【twitter小説】標本の館#4【ファンタジー】

若い冒険者であるモアとクレインは、ある不思議な館の譲渡の話を聞く。奇妙なことに夫婦であることを条件として譲渡するというのだ。モアとクレインは夫婦ではないが――? 小説アカウント@decay_world で公開したファンタジー小説です。この話はこれで終わりです
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減衰世界 @decay_world

 館はほとんど使われていなかったのか、テーブルクロスも白く、調度品はほとんど壊れていない。モアのコピーはテーブルに花を飾っていた。ゆったりとした午後の時間が流れる。クレインは、ここで気になっていたことを話し始めた。 116

2013-10-11 15:37:32
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「なあ、君たちは僕らと意識を共有してるから言わなくても知っているだろうけれど……僕らは偽装結婚だったんだ」 「うん、それがどうしたの?」  モアのコピーは花を弄りながら笑って答える。 117

2013-10-11 15:43:56
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「どうしたって……僕らは書類上の関係で……おじいさんの言っていたような完全な関係じゃ……」  モアのコピーは作業を終え、紅茶を飲んでいるクレインのコピーの傍へ歩いていった。そしてまた笑って言うのだった。 118

2013-10-11 15:48:28
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「意識を共有してるからわかるでしょう? 私たちはこんなに愛し合っているのに、どこか不都合なことがありましょうか?」  そう言ってコピーの二人は軽く口づけを交わした。 119

2013-10-11 15:55:50
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 モアとクレインはそれを見て、照れながら慌ててやめさせたのだった。 120

2013-10-11 15:57:23