2014センター国語現代文、やっぱりひどかった

今回書いたのは結局のところ「選択式設問の限界」の話。ただし、たとえ記述であるにしても、長文速読主義、難解複雑信仰、そして読解偏重という根本を変えない限り、国語授業ないし国語テストの改革はない。 詳細→ http://ow.ly/sIvFx
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福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

まずはその「まあ」を3つ探し、読点を確認する。その上で、読点が直後にあるものが驚きであることを確認。そして、読点のない「まあ」が、「まあ待ちなさい」というなだめるようなセリフであることから、「あきれた」とは食い違う。だからバツ。と判定する。こういう選択肢6つから2つを選ぶ設問。

2014-01-19 03:23:43
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

3つの「まあ」に最初からABCの傍線を引くなりしておき、【A・Bの「まあ」は驚きを、Cの「まあ」は呆れた気持ちを表している】とする短い選択肢では、なぜいけなかったのか? 「まあ」を探し出せない高校生・浪人生を振り落とそうとでも? その発想、バカバカしいの一言。

2014-01-19 03:27:36
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

選択肢の中に「読点」という言葉を入れることで、「読点ってなんだっけ……」みたいな壁を乗り越えさせようとしているのかもしれないが、それならそれで、【「読点とはどれか、1「、」2「。」】という問題では、なぜいけないのか?

2014-01-19 03:29:31
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

まあとにかく、書かれている情報を「探し出すだけ」という本質的でない設問を混ぜ込むことが、評論で対比構造を読むような本質的な設問を解く時間を結果的に奪っているという意地悪さを、出題者は反省すべきだろう。

2014-01-19 03:32:05
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

その問6の正解は2つ。まず、【第一場面終わりと第四場面半ばの道子が堤防を走るシーンは、勢いよく走り出す様子を描くのに直喩を用いたり、情景を描くのに色彩表現を用いたりして、イメージ豊かに表現されている】。これを読んで思うのは、「ああ、そういわれればそうだな。直喩と色彩」。それだけ。

2014-01-19 03:39:55
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

こういうのって、「選べた」だけで何の意味があるの? せめて、選択肢がない状態で、「直喩と色彩表現の部分が工夫されているなあ」と、自分自身で気づけるのでなければ、何の意味もない。それを記述させるならまだしも、選択ではあまりに無意味。

2014-01-19 03:41:58
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

「へー、そうかも、出題者よく考えたね」と試験中に初めて納得するという本末転倒な状態が、多くの受験生の机上で繰り広げられたことだろう。試験中に学んでどうするんだよ。学んだことを試すのが試験だろうに。

2014-01-19 03:43:28
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

もう1つの答えはこれ。【第一場面から道子に焦点を当てて描かれていた話が、第三場面途中から夫婦に焦点を当てて描かれ始める。このことは、第四場面終わりで、両親を示す表現が「父親」「母親」から「夫」「妻」へ変化することではっきり示されている】。「へー、そうかも。出題者よくまとめたね」。

2014-01-19 03:45:10
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

「選択肢を読んで初めて気づく」というこの現象は、どの設問でも起こる。しかし、先ほども書いたように、その選択肢の内容を受験生が自分自身で書き出せなくては、何の意味もない。与えられた解釈について、「へー、たしかにその読みは正しいなぁ」と思えたというだけでは、何の能力も証明できない。

2014-01-19 03:48:47
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

すべての読解とは、「言いかえる力」を問うている。「出題者が懇切丁寧に言いかえてくれた文章(選択肢)の中から間違いを消していく」のが、センター試験で求められていること。しかし本当の国語力とは、「自分自身で言いかえる」ことのできる力。これに尽きるはず。

2014-01-19 03:51:07
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

選択肢を見て初めて気づくというのは、漢字が最も顕著だろう。「痛棒を食らわす」なんて全く知らなかったけど、他の「生活が窮乏する」「人口の膨張」「無謀な計画」「国家の存亡」の「ボウ」がどれも本文の「棒読み」の「棒」とは一致しないから、答えは「ツウボウ」なんだろうな、という正解の仕方。

