アイヌ研究者による「アイヌ民族とは何か?」

札幌市議の金子快之氏が「アイヌは、もういない」とツイートしたことに端を発する、アイヌ研究者・丹菊逸治氏のツイートのまとめ。考古学から見るアイヌ研究の現在など、非常にためになる。
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丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 逆に、だからこそ「古代アイヌ文化」という概念が浮上しつつある、といっていいだろう。「北海道的擦文」と「完全に古代的な本州的擦文」の差異に目を奪われすぎて、北海道的擦文の古代的性質が今まで見過ごされてきたのではないか、という反省だ。

2014-08-17 19:31:30
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 従来は「アイヌ文化」は静的にとらえられていた。だが、最近の考古学では「アイヌ語以外の言語を話す集団が波状的に渡来し、それを次々に同化した」ことで「アイヌ語集団自体のダイナミックな文化的・社会的変化」が起きた、というモデルを考えているらしい。

2014-08-17 19:35:36
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku もちろん、「人間集団の大規模な交代がなかったから、アイヌは先住民だ」という論理なわけではない。そんなことには関係なくアイヌは先住民である。ここまでの連ツイは、ただ「最新の考古学ではこんな感じである」というだけの話である。

2014-08-17 19:45:21
丹菊逸治 @itangiku

もちろん「民族」というのは人間集団を大雑把にくくった実用的なものでしかない。だが、事実上「アイヌ民族」のあり方に良く似た集団は地球上あちこちにいる。「アイヌ民族がいないことにされるなら、次は俺たちの番だ」ということになるだろう。そういうプラクティカルなