rsbs日誌#44

レズボス日誌。第四四巻ツイ鎮SS
2

艦これ二次創作SS。
胡散臭い女提督と脛に傷持つ艦娘たちの狂った御伽噺なり。
一部性的表現並びに残虐的表現を含むため未成年の閲覧を禁ず。

ある艦娘との出会い。
「魂の座。」

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 雷鳴よりもけたたましい轟音が鳴り響き、砲弾が飛び交い魚雷が疾駆する戦場を、6隻の駆逐艦が駆け抜けていく。戦う為ではない。生き延びる為に。空は曇天、海は荒れ気味。着弾の水飛沫、炸裂した火薬の炎、視界は悪い。足元も覚束無い。主機への命令は一杯に突っ込まれたままだ。

2015-10-26 23:21:19
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 ボイラーは轟々と紅く燃え盛り、タービンは破裂しやしないかとばかりに蒸気を送り込まれている。それでも敵の手から逃れるのは楽ではない。至近弾を撃ち込まれればそれだけで足元を掬われ、姿勢が崩れて速度を落してしまう。ましてや波が出ているのだ。逃げる側には不利である。

2015-10-26 23:21:37
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 しかしそれでも…それでも、逃げねばならない。留まる事は死を意味するのだから。「もちぃとよ!もちぃとじゃけぇ、踏ん張って!」殿を務める駆逐艦が、声を張り上げる。必死に鼓舞するように、叫び疲れた掠れた喉で叫ぶ。一番辛い立場だと言うのに、彼女は根を上げなかった。

2015-10-26 23:21:48
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「諦めたら駄目!諦めたらほいで死んでしまう!じゃけぇ皆で生きるんや!」至近弾が彼女の左肩を抉っていった。炸薬が破裂し、爆炎が彼女の頬を撫でていく「こんのぉ!何するんか!お返しや!」数少ない魚雷を発射。至近弾を撃ち込んで来た軽巡洋艦型へと命中。爆発した。

2015-10-26 23:22:03
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「殿を変わります!隊列の真ん中へ!」「これくらやぁどうとゆう事はない!うちに構わず、前を切り開いて!」「しかし!」「ほら!前から敵が来る!」言葉を受けて、駆逐艦の少女はハッとし前を向いた。そしてキッと敵を睨み付け、砲を構える。…そう。それでええ。それでええんじゃ。

2015-10-26 23:22:18
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 けつ持ちはうちが妥当なんじゃ。うちが一番性能がええんやから。残りの皆の火力を合わせて突破するんが一番妥当なんじゃ。じゃから…!「死んでも譲らんよ!うちのけつ持ちは!」此方に目掛けて疾駆する魚雷へと主砲を放つ。海中にて炸裂。何発かの迎撃に成功するも、一本が逃げた。

2015-10-26 23:22:32
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 近接信管が作動し炸裂。左足と推進器に損傷が出るが、お構いなし。死んどったまるか!生きとったらなんでも出来るが、死んだらそれで終いなんじゃ!じゃけぇ…「諦めとったまるかぁああ!!」叫び、駆ける。どれだけの傷を負おうと、どれだけの血を流そうとも。只、生きたいから。

2015-10-26 23:22:49

.
.
.
.

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 …人知れず、巨大な鋼鉄の怪物が海中を進んでいく。その大きさは正に魔物、と呼称しても大きな差異は無いと言ってもいいのだろう。同時に、その怪物の持つ力は紛う事無く怪物であった。多数の巨砲に、多数の火器を備えているのだから…「この海域も、大分沈静化したみたいじゃのう?」

2015-10-26 23:23:22
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 怪物の腹の奥深くで一人呟く胡乱な乙女。怪物の主にして、南洋の魔女…比良坂であった。今日は嘗ての大規模戦闘…提督の間で俗に言われる『イベント』と呼ばれた海域の海中調査であった。危険な海中探査を行える提督はそう多くはない。それでいて、南洋のとある海域、と来たならば…

2015-10-26 23:23:31
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 『私達にお鉢が回るのも頷けるのねー』まるで察したかの様に、海中通信システムで伊19号潜水艦…イクが呟く『私達は便利屋ではないのですけども』伊8号潜水艦、ハチがボヤいた。ご尤もである。他の執務を放り投げて態々海の中をコッテリと散歩しなくてはならないのだから。

2015-10-26 23:24:12
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「まぁまぁ…そうボヤかんでおくれ。終ったら甘い物や美味しい物を一杯食べさせてやろう」『あら、本当?ねぇ提督!水着をねだっちゃ駄目かしら!』伊168号潜水艦のイムヤが呟いた。彼女はお洒落好きであるから、服をねだるのもよく判る「構わんよ。何が欲しいか考えておれ」

2015-10-26 23:24:25
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 『提督ー…ゴーヤは久しぶりに耳かきして欲しい…でち』おずおず、と言わんばかりの声色で伊58号潜水艦…ゴーヤが呟いた。最初こそ他の艦娘を警戒して中々輪に溶け込めずに居た彼女であったが、今では大事な仲間と言える程に馴染む事が出来た。「よいよい。してやろう」

2015-10-26 23:24:33
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 他愛も無いやり取り。海中海域調査の終了ももう目前であり、母艦として乗艦している潜水艦の艦内の空気もまた和らいでいた「ん…?提督!救難信号です!」ヘッドフォンを被っていた通信係の元鳥海の少女が小さく叫んだ「なんと。こんな海域でか?」「はい。電波は微弱ですが確かに」

2015-10-26 23:24:52
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「無下にも出来まい。発信源へ向けて回頭。此れより救助活動に入る」『提督。先遣隊として進んでもいい?』イクが真面目な声で通信してきた「よかろう。何分海中が狭くてな。わしの鯨は全力は出せん」『了解!イク以下4名、急行しますなの』そしてイク達は機関に力を入れた。

2015-10-26 23:25:16
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 周囲の海中に敵影は無い。ならば遠慮をする必要はなく、潜望鏡深度へと浮上し艤装からシュノーケルを起立させヂーゼルを起動。海中にゴウンゴウンと重低音を響かせて、彼女らは発信源へと急行した。脚部の拡張艤装が派手にキャビテーションを発生させながら水を掻き分けていく。

2015-10-26 23:25:28
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 果たしてどれ程の距離だったろうか?母艦、ヴァールガイストからの誘導を受け彼女らが辿り着いたのは小さな小さな島であった。山は無く、小さな森が生い茂る、小さな島。潜望鏡を上げ、周囲の海上状況を確認した潜水艦艦娘らは互いに頷き合い、航空機を警戒しながら浮上する。

2015-10-26 23:25:49
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 その身にとっては余りにも頼りない、薄っぺらい装甲と14糎砲や対空機銃を構えて「誰か!誰か居ないの!帝国海軍潜水艦、伊19なの!」島へと上陸しながらイクは声を上げた。大きな島ではない。すぐに見つかる筈…すると「イクちゃん、Aussehen!(見て!)」

2015-10-26 23:26:18
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 ハチが指差しながら声を上げた。直ぐにそちらの方へと視線を向けると、ボロボロの駆逐艦が何人か立っていた「助け…なの…?」掠れた声がイクの耳に届いた「貴女達が救難信号を出した艦娘?」「は…はひっ!」血で泥々に汚れた包帯を巻きながら、初霜らしい駆逐艦娘は答えた。

2015-10-26 23:26:29
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「提督、聞こえるかしら?遭難者を確認。回収班を向かわせて下さい」イムヤがテキパキと無線機に連絡を入れ、ゴーヤはその間にも周囲の空や海を警戒していた「あ、あの…!お願いです…!助けて、助けて下さい!」磯波と思しき少女が、涙を流しながら切羽詰った声で懇願した。

2015-10-26 23:26:59
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「大丈夫。イク達の提督は助けを求める艦娘にはとても優しいから」イクが落ち着かせる様に優しく声を掛けるが、彼女らは懇願を止めない「違うんです!違わないけど、違うくて…!」「こっち、こっちです!」初霜や磯波に手を引っ張られ、転びそうになりながらイクは付いていった。

2015-10-26 23:27:16
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 尋常では無い取り乱しぶりにイクも自体の重要さを理解し、何が待ち構えているのかと覚悟を決めた。連れて行かれた先は椰子の木の葉や木の枝で組まれた、極々簡単なテントであった。其処には3人のボロボロの駆逐艦娘達が、身を寄せ合って固まっていた。傍らには通信機も見える。

2015-10-26 23:27:30
﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌 「皆ボロボロなのね…大丈夫。どんな怪我も治して」くれるから、とイクが言葉を続けようとした矢先であった「お願いです!彼女を…助けて、助けてぇ…!」ボロボロと涙を流して、磯風が指差したのは椰子の木のテントの奥…葉が敷き詰められた簡易ベッドがある場所だった。

2015-10-26 23:27:45
1 ・・ 5 次へ