do_dlingさん『逆光』をつぶやく

トマス・ピンチョン『逆光』(新潮社刊)からの引用など
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do_dling @do_dling

【逆光】25 きのうは読めなかったけど今日は上p522まで。たとえばp453に出てきた人物の名前に見覚えがあり、人名その他を書き殴ってるノートをめくりかえして「ああ、あのときのあいつ!」と知る。こういうことも読書のうちだと考えてるので、メモをやめればもっと進むのにとは思いません。

2010-10-06 02:46:34
do_dling @do_dling

【逆光】26 話は・・・進んだなあ。ずいぶん繋がってくるいっぽう、新要素も様々で、どんどん大きくなる。某一家の話はそれだけでも読ませるが、この小説では流れのひとつとして組み込まれ、なかなか結びつくように見えないほかの流れと触手を絡め合っている。

2010-10-06 02:47:40
do_dling @do_dling

【逆光】27 「二つのバージョンの“アジア”」! 内田良平の〈黒龍会〉! 13世紀、1万人のインディアンは何を見たのか? 何が大ネタで何が小ネタなんだか。しかしまだ1/4を越えたくらいなんだな。大勢が〈不可視〉だの〈別の存在〉に触れるし、〈時間の外〉がどうこう、とも。

2010-10-06 02:48:58
do_dling @do_dling

【逆光】28 屋台骨になるはずの数学とか物理の話も出てきたが、私は「そういうのがあるんだなあ」程度で読み進めてしまう。それで面白いけど、怒られそうな気もする。知識があればより楽しめる(どこから嘘になってるかわかればもっと興奮できる)のはわかります。なくても楽しいと言いたかった。

2010-10-06 02:53:57
do_dling @do_dling

【逆光】29 そんなピンチョンが性的な方向に走ると、中学生男子の妄想と大差ないファンタジーを紡ぐことになっちゃうのはいったいなんなのか。本当は、歴史観とかについても同じようなことになっていないか考えるべきなのかもしれないが、ええと、脈絡のない引用を最後に。

2010-10-06 02:55:08
do_dling @do_dling

【逆光】30《彼は自分の中に、泣こうとしている傷ついた少女がいるのを感じた―苦痛で泣くのではなく、さらに危害を加えようとする人物をなだめるために泣くのでもなく、貧者を見捨てる町の冬の通りに放り出されることを恐れるかのように泣くのだ。彼はずいぶん長い間泣いたことがなかった》p500

2010-10-06 02:56:27
do_dling @do_dling

【逆光】31 このゴテゴテ感。《氷と水と蒸気という三つの層の水が入り混じり、その中をくぐるようにして、カスタネットを両手に持ったウェイター長に指揮された氷娘たちがローラースケートでテーブルの間を周り、低温の固体で満たされた、店の名前入りの亜鉛めっきバケツを配っていた》上p573

2010-10-07 02:30:07
do_dling @do_dling

【逆光】32 上p617まで読んだ。鉱山関係の話(フランク)は、階段を三段飛ばしで上がるテンポながらノロノロしているという不思議な印象。ちょっと語りすぎじゃないだろうか。ダリーや〈不都号〉の面々、そしてヤシュミーンはどうしてるだろうか。

2010-10-07 02:30:58
do_dling @do_dling

【逆光】33 それにしてもたびたび感じ入るのはピンチョンの戦略的ご都合主義とでも言えそうな書き方で、たとえば上p554、潔いくらい都合のいい展開を、「都合いいですよ」と札を付けて提示する。こちらは「もう!」と笑って受けとめるので、結果、ご都合主義がヌケヌケと実現されることになる。

2010-10-07 02:34:37
do_dling @do_dling

【逆光】34 ・・・ただのご都合主義ではないふりをしてほかならぬご都合主義を成立させる、かなりうまい手だと思う(私はきっとピンチョンに甘い)。さらに『重力の虹』までだと、ご都合主義と、「これは陰謀かもしれないぞ」という疑惑を循環させる、手品みたいな書き方も使われていた記憶。

2010-10-07 02:36:50
do_dling @do_dling

【逆光】35 《二人はタイムマシンの外見を見て、ことさら先進的という印象は受けなかった。耳障りで単調な鈍い音の中で、南北戦争以前のダイナモに取り付けられていてもおかしくないような不格好な電極の間を、青い火花が激しくにぎやかに飛び散っていた。》上p626

2010-10-08 02:01:59
do_dling @do_dling

【逆光】36 きのう読んだ部分との差は何なんだ。上巻p736まで。砂漠を進むサンダーバードふうの「潜砂フリゲート艦」とか、チープでくだらないもろもろが饒舌の雪崩に乗って次々押し寄せる。地下都市シャンバラ!あと「時間旅行会議」。楽しいなあ。

2010-10-08 02:04:12
do_dling @do_dling

【逆光】37 とにかく、〈時間〉が取扱注意なのはわかった。いっぽうで、荒野の大メロドラマも進行中。作中世界での〈不都号〉メンツのありかたは『ドン・キホーテ』の続篇のほうみたい?(てきとう)

2010-10-08 02:05:26
do_dling @do_dling

【逆光】38 脱線はこれまでも山ほどあったけど、上p650あたりからの数ページは、列車がレールから逸れるというより、鯛焼きの餡が腹から「洩れちゃう」ようなはみ出しかたで、何が起きてるのか謎だった。でも本筋として回収できそうなくすぐりもある(ように見える)から、さらに謎スパイラル。

2010-10-08 02:08:27
do_dling @do_dling

【逆光】39 《あるいは、おれたち自身が何かの進化を遂げて、かつての自分たちの不完全な複製になってしまったのではないか?》上p656 盛り上がってきたなあ。スパイラルといえば、竜巻と意思疎通を図ったりもした。あと巨大ノミとか。今日はずっとクスクスしてた。

2010-10-08 02:09:10
do_dling @do_dling

【逆光】40 最後。文脈無視して引くと、《〈時間〉と〈空間〉について大いなるあいまいさが存在するその場所で何日もの時間が経過し、》という文章があって笑った(p690)。それって、まるでこの『逆光』のことのようだと思ったので。

2010-10-08 02:11:15
do_dling @do_dling

【逆光】41 やっと上巻を読み終えた。862ページあった。原書は1巻本だから上下巻の区切りは「真ん中あたり」で事務的に切ったんだろうに、もろもろの期待を煽りに煽ったところで「下巻に続く」。お見事。《地球の曲面のすぐ向こうにある夜から姿を現そうとしているのは何なのか?》p854

2010-10-10 06:56:16
do_dling @do_dling

【逆光】42《しかし、それが意味するところは……興味をそそるその可能性がすぐ手の届きそうな場所にあるということなのではないのか……。》上p771  《ジブラルタル海峡が二つの世界の間の形而上学的な分岐点》p808  《最近は、厳密な意味での現実ってものが存在しなくてね。》p829

2010-10-10 06:56:37
do_dling @do_dling

【逆光】43 大西洋の西と東でいろんな集団がいろんな思惑によりうごめいているらしい話がいちばん派手で(待ち合わせ場所はゲッティンゲン?)、でも、それより「上」で展開する〈不都号〉話が一足先に鍵になるっぽいのかな。いっぽう、鉱山の話はちょっと地味。いずれつながるんでしょうが。

2010-10-10 06:58:14
do_dling @do_dling

【逆光】44 派手な話はまず登場人物が派手。国際的な悪事をもくろむケンブリッジ大教授とか、実数と虚数を経めぐる四元数の原理を自分の体で実演するヨガ数学者とか。驚異のはったり・与太話をどんどん重ねていく。「やりすぎる」という書法。

2010-10-10 06:59:37
do_dling @do_dling

【逆光】45 対して鉱山話は、父娘の確執とか血の復讐とか男女の力関係が逆転する瞬間だとかを凝縮リアリズムでじわじわ語っていく感じなんだが、忘れちゃいけないと思われるのは、こちらだって(派手話と同じで)やりすぎ書法でできている、ということ。本当だろうか。

2010-10-10 07:02:49
do_dling @do_dling

【逆光】46 とはいえ、より期待しちゃうのは派手な話の派手な展開で、注目される「別の世界」は、どうも期待以上に小説世界を撹乱する模様。ついていけるか不安だけど、しかし、「衣擦れの音を無化する消音フロックコート」なんかが出てくる話に不安を覚えるのは根本的に間違ってる気もする。

2010-10-10 07:03:55
do_dling @do_dling

【逆光】47 上巻の終わりが見え、読むのが加速してきたところで出てくるマヨネーズ講義には笑った。卵黄には意識があり、「マヨネーズには間違いなくサディスト的な側面がある。見逃しようがないわ」(p845) マスタードはまた別の話である。階級闘争談義もこれと同じ筆致として読みたい。

2010-10-10 07:08:27
do_dling @do_dling

【逆光】48 その後マヨネーズ工場がフューチャーされるあたりははっきり悪ノリだった。『逆光』は、V-2ロケットの工場ではなくマヨネーズ工場に忍び込む話だと言ってみたい。関係ないが、甥を男娼宿に案内した叔父の台詞が、「アヒルを水場に連れて行くような自然な感じだったよ」(p769)。

2010-10-10 07:10:47
do_dling @do_dling

【逆光】49 最後。《直線的なメロディーは音の高低と時間の記録だから、メロディーを演奏するってことは時間という要素、ひいては死すべき運命という問題を音楽に導入することになる。それに対して、僕らウクレレ演奏者は弾いた和音の無時間性を手放すことを嫌がっている》p855 下巻に続く。

2010-10-10 07:11:31
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