ff6二次創作【約束交換】

こちらの話(http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3755375)の内容の補足として書きおろしたものです。近いうちライブツイを行った際、解説にまとめの内容を追加予定です。
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みなみ @minarudhia

それはやがて止み、痛感は溶けるような快感に変わる。「…はあっ!」二人が手を離すと、互いの手の平に青白い光が複雑な印を刻んでいた。「はぁ……はぁ…」「……はぁ、ん、大丈夫…?」「……ああ」マッシュが自らの手を見遣っていると、フィストが自身の手の平をマッシュの眼前に突き付けた。

2014-08-12 10:54:21
みなみ @minarudhia

「………これで私は」フィストは厳かな口調で言う。「私は、あなたの守護竜だ」「……え?」マッシュはきょとんとした。その間に手の平に浮かんでいた印は、内側へ染み込むように消えていく。「…守護竜、だ?」「そう、私があなたを護る」「……」「……」沈黙。

2014-08-12 10:56:55
みなみ @minarudhia

「…………ぷ、がはははははっ!」先に沈黙を破ったのはマッシュだった。「た、対価って言うからちょっと怖かったんだがよ、そんなんだったのかよ!びっくりさせるな、もう!」しばらく、腹を抱えて笑うマッシュ。フィストがどこか不穏な微笑みを讃えて彼の前に立った。

2014-08-13 00:16:26
みなみ @minarudhia

「あははは………て、な、に…」フィストに気づき、言いかけようとしたマッシュの身体が強張った。…いや、石のように固まり、動けなくなった。マッシュは見据えていた。自身に目を合わせたフィストの瞳孔が、不気味に赤く輝いているのを。

2014-08-13 00:28:57
みなみ @minarudhia

「あまり良くわかってないようだから」フィストは言った。「少しばかり私の力を死なない範囲で教えてあげる」「な…」フィストの口が何かを呟く。それは意味不明な言葉だったが、ごく短い言葉でもあった。…目の前がチカチカと不思議な光に包まれる。

2014-08-13 00:35:40
みなみ @minarudhia

やがてマッシュは妙な感覚を受けた。視界が徐々に、そして色素が抜け始めていったのだ。ついに、彼の視界はフィストの膝がぎりぎり目に入るほどの狭さになった。『……な、なんだ?動けるが、何かし…』いつの間にか自分が両手を地面につけていることに気づく。自然と地面に視線を落とし、マッシュは…

2014-08-13 00:44:13
みなみ @minarudhia

『な、なんだこれ!?俺の手!?』マッシュは愕然とした。自身の手が、いや、全身が、白い柔らかな毛に覆われていた。「可愛い」フィストがクスクスと笑いながら、マッシュを“抱き”上げた。「あなたは確かに強いけれど、ウサギに変えられたら気分はどうかしら?」『う、ウサギ?俺が!?』

2014-08-13 00:50:06
みなみ @minarudhia

マッシュは言われたことに軽いショックを受けた。彼女が片手間に取り出して見せた手鏡を見れば、そこに映っていたのは真っ白な、少し体の大きいウサギ。戦いでカッパに姿を変えられた時よりもある意味ショックだ。「私は自らの姿を変えることも、誰かの姿を変えることができる」

2014-08-13 00:53:36
みなみ @minarudhia

フィストはマッシュをまだ抱えたまま続けた。「あなたは力で目の前の問題を解決できるが、力では利かぬ問題は私が代わりに解決することも、できるというわけ。…とりわけ、人間の常識や智恵など愚かしいほどに恐ろしく悍ましい脅威に対してなら」『…なあ、早く戻してくれ』

2014-08-13 00:58:28
みなみ @minarudhia

しかし、フィストはそれに応えず、マッシュを自身から離すようにして真向かわせた。「私にはまだ、力がある」フィストは言った。「自分でも怖いほどの力を。私には魔導の力はない。ないがゆえにこの世界の制約は受けない。…あなたを護るにはこれだけでも十分すぎるわ」

2014-08-13 01:02:17
みなみ @minarudhia

マッシュがその言葉の意味を探ろうとした時、彼の身体が先程と同じ不思議な光に包まれ、チカチカと輝く。フィストは笑った。「残念ね、ウサギのあなたも悪くないと思ってたけど仕方ないわ。この呪文、あまり長くはもたないの」チカチカした光が止み、そこに立っていたのはいつものマッシュだ。

2014-08-13 01:05:53
みなみ @minarudhia

「正直、」マッシュは肩をすくめた。「ウサギはちょっとその、格好がつかなくて俺は好きじゃない」「いいのよ。でも手段として覚えておいた方がいい」言いながら、フィストの身体が次の瞬間光を放った。マッシュが思わず顔をかばい、一瞬後彼女のいる所を見るとそこにいたのは一匹のフェネックだった。

2014-08-13 01:09:03
みなみ @minarudhia

「ひとまずこれで契約は成立。契約主はあなた」フェネックの姿でフィストは言葉を続けた。「ドラゴンの命は長い。あなたとはどこまでもお付き合いさせていただくわ。…あなたが契約を正式にかそうでなく破棄しなければ、だけど」「なんだって」「お城まで距離はあるからゆっくり教えるわ」

2014-08-13 01:12:07
みなみ @minarudhia

言いながら彼女はちゃっかりとチョコボの尾羽の付け根の上へ飛び乗った。位置としてはちょうどマッシュの乗るすぐ後ろになる。マッシュの目には、ややふと長いフェネックの尾がちらちらと見えた。ふぅ、と長い息を吐き、それが終わるとチョコボに乗るためマッシュは動きだした。 -fin-

2014-08-13 01:15:34