2014-01-19 03:56:24
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

まあたしかに、他の4つを知らないとその1つを絞り込めないわけで、間接的にその4つの知識を問うていることにはなる。ただ、そこで必要なのは、「窮乏のボウは棒とは関係ないはずだ」「膨張のボウは棒とは関係ないはずだ」「無謀のボウは棒とは関係ないはずだ」(続く

2014-01-19 03:58:18
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

続き)「存亡のボウは棒とは関係ないはずだ」という判断だけであり、それぞれの熟語を書ける力は必要とされていない。

2014-01-19 04:00:23
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

このことは選択式問題の限界を象徴している。そもそも「分かる」とは、(1)他との違いを判定し、(2)それぞれが「何であるか」を説明できる状態を言う。選択式問題での正解とは、トラを目の前にして「これはネコではない」と言っている段階に過ぎない。「トラ」であることの説明は求められない。

2014-01-19 04:03:04
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

しかし当然、「トラである」ことを説明できることこそが、「分かる」ということの輪郭である。「ネコじゃないことだけは言える」という人と、「ネコじゃない、これはトラと言うんだよ」という人の知力の差は、明確である。しかしセンター試験は後者を求めない。

2014-01-19 04:06:12
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

疲れた。あとは、各予備校のコメントを上げて、終わりにしよう。

2014-01-19 04:11:27
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

【 「評論」は昨年の随筆調の文章から例年どおりの硬質な評論文に戻り、分量も少なくなったが、受験生にとってはなじみの薄いテーマであったかもしれない。問3や問4は、設問に仕掛けがあって、それに気づいたかどうかで差がついたと思われる】東進 http://t.co/05slo42VUi

2014-01-19 04:12:30
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

【「小説」は戦時中という時代背景を押さえていれば、人物関係や場面などは複雑ではなく、読解は難しくない。問6の表現に関する問題を除いては、本文の根拠がはっきりしており、受験生にとっては取り組みやすかったと思われる】東進 http://t.co/05slo42VUi

2014-01-19 04:13:12
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

【第1問(評論)は、受験生にとってはやや馴染みのない話題であったろうが、論旨は明快であり、取り組みやすかったと思われる。全体としては、昨年に比べてやや易化。】河合 http://t.co/iKahlFey2O

2014-01-19 04:14:20
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

あの文章を「論旨明快で取り組みやすかった」と言われて「あ、やっぱり?」と思う受験生がどれだけいるか、はなはだ疑問である(笑)。昨年より易化と言われても、昨年が昨年だけに何とも言えない(笑)。

2014-01-19 04:15:16
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

【第2問(小説)は、昭和初期の文章ではあるがさほど読みにくくはなく、正解も本文の内容に即して作られているため、受験生にとってはおおむね解きやすかったと思われる。ただし問6は、解くにはかなり手間がかかったであろう。 】河合 http://t.co/iKahlFey2O

2014-01-19 04:15:47
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

【第1問は齋藤希史『漢文脈と近代日本』からの出題。近世後期における漢文学習が果たした社会的な意義について述べた文章。前書きがある点や、本文の形式段落の冒頭に段落番号が付されているのが特徴的である。…】代ゼミ http://t.co/iICaal0nLq

2014-01-19 04:17:47
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

【…昨年と比べると読みやすい。ただし、選択肢はかなり工夫が凝らされており、設問自体は必ずしもやさしくはない。特に問6の選択肢は微妙であり、難度はかなり高い。本文の部分的な解釈だけで解ける問題は少なく、つねに全体を見渡す姿勢と、選択肢と本文との粘り強い照合作業が求められる。】代ゼミ

2014-01-19 04:18:29
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

「選択肢と本文との粘り強い照合作業が求められる」。代ゼミの講評は、いつも皮肉めいていて面白い。2011年の小説では、「高度な鑑賞力が求められる」だったと思う(笑)。

2014-01-19 04:19:41