また、鳴禽が歌学習する際にも、不飽和脂肪酸にくっつく「脂肪酸結合タンパク質」という物質が多くなることが報告されており(前述のロックフェラーのグループから1997年に)、私たちはラットやマウスでもこの脂肪酸結合タンパク質が神経新生に重要であることを見出していました。
2009-11-08 15:25:29RT @sendaitribune: ですので、神経新生を向上させることが、学習効果を高めたり、精神疾患の予防・治療に繋がるのではないか、という点については、世界中で着目されて「神経新生向上剤」の開発が…内在する神経幹細胞を活性化し、神経新生を向上させる方法に取り組んでいます。
2009-11-08 15:25:49これ興味あります。ということは精神疾患に境遇することで個体性は生物としての次なる可能性を秘めている可能性が高いということの逆説ですか?RT @sendaitribune: 神経新生を向上させることが学習効果を高めたり精神疾患の予防・治療に繋がるのではないか「神経新生向上剤」の開発
2009-11-08 15:25:56これらの論文については、Researchmapの業績の中の「MISC」のところに和文総説がいくつかありますので、ご参照下さい。http://researchmap.jp/sendaitribune/ すみません、ご質問等も来ていますが、とりあえず一通りTweetしてしまいます。
2009-11-08 15:27:23そこで、ラットにDHAやARAを投与するという実験を試みました。これらの脂肪酸は栄養素であり、消化管から血中、そして脳の中に容易に移行できるものです。我々が今年発表した論文では、生後2日目から4週間のARA含有餌投与によって約30%海馬の神経新生を向上させることができました。
2009-11-08 15:30:41別のグループでは、3世代に渡ってDHA欠乏食で育てたラットにDHA餌を投与すると神経新生が向上したと報告しています(Kawakita E, Hashimoto M, Shido O: Neuroscience 139, 991-997, 2006)。
2009-11-08 15:33:09現在、我々もDHAやARAの効果の詳細を調べているところです。あと1年くらいの間に培養細胞系での結果を論文化できるのではと見積もっています。研究成果が論文になっていくのには、こういう実験動物等を使う研究では、どうしても年単位での時間がかかります。
2009-11-08 15:35:10図の1つのみでも出せるようにすべきでは、という御意見もありますが、いくつかのデータを組み合わせないと、その意味が見いだせないことから、論文という単位になっています。つまり、データのディジタル化ですね。
2009-11-08 15:36:16さて、我々はさらに、ARAの効果として、精神疾患様行動異常を改善できないだろうかと考えました。ちょうど「感覚フィルター機構」に異常を示す遺伝子変異ラットの解析を並行して進めていますので、このラットをモデルとして使うことにしました。
2009-11-08 15:37:49「感覚フィルター機構」というのは、例えばカクテルパーティーのときに、雑音の中から自分の友人の声を聞き分けたりできるように、ノイズからシグナルを検出できる神経機能です。あるいは、過剰な刺激に対しては反応を抑えて、無駄に反応しない仕組みでもあります。
2009-11-08 15:39:09統合失調症などの精神疾患では、この機構が弱まっていることが知られており、我々の遺伝子変異ラットでもやはりこの機構の低下が認められるのです。そこで、このラットに対して、先程のARA含有餌を投与して育てました。
2009-11-08 15:41:30そのTw見に行ったけど、しっかり連載になってる@@;神経細胞自体に脂質、脂肪酸結合タンパクは重要なのは自明で、今後論文読んでみないと何がNeuesなのかまだ実感ない。RT @YINGUO: RT @sendaitribune: …脂肪酸結合タンパク質が神経新生に重要
2009-11-08 15:42:44すると、このラットでも普通のラットと同様にARA投与によって神経新生は向上し、さらに数週間後において感覚フィルター機構の検査を行うと、正常なラットと有意差が無いくらいまで改善することができました。この結果の詳細は以下のプレス発表を参照下さい。 http://ow.ly/Aphc
2009-11-08 15:44:01つまり、餌の成分を変えることによって、神経幹細胞を活性化することが可能であり、神経機能を改善することができる可能性を示したことになります。もちろん、現段階ではあくまで動物実験レベルのことであり、すぐさま人間に応用できるかどうかについては、慎重に研究を進める必要があります。
2009-11-08 15:47:15さて、話の発端は「遺伝子の働き方を環境で変える」というところだった訳ですが、この点についてはウチの研究ではまだ「作業仮説」段階です。餌の成分によって本当に遺伝子の働き方が変わったのかどうかについて、今後調べてみたいと思っています。
2009-11-08 15:49:02ストレスによって遺伝子の働き方が変わる例については、BDNFという神経栄養因子と言われる分子の元となる遺伝子に関しての報告があります。Tsankova et al., Nat Neurosci, 2006(ときどきTweetが遅くなるのは、根拠を調べて載せたりしているせいです)
2009-11-08 15:52:52という訳で、神経が働く場合にも遺伝子は働いているし、その遺伝子の働き方に、経験や生活習慣が関わるということです。以上、Twitter講座「遺伝子の働き方編」でした。ちなみに、本日18:30TV朝日「奇跡の地球物語」にコメント出演しますので、良かったら見て下さい。
2009-11-08 15:56:13はい、そう思います。科学コミュニケーションとして、今後一層大事かと。RT @east_j_higashi: @sendaitribune 遺伝子は柔軟に使いまわせるというところ、とても大切なポイントですね。1つの遺伝子は1つの働きしかしないと考えていらっしゃる方の多いこと、、、。
2009-11-08 15:57:58そうですね。「心を生みだす遺伝子」ではエージェントという言葉も使われています。RT @yoshidaakira: レシピも設計図もそれを使う他者がいる言葉なのが引っかかっています。場とか状況は必要ですが、どちらかというと自己組織化されてパンケーキができる感じを伝えたい。
2009-11-08 15:58:51面白いですね! RT @causalmap2006: 未熟な状態の個体が、機能特化した個体を生むとともに、同じ未熟な個体を生む。特化した個体はそれ自体で同じ個体を残せない。しかし、未熟な個体があり続ける限り種と機能は持続する。アイデアの状態に応用できそうな気がする。
2009-11-08 15:59:24はい、年を取ると全身、どの幹細胞も減る方向になるので、神経新生も低下しますし、傷も治りにくくなります。RT @Nikuman_zx: @sendaitribune 加齢によっても減弱するとwikipdiaにはありますね
2009-11-08 16:00:36それはちょっと分からないのでは? RT @higoogle7: これ興味あります。ということは精神疾患に境遇することで個体性は生物としての次なる可能性を秘めている可能性が高いということの逆説ですか?
2009-11-08 16:01:37.@sendaitribune 先生すみません、神経新生と精神疾患についての件で以下ご見解いただければ幸甚です RT @higoogle7: 精神疾患に境遇することで個体性は生物としての次なる可能性を秘めている可能性が高いということですか:「神経新生向上剤」の開発
2009-11-08 16:02:24