検査に献血を訪れる危険と、献血前問診の考察
- rt_luckdragon
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献血施設は、検査のための施設ではありません。
(各自の検査結果報告は、あくまで二次的サービス)
HIV血液、数人に輸血 日赤検査すり抜け 厚労省、感染有無調査 - MSN産経ニュース http://t.co/4zmO50MFTz これはひどい。日赤、すごく努力して検査の感度上げてるのに。問診で嘘つかれたら防ぎようがないよ。輸血を受けた方が感染してないことを祈るしか……。
2013-11-26 08:54:36※ その後、残念ながら、感染があったことが判明しています。
日赤では安全な血液を供給するべく日夜がんばってくれています。だから、それを無にするような検査目的の献血はやめてください。 http://t.co/ioSnbYUvXM「NAT施設では24時間365日体制で検体を受け入れ、血清学的検査に合格した血液についてNATを実施しています」
2013-11-26 14:09:06ウイルスに(HIVだけでなくB型肝炎や他のウイルスも)感染した場合、ウイルスが一定量増えるまでウイルスの核酸を調べる検査(NATはこれです)でもひっかかりません。血清検査というのは抗体を調べる検査で核酸を検出する検査よりももっと遅い時期にならないとつかまりません。
2013-11-26 14:10:53感染したかも、と心配になったら、まずは感染したと思われる日から十分な日数(HIVなら4週間以上)が経ってから保健所へ行きましょう。http://t.co/nBP1N2Kr7Q
2013-11-26 14:12:48献血バス等、献血を巡る諸問題
我が国には「献血バス」というのがあって,献血センターでの採血だけでなく,バスが各地に出向いて献血を集めるという方法がある.みなさんの職場とかにも来ることがあるだろう.医者もその献血バスにのって丸一日問診を行う.これがけっこう大変な仕事である.まずバスは狭いし座る場所もきつい.
2013-11-26 23:39:31プライバシーも厳しく,供血者が採血されているすぐとなりできわどい医療情報も聞かなければならないときがある.供血者もわかっている部分はあるので,ヒソヒソと阿吽の呼吸で面談を行うことも少なくない.たとえば癌の既往とか.
2013-11-26 23:40:29ある職場に献血車で出向いた時のことだ.比較的多数の供血者がいたものの午後3時くらいまでにほとんど終わって受付の終了を待っていたら,一人だけ夕方の受付時間ギリギリに飛び込んできた人がいた.あきらかに挙動不審な印象の若い男性職員である.
2013-11-26 23:42:27これは何か変だなと慎重に問診することにしたが,問診票にはぱっと見でなにも欠格事由にあたるような項目はなさそうだった.わざわざ質問を丁寧に読み上げて問診を進めると,あきらかに男性の緊張感が増してくるのがわかった. そして問診の最後の方で,私は「ああ,やってしまった」と気づいた.
2013-11-26 23:43:30問診の最後の方は,供血者の性的嗜好についての質問がある.男性は私が質問を読み上げる前に,申し訳無さそうに自らの欠格事由を指さして示した. (男性の方へ)男性と性的接触をすることがある. はい いいえ
2013-11-26 23:44:20男性と性的接触をもつ男性(Men who have sex with men, MSM,ゲイとは同値ではない)はHIVの罹患率が高いポピュレーションであることが疫学的に知られている.従って日本赤十字では問診の段階でMSMの方を供血者としてリジェクトしている.それ自体に問題はない.
2013-11-26 23:45:27問題は少なくとも2つある.ひとつはその男性職員が自分が供血できないことを知っていながら職場の「圧力」によって献血を無理強いされていたことだ.いくら献血が社会的に意義深いからといって経営者・団体が職員に献血を「強要する」ということは自発的献血の精神からあってはならない.
2013-11-26 23:46:44あってはならない集団的圧力により個人の意志が曲げられるという我が国の現象については,もはや指摘するのも飽きた.
2013-11-26 23:47:05もう一つの問題は,献血バス内の問診スペースにプライバシーが全然ないことだ.問診には他にも「不特定多数の方と性的接触を持ったことがありますか?」とか「麻薬・覚せい剤の注射・回し打ちをしたことが有りますか?」という項目もある.
2013-11-26 23:47:52こんなことがあろうとなかろうと,公衆の面前で聞かれることではないし,聞いていいことでもない.件の男性も,少なくとも個室で面談することができたらあんな屈辱的な経験の何割かは和らいだはずだ.彼はおそらく今でも毎年この屈辱を受けているのだ.
2013-11-26 23:49:14現在ウインドウピリオドの感染血を検査でリジェクトする方法はない.つまりリスクの高い供血源を除外する唯一の方法は問診しかないのだ.確信犯的に検査を受ける人がどれくらいいるのかわからない.しかし今回の事件では,最終的に供血者は検査目的の献血であったことを明かしている.つまり,
2013-11-26 23:49:45ある程度確信犯的な供血者でも,問診によって除外できる可能性はある.もし個室で医師との二人だけの面接であれば,そこだけの話で相談されたかもしれず,それによって供血を避けられたかもしれない.これは供血者側の意識の問題だけではなく,日赤の責任でもあると思う.
2013-11-26 23:50:17今回の事件を契機に,日本赤十字社におかれては,採血時の問診項目を強化するのではなく,問診の環境を整えることを望みたい.バスでおもむくときは個室を提供してもらうとか,すくなくとも離れた間仕切りを用意するとか,工夫してほしいと思う.
2013-11-26 23:50:46