悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』序章三日目

あの頃の榛名 @harunas_ward

@Kongou_limited な、なんでもないわよ…！　金剛姉さんと一緒にしないで！　ちょ、最上さんは関係無いでしょ！　そ、その笑顔やめてよ姉さんってば！

金剛 @Kongou_limited

@harunas_ward 気をつけてネ、榛名　同性は際限がないと聞きマース！（場数を踏んだ笑み

あの頃の榛名 @harunas_ward

@Kongou_limited 気をつけるも何も…、そんなのじゃないってば！ も、最上さんは…ただの友達、だもん…。 あれ!? っていうか誰かから聞いたの!? ちがっ…！　昨日のは、元気付けてもらってただけで…！

金剛 @Kongou_limited

@harunas_ward　@AAC_MOGAMI 　 榛名、自爆してるヨ？私は朝寝としか言っていないと思いマース♪ それと最上サン、食堂裏の松の木の下で待っていますカラネ（にっこり

あの頃の榛名 @harunas_ward

@Kongou_limited 知ってるじゃん！やっぱり知ってるじゃないの！ もー！　違うってばぁ！

あの頃の榛名 @harunas_ward

姉さんにからかわれている内に、少し肩の力が抜けている事に気付く。 相変わらず、姉さんは気の使い方が上手いわね。周囲は、比叡姉さんと霧がしっかりしていて、金剛姉さんは自由奔放だと思ってるけど、一番姉妹全体の事を想っているのは金剛姉さんなのだ。

あの頃の榛名 @harunas_ward

と、不意に提督から戦闘態勢の指示が飛ぶ。策敵班が敵影を発見したようだ。 口元を引き締めて、左舷から海に視線を走らせる。隣の金剛姉さんも、既に笑顔を消して、細めた瞳を海原に向けている。

あの頃の榛名 @harunas_ward

こっちには何も見えない。もっと遠くなのか、はたまた右舷か。 判断を迷う一瞬の間に、右舷から発砲音が響く。 姉さんと共に甲板の上を駆ける。

金剛 @Kongou_limited

@harunas_ward 榛名！（一瞬だけ安心した、と笑顔で伝えた後砲撃の音源へと走る。

あの頃の榛名 @harunas_ward

右舷側に出ると、確かに敵の姿は目視できた。でも、全然遥か彼方であり、数秒前に聞こえた大砲が届くような距離ではない。 何があったのか、視線を走らせると答えはすぐに見つかった。 立ち尽くした山城の背負った砲が薄く白煙を上げている。 山城…？ 山城は俯いたまま、何かをぶつぶつと。

嫉妬レウス @singyo

@harunas_ward 　＜偵察７号より本隊、敵部隊は水上打撃艦隊と水雷戦隊の２部隊に分かれる、水雷戦隊は推定３０ノットにて右舷より本隊へ接近中＞

あの頃の榛名 @harunas_ward

偵察機からの音声が艦のスピーカーから響く。その場にいた全員がそれを聞きながら、でも視線は敵を向いてはいなかった。 私と姉さんを含めた５人の艦娘は、言葉を失って山城を揃って見詰める。 当の山城は、ゆらりと、一歩前に進み。

あの頃の榛名 @harunas_ward

山城！ 叫ぶ。 駆け寄る。 手を伸ばす。 あと少しで届く寸前に。 山城がこっちを見る。 にたぁ、と口元を横に伸ばし、楽しそうに、哀しそうに、嬉しそうに、辛そうに、笑って私を瞳孔の開いた瞳に私を映す。

あの頃の榛名 @harunas_ward

背筋に冷水をかけられたみたいに悪寒が走り、足が止まり手を思わず引いてしまう。 すっ、と私から目と顔を背け、山城が前を向く。遥か遠くに見える敵艦隊を、無感情に、怒ってるように、無機質に、玩具を見つけた子供のように。矛盾する要素を全て混ぜて込めた瞳で、眺めている。

嫉妬レウス @singyo

@harunas_ward ＜くぉら艦娘連中！敵打撃群間も無く砲戦距離！水雷戦隊は有効射程内！全員寝ぼけてるのか！？＞（一番前に出てる山城の眼前を低空でフライパスしつつ）

あの頃の榛名 @harunas_ward

偵察機の一機が怒号を撒き散らしながら山城の前を飛ぶ。そして、瞬時にバラバラの破片となって海に散らばっていく。 何が起きたのか一瞬わからなかった。いや、わかり切っているのに、理解できない。 数秒かけてようやく理解する。 柵の上に跳び乗った姿勢のままの山城を呆然と見詰める。

あの頃の榛名 @harunas_ward

は…？ 自分のとは思えない声をどこか遠くに聞く。 一瞬で柵に跳び、そして偵察機を…。 握り潰した…？

あの頃の榛名 @harunas_ward

彼女の口が小さく動く。声は全く聞こえなかったけども、何を言ったのかはわかった。唇の動きで発声を読む技術なんて持っていない。それでもわかったのだ。 あたまがいたい。 と、彼女は呟いた。

あの頃の榛名 @harunas_ward

誰も何も言えず、動けない甲板の上を完全に無視して、山城が柵を蹴って海へと飛び降りる。 その後に私達が見たのは。 山城が１人で演じる、ただの破壊と蹂躙と虐殺だった。

金剛 @Kongou_limited

@harunas_ward ……榛名、榛名？

あの頃の榛名 @harunas_ward

肩をゆする姉さんに何も答える事ができない。 私の選択と判断の結果は、最悪の形で現実化している事を、今頃になって気付いたのだ。

あの頃の榛名 @harunas_ward

【リンクシナリオ序章３日目前半完】 【色々と真相が明らかになる３日目後半に続く】

あの頃の榛名 @harunas_ward

【リンクシナリオ　序章３日目後半開始】

あの頃の榛名 @harunas_ward

ドッグのベッドの上で寝息を立てる山城の横顔を見詰める。数時間前に敵艦隊を単独で殲滅し、そのまま意識を失って海中に沈んだ所を姉さんと私が引き揚げてから、ずっと眠ったままで起きる気配は無い。外傷はどこにも見当たらなかったけども、だからこそ昏睡したままの状態は心配を嫌でも誘う。

扶桑改二 @husou_kankore

@harunas_ward 山城･･･（そっと眠り続ける山城の手を握る