do_dlingさん『逆光』をつぶやく

トマス・ピンチョン『逆光』(新潮社刊)からの引用など
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do_dling @do_dling

こんな私ですが、僻地住まいを気遣って、『逆光』の上下巻をプレゼントしてくれた(!)友達がいることは自慢できる。超サンキュー。かくなるうえは、さっそく読みはじめたい。 http://twitpic.com/2tl7i2

2010-10-01 19:39:58
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do_dling @do_dling

【逆光】01 シリーズ化されてる少年少女空飛ぶ冒険物語のうちの1巻、みたいにして始まっていた。でもこの枠がきっちり保たれるだなんて思ってない。てか、何事かが「まとまる」とか、自分にも「わかる」期待なんかしません。人語を解す犬が相当好きなんだなあ。

2010-10-01 23:38:02
do_dling @do_dling

【逆光】02 こういう文章は好きです。《「キスして」と彼女が言った。「一応、しきたりだから」/それを聞いた他の少年たちが声を合わせて二人を冷やかしたが、そばかすだらけの彼女の頬が彼の唇の下で一瞬紅潮したことは、ダービーにとって挑発に耐える以上の価値があることだった。》p33

2010-10-01 23:40:00
do_dling @do_dling

【逆光】03 いきなり山盛りの過去を背負って登場してくる人物、というのと、個々の文章の無茶な詰め込み、というピンチョン節。とにかく圧縮、アンド早口。そして濃縮還元の風景描写。『ヴァインランド』にはかなり佐藤良明の文体が入ってると思ってたけど、『逆光』もそれに似ちゃうのが面白い。

2010-10-01 23:44:02
do_dling @do_dling

【逆光】04 こういうの、しみじみしちゃう。《飛行船の司令官のための心理的動揺隠蔽法に関する有益なシンポジウムにいくつか参加した経験を持つランドルフは》p50 ・・・こんなことしてたらますます先に進めないよ←→でもこんなにメモるの最初だけだよ

2010-10-01 23:56:29
do_dling @do_dling

【逆光】05 時代は19世紀末。この小説内のニコラ・テスラは、地球ぜんたいを共振回路にして世界のどこでも電気を使えるようにする「世界システム」を構想している模様。それを無効化する逆変圧器も、「理論上は、あまり大きな障害はなさそうですね」p57 なんでも可能なんですね。

2010-10-02 00:28:25
do_dling @do_dling

【逆光】06 飛行船を操る少年探偵団みたいな男子たちがシカゴ万博を訪れる話なんだが、《「おまえたち――まさかおまえたちが物語の登場人物ってわけじゃないだろう?」//「長い間雑誌に取り上げられている名前ほど、事実と虚構の見分けが付きにくくなるんですがね」》p60 好き放題だなあ。

2010-10-02 00:33:59
do_dling @do_dling

【逆光】07 「カズー」の登場を確認(p63)。そして、《「錯乱(デリリウム)とは文字通りには畑の畝と畝の間の溝から鋤が外れるという意味だ」》p67 知ってるよ!それ『競売ナンバー49の叫び』で読んだよ! ピンチョン、ニヤニヤしながら書いていそうに思う。

2010-10-02 00:52:49
do_dling @do_dling

【逆光】08 上巻p182で第1部が終わった。これで全体の1/10程度だから先は長い。だけどここまででも与太話に次ぐ与太話が繰り出され、あっちこっちむやみに面白い。文章は圧縮されてるのに題材の選びかたはひどくユルくて(=何でもあり)げらげら笑う箇所多数。

2010-10-02 23:30:50
do_dling @do_dling

【逆光】09 飛行船〈不都号〉の話からどんどんスライドし、1人の人物の数年にわたる来歴を事細かに語ったかと思うと、そこに出てきた別の人物の話に移る(繰り返し)。さらにとつぜん俯瞰的な視点になって年単位の時間が過ぎたり、自在な動きをする。ついてくのが楽しい。

2010-10-02 23:32:28
do_dling @do_dling

【逆光】10 気に入ったのは、機械工が農家の二階で球電とコンタクトする話(p113)とか、〈不都号〉乗組員への面倒極まりない指令伝達法(養殖真珠を改良した光学的通信手段。日本人が開発)とかだけど、もちろん、鉱山主と労働者のダイナマイト闘争とか、愉快ならざる話も並行する。

2010-10-02 23:34:05
do_dling @do_dling

【逆光】11 無政府主義者もたくさん出てくるけど、アナーキーさでは空洞地球説にとどめを刺す。当然のこととして書いてあるんだもん。《しかし何かがおかしかった。「今回は針路の取り方が難しいな」》p178 何もかもおかしい。前から無茶を書く人だったが、今回はとくにタガが外れている感。

