだ 雑誌コーナーを横切り、色とりどりの食欲をそそるオーガニックフード表紙本が並ぶ一角を縦断。 違う。この区画ではない。もっと先だ。暗いコリドーめいた通路を進む。

2013-10-05 21:51:31
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

旧世紀UNIX技術書が並ぶ書棚へと差し掛かる。敵は?近い。ひりつくニューロンの感覚が伝えている。数は一人であるが、近くにニンジャがいる。アドミラルの背を汗が一筋流れる。 カチリ。奥ゆかしいアナログ時計の針が音を立てて深夜二時ちょうどを指した。その時である!

2013-10-05 21:54:22
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「ウオーッ!」書棚の上から何者かが飛び出し、落下しながらアドミラルの脳天を狙ったチョップを繰り出す! アドミラルはかろうじてこれに反応し、両腕を交差させてガード!重い打撃音! その衝撃で地面に亀裂が走り、細かい粉塵が巻き上げられチョップの衝撃の大きさを物語る!

2013-10-05 21:56:46
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

アンブッシュ者は着地の隙をバックフリップで消しながらやや離れた場所に着地。 もしアドミラルにカラテのワザマエが、あるいはスリケンがあれば反撃できた場面だ。 しかしアドミラルは若く実戦経験に乏しい。スリケンも持っていない。 体勢復帰し、敵をカラテ警戒するのが精一杯だ。

2013-10-05 22:00:37
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「グフフ……ドーモ、リグレートです。貴様、ペケロッパカルティストか?おかしな格好をしおって」 先制してアイサツをしたのは身長8フィート近い巨体ニンジャである。 「ドーモ、アドミラルです。ぺけ……ペケ……なんだと?」 対するアドミラルの身長は6フィート。体格的な不利は自明である。

2013-10-05 22:03:10
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「おおかた神聖なるUNIX記録を求めたジャーニ・トゥ・ザ・ウェストといったところであろうが、エエッ?」 「……貴様、何を言っている?」 「何?……まあいい。とにかく俺は潜り込んだネズミをいたぶって殺すのが大好きでな……グフフ」 リグレートは威圧的に拳を打ち合わせる。

2013-10-05 22:08:00
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「グフフ、ほら来い、来てみろ、バラバラにして殺してやるぜ!」 「イヤーッ!」アドミラルは愚直に突進、カラテパンチで強襲を試みる! おお、ナムサン!凄まじいイクサに慣れた読者諸君の目にはスローモーションに見えるだろう! せめてこれがポン・パンチであったならば!

2013-10-05 22:10:50
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「ガハハ!バカめ!よほどイクサを知らんと見える!」スポスポスポ! リグレートは両腕装甲に装着されたオートマチックスリケンガンから小型スリケンを三連発射! 「グワーッ!?」アドミラルの胸板に三つのスリケンが連続で突き刺さる! 突進の勢いを殺され、ひるむアドミラル!

2013-10-05 22:12:41
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

払い下げの武器であるリグレートのこの武器は急所に命中させねばおよそ致命傷を与えることはできない。 スリケンも小さく、毒も塗られていない極めて威力の小さいものである。イクサ慣れしたニンジャにとってはそのスリケンを防ぐのは容易な事であろう。だが今戦っているのはこのアドミラルである!

2013-10-05 22:16:16
藻類(nsfw) @kunshomo_actual

「ヌゥーッ!」アドミラルは胸板に刺さった三つのスリケンを引き抜き、力任せに投げ返す! カキン!カキン!カキン!リグレートはこれを腕部装甲で容易に弾き落とす。 白い装束の胸元を血に染めたアドミラルはまたもリグレートに対し猪突猛進! ブッダはこの男に学習能力を与えなかったのか!?

2013-10-05 22:18:57