惚れ薬を飲ませてみったー
@sousakuTL 「げほ!まずッ!なんだこれ!あいつこんなもの平気でよく飲めたな!?」ピンクの甘い色とは裏腹にどす黒い味がした液体にニコが思わずむせる。ゲホゲホ、とむせていると玄関が開く音がした。 「ただいまもどりました」 「おう、おつかれさん」 とりあえず声を返しておく。
2014-05-07 22:56:11@sousakuTL ニコが空になったペットボトルをシンクでざっと洗っていると、会社から帰ってきたセシルがリビングの扉をあけた。 「おや、貴方が洗いものですか?」「ペットボトルを空けただけだ」 そのまま手を洗ったニコが手を拭きながら顔をあげると、セシルと目があった。
2014-05-07 22:58:27@sousakuTL 「……」「…なんですか。まじまじと見て」セシルが気味悪そうに顔をしかめると、ニコは慌てて顔を逸らして「な、なんでもない」と口元を抑えた。一体俺は突然どうしたんだこいつなんぞみて一瞬でもときめくなんて、と眉間に深い皺を寄せる。意味がわからない。
2014-05-07 23:00:53@sousakuTL ニコはちらりと視線をあげてセシルを視界に入れた。不思議そうな機嫌が悪そうな顔をしたセシルが目に入る。きれいな銀髪をしているしまつげも長いし整った顔立ちだし肌も綺麗だし、あれこれってもしかしてその辺の女より綺麗なんじゃ、と思ったところで慌てて頭を左右に振る。
2014-05-07 23:07:06@sousakuTL また俯いて「そんな分けないだろうが」と小声でぼやくと「何がですか?」とすぐ近くで声がふってきた。ニコが驚いて顔をあげると、その整ったきれいな顔が自分を見下ろしていた。一気に体温が上がっていく感覚に、戸惑いを感じながらも「な、なんでもない!」と慌てて怒鳴った。
2014-05-07 23:09:07@sousakuTL 「何でもないって…あからさまに様子がおかしくないですか?」ニコがキッチンから慌てて脱出しようとしたが、セシルは横をすり抜けようとした彼の腕をあっさり掴んでいた。「わっ!」「――顔、赤いですけど、熱でもあるんですか?ニココに移さないでくださいよ」
2014-05-07 23:13:33@sousakuTL いつもならニココの名前にドキリとするのに、何故かそれがない。ニコは急激な自身の変化に戸惑いながらも「は、離せ!」とおろおろと手を引き抜いた。セシルと距離を慌てて取りながら「か、風邪か!?風邪で俺は調子がちょっとおかしいのか!?」と熱い顔を手で隠す。
2014-05-07 23:16:03@sousakuTL 「知りませんよ。とりあえず熱でも計ったらどうですか」冷たい声にさらに顔が熱くなる。ニコはおろおろと目を泳がした。これは風邪ではないぞ、と薄々自分で気づき始めた。このドキドキ、今までニココに対して感じていたものだ、とぞっとする。ぞっとすると同時にドキッとする。
2014-05-07 23:20:14@sousakuTL 「せ、セシル」「なんですか」ちらりとまたセシルを見る。どくどくと心臓が高鳴るのに戸惑いながら、もごもごと口を開く。 「そ、その」「はい?」「か、風邪かもしれない」「じゃあ薬でも飲んで寝て下さい」「…その」「なんですか、鬱陶しい」「…その、薬なんだが」「?」
2014-05-07 23:25:56@sousakuTL ニコは自分が今何を言い出そうとしているのか分かっていて、自分でも止められない衝動に心臓がバクバクと脈打つのを感じていた。 「その、――お前が」「私が何か?」「お、お前が一緒に居て――」これ以上言ったら終わりだぞ、とニコがつばを飲み込みながら口を開く。
2014-05-07 23:33:48@sousakuTL 「あー!ニコもセシルもおかえりー!」突如リビングの扉が開いた。ニココの登場にニコが思わずギクリとして言葉を飲み込む。「ニココ、彼は風邪気味だそうですから、移されないようにしてくださいよ」「え!ニコ、風邪なの!?」ニコは言葉を飲み込んだまま何度か頷く。
2014-05-07 23:38:16@sousakuTL 今までならこの可愛いニココにドキドキしていたというのにどうなってしまったんだ、とニコが顔を伏せた瞬間。「ニコ、大丈夫!?」ドゴ、と鈍い音がする勢いでニココがニコの胴体に突撃した。「うぐっ!」ニコが油断したところへかつ、胃への的確な打撃に口をぐっと抑える。
2014-05-07 23:40:43@sousakuTL 今までの熱い体が一気にサーッと冷えていく。胃を思い切り押されて、胃の中の物がせり上がってきた。ニコは大慌てで「吐きそうだ」と呟いてキッチンのの方へ駆け込んだ。上がってきたものをそのまま吐き出す。ピンクの液体がシンクに流れていく。
2014-05-07 23:42:04@sousakuTL 「ゲホ!」ニコがむせると、セシルが「大丈夫ですか?吐き気止め持って来ましょうか」と背中をトントンと叩いた。ニコは「いらん!ニココに胃を押されたからだ!」と怒鳴ってセシルの手を払った。そして、先程までの妙な気分がきれいさっぱりなくなっていることに気づく。
2014-05-07 23:51:04@sousakuTL 「…元気そうですね」「そ、そうだな」先ほどまでのことを思い出してニコが気まずそうに目をそらす。さっきのは一体なんなんだ、と溜息を漏らす。 「ニコ、大丈夫?!ごめんね!」「ニココ!大丈夫じゃないから一緒に寝てくれたら治るぞ!」「ぶちのめしますよ」「怖いな…!」
2014-05-07 23:52:46@sousakuTL ニコがセシルの言葉にぞっとしながらニココをぎゅーっと抱きしめる。うんうん、やっぱりニココは可愛いな、と改めて確認してニヤける。そんなニコを見下ろしながらセシルは「さっきの言葉の続き、結局なんなんですか?」と小首を傾げた。「え?」「さっき、私がどうとか言って」
2014-05-07 23:54:28@sousakuTL はっとしてニコは大慌てで「何でもない!忘れろ!」と顔を青くした。「…そう言われると気になるんですが」「その妙な探究心を今すぐしまい込め!」「妙とはなんですか、妙とは」セシルが遊ぶのにちょうどいいネタを見つけたとばかりにニヤリとするので、ニコは顔をしかめる。
2014-05-07 23:56:16@sousakuTL 「熱はどうしたんですか?で?薬がどうですって?」「うるさい!黙っていろ!」ニコはぎゃあぎゃあとセシルに怒鳴りながらも、ニココの髪をぐしゃぐしゃと混ぜた。やっぱり俺はこいつが好きなんだよな、と己の心に確認しながら。
2014-05-07 23:57:45@sousakuTL (終結)はいっ!終わりッ!ほのかにBLな感じで苦手な人が見ちゃったら申し訳ない。でもほらニコはニココが大好きだからッ!
2014-05-07 23:58:47