【twitter小説】失くした右腕#3【ファンタジー】

高名な画家が亡くなり亡霊として復活! 霊障案件の解決に向けてレックウィルは彼の右腕を探すことになります。助手のミレイリルは初仕事で奮闘しますが……さて。小説アカウント @decay_world で連載したファンタジー小説です。この話は#4までつづきます
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減衰世界 @decay_world

「あいつは私が引きとめておこう。いまの私には力があるようだ。……と言っても、あの場所を離れてからだんだん何かがすり減っていくのを感じる。時間はそう無い。その間に……腕を見つけてくれ」  あっという間に、二人はクレイシルム邸へと到着した。 86

2013-10-20 15:35:09
減衰世界 @decay_world

 葬式に来ていた弔問客が驚いて悲鳴を上げる。死んだはずのクレイシルムがいるのだ、無理も無い。やがて木々をかき分けて腕集めが姿を現した。彼はにやりと笑い。腕を振りかざす。 「じいさんよぉ、せっかく手に入れた第二の人生、無駄にするんじゃないよ」 87

2013-10-20 15:41:26
減衰世界 @decay_world

「お前こそ、なんだそのなりは。死体を継ぎ合わせてなんとか生きてるようじゃないか。私がちゃんと眠らせてあげよう」  ミレイリルは腰を抜かした弔問客たちを下がらせた。一刻も早くクレイシルムの腕を見つけなければ。 88

2013-10-20 15:49:03
減衰世界 @decay_world

 いま彼は不完全な状態だ。腕があれば腕集めを圧倒できるかもしれない。一般的に死霊は再び生まれ落ちた瞬間にいちばん強い力を持つ。それを死霊術などで維持する必要があるのだが、ミレイリルから見ても腕集めはかなり腐敗が進んでいるようだった。 89

2013-10-20 15:52:49
減衰世界 @decay_world

「あのゾンビ……どこから来たんだろう。でも、勝機はある。どこかに腕が……画伯の腕がいるはずなんだ。探さなくちゃ」  腕集めの言っていた、この近くに腕がいるという情報。それをミレイリルは聞き逃さなかった。弔問客をかき分け、該当しそうな人物を探す。 90

2013-10-20 15:56:22
減衰世界 @decay_world

 ミレイリルは知っていた。本気で戦うことは魂を消耗させる。そのうえ画伯は死んだ場所を離れているのだ。時間はない。画伯の力が残っている間に……腕を見つけなければならないのだ! 91

2013-10-20 16:03:59