rsbs日誌#8

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「たのむ…頼むで…ウチを…この檻から出してや…ここから出たいんや…ウチも…青い海に立って…目一杯飛行機を飛ばしたいんや…ウチの空を…取り戻したいんや……もう…耐えられへん…君が悪魔か何かでもえぇ…ウチに…もういっかい…うぅぅぅ…っ…」

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#rsbs日誌 ボロボロと大粒の涙を溢して、嗚咽を漏らす。龍驤は今までに溜め込んだ辛み、悲しみを吐き出すように泣いた。ただただ泣いた。忘れぬように仕舞い込んでいた空を、もう一度だけでもと渇望した。

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#rsbs日誌 「連れてゆこう。龍驤や。お主の本心が聞けて良かった。そして謝らねばならぬ。お主に余りにも眩しい蒼空を見せてしまった事を。じゃが此れだけは覚えてくりゃれ。わしは魔女じゃ。化け物じゃ。わしと歩むと言うことは―…」

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#rsbs日誌 「構わへん！もう、二度と普通の生活とか、普通の世界だとかに戻れへんようになっても！ウチは…ウチは蒼い海と蒼い蒼空の方がえぇ！魔女の手下でえぇんや！君と契約する！ウチを…奪い出してや…」

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#rsbs日誌 「ならば契約じゃ。龍驤、お主はわしが完全に死ぬまで共に来て貰おう。わしの艦隊の艦娘として、共にこの世にのさばる悪を血に染めよう。その代わり、お主は何をしてもよい。艦載機を作り、蒼空を堪能し、研究し、憎い憎い人間を殺してもよい」

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#rsbs日誌 「…ええの？殆ど、ウチばかり得しとるやん…」「構わぬよ。わしは寂しがりじゃからな。ただずっと傍に居て、共にバカを出来たらそれでよい…」「アホやなぁ…君。ほんま…アホな魔女さんや…そないやから、胡蝶の夢なんか見続けるんやで」

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#rsbs日誌 「ならばそんな魔女と契約しようと言うお前さんはもっと大馬鹿じゃな」「違いあらへんなぁ…」「さて…と」提督は懐を開けると物を取り出した。「では龍驤。過去の清算と参ろうか？」黒い巻物。それは長らく、龍驤の手から離れていた飛行甲板だ。

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#rsbs日誌 「…君！それ、どこから…」「失敬してきた。正真正銘、君の飛行甲板じゃよ」手渡される巻物。すこしほつれた感じも、角のささくれも、実に手に良く馴染む。懐かしさに、再び涙が溢れ出す。「さぁ、出撃命令だ。君と君の航空隊ならば、例え離れて居ようとも…」

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#rsbs日誌 「発艦、コントロールが出来る。ウチをなめんといてや？空母の中じゃ…古参やねんから！さぁ…いっちょ行こか！反逆の狼煙を上げに！艦載機の皆！お仕事お仕事ぉ！」鬼火が掌に灯り、独りでに巻物が宙へと開く。遠く、格納庫から煙が上がり、艦載機が飛び出していく。

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#rsbs日誌 「分かるじゃろう？提督執務室。あすこに全員纏めてふんじばってある」「ゴミは纏めて焼却処分、ってワケ？良い趣味してんなぁ君ー…それじゃ攻撃隊、いっちょ爆撃してみよか！」鬼火の勅令が強く煌めき、攻撃隊が高度を取る。

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#rsbs日誌 爆装を施してあると言うのに、攻撃機は軽やかに執務室直上にてハンマーヘッドターン。狙いを確りと定め、投弾、機首上げ、離脱…そして着弾。鎮守府に火の手が上がる。しかし、他に一切の被害はない。見事な腕前と言えよう。「腕は衰えておらんようじゃなあ」

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#rsbs日誌 不意に電子音が鳴る。提督が懐から携帯電話を取りだし着信に出た。「わしじゃ…うむ、良かろう。帰って参れ。全員の死亡を確認したようじゃ」「ほんま？ほんまなん？」「あぁ…お主を飼い殺し、悪道に身を投じていた奴ら全てじゃ」

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#rsbs日誌 「…あぁ…やった…やったぁ…ウチ…ウチ、遂にあいつら…倒せたんや…あは…あははは…ざまぁみろや…！あははは…！はははは…！」感極まった龍驤は、泣き崩れかけた。提督はそっと抱き寄せ、背中をさする。「辛かったじゃろう…お疲れじゃよ…龍驤…」

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#rsbs日誌 ざばあ…と水音を立てながら、潜水艦が波止場の側へと浮上してきた。素早くタラップが掛けられ、二人が乗艦するのを待って居た。「ではゆこう龍驤。わしの島へ。わしの鎮守府へ」二人を収容し、潜水艦が潜航する。後にはもう、何もない…

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#rsbs日誌 「…本当、あの日からまるで夢のような日々を見させてもろうたなぁ」「そうかや…」「なぁ君…いつまで見ていられるんやろうか。この夢は」「わしと、お主が望み続ける限りじゃよ」とん、と煙管から灰が落とされた。「胡蝶の夢やな…」