2010-10-02 23:35:54
do_dling @do_dling

【逆光】12 『逆光』という題についてはまだ不明ながら、写真の話とかあったなあ(光に照らされると無に戻るとか、写真と錬金術は不活性な貴金属から光を救い出すとか)。光といえばエーテル信者の面々は抱腹絶倒だった。エーテルの不在こそがその存在を証明し、万物の基礎となるそうです。

2010-10-02 23:37:41
do_dling @do_dling

【逆光】13 気になってるのは、「別の空間」「不可視の世界」なるものへの言及が頻発する点。これまでの作品でもそういう対象のほのめかしはあり、『V.』や『競売』に出てくる神聖文字的な形象をその暗示として拾ったりしたのが今作の訳者・木原善彦さんのピンチョン論の1ページだったけれども、

2010-10-02 23:39:09
do_dling @do_dling

【逆光】14 (この本。http://ow.ly/2Nntu いま絶版でどうする!)今作では、不可視の世界は現実の隣にしっかり口を開けて待っている予感。まあその現実にしてからが、節度を知らない与太話で構成されているわけですが。木を見て森を見ない私には、めっぽう楽しい読書です。

2010-10-02 23:41:21
do_dling @do_dling

【逆光】15 今日、いいなあと思った一文。他にもたくさん。《融解した石のような液状の曲線的な変形が加わった黒い嵐の雲が空を覆い、その合間から差す光は、暗い畑では失われているが白っぽい道路では輝きを集めていたので、ときには道路とその先の地平線しか目に見えなかった。》p108

2010-10-02 23:42:57
do_dling @do_dling

【逆光】16 ついうっかり、カバー折り返しのあらすじ紹介を見ちゃって先の展開を示され「んもう」という気持になったが、びっくりするほど、わがふり直せ。でもじっさい読みはじめると、先に知ってたあらすじなんか3行進むうちに忘れ去るので問題ない。

2010-10-04 02:48:39
do_dling @do_dling

【逆光】17 上巻358ページまで読んだ。これまでばらばらに出てきた人物たちが少しずつ繋がったりして、エピソードの群れをまとめる流れが何本かうっすら見えてきたようにも思う。でもそれ以上に新キャラと与太話は増殖するいっぽう。まだまだ整理されない。されてほしくない。

2010-10-04 02:50:02
do_dling @do_dling

【逆光】18 世界中で、電磁気的情報をめぐる小競り合いがあるとか。《それは、地球を取り囲むことが既に明らかになっていた謎の数学的格子模様の各点における場の係数を最も正確に測定し地図化しようとする国際的な競争の結果だった。》p185 いっそすがすがしい。

2010-10-04 02:50:37
do_dling @do_dling

【逆光】19 ・・・北極では謎の物体(隕石?それとも?)が回収されたとか。《「人間の形をした光はおまえたちを救ってはくれない」と、それは断言したらしい。「わが子供たちよ、昔も今も炎がおまえたちの運命だ」》p221 めっさ面白い。もっともっと。

2010-10-04 02:51:29
do_dling @do_dling

【逆光】20 話のばらまかれかたは『重力の虹』に似てるのかなー。でも読みやすさは段違い。もしかすると、ネタの量はずっと多いのに『V.』より読みやすいかも。『V.』が若書き(26才で出版)というのも、『逆光』のエピソードのひとつにしていいくらい、無茶な話だが。

2010-10-04 02:52:41
do_dling @do_dling

【逆光】21 アフリカ植民地とか、ダイナマイトの爆発に「意識が共鳴する」人物とか、見覚えのあるようなモチーフも果敢に再利用されている印象。「人間を越えた存在」みたいなものとして(1)法人・国家の類と、(2)上位生命体・太古の神、の両方を並べちゃうのがピンチョンであるよな。

2010-10-04 02:53:28
do_dling @do_dling

【逆光】22 数学も幽霊も外交問題もぼりぼりむさぼるみたいにして語るたくましい文体は、今回は自身の過去作だけでなく、いわゆる南米作家にも似てきているような。しかも、ネタの幅でも舞台が世界を股にかける点でも、より節操がないような。(※てきとうなことをつぶやいていますよ)

2010-10-04 02:55:44
do_dling @do_dling

【逆光】23 今日読んだとこでは、クーパーがギターを弾くシーンがよかった(p310あたり)。ダイナマイトと父子の話でハラハラ。「別の世界」の話もオカルト交霊会も出てきたので明日も楽しみだ。どんなことでも「やりすぎると笑える」の手法。それでもって何を目指すんでしょう。

2010-10-04 02:58:35
do_dling @do_dling

【逆光】24 引用。《盗んだ箱から一、二本のダイナマイトを取り出して爆破させた。一つ一つの爆破が、新たな説教の前置きに使う聖句のようだった。彼の思考に対する監視をますます強めるようになった、顔のない無慈悲な砂漠の予言者が、雷のような声でその聖句を使って説教をするのだ。》p329

2010-10-04 02:59:57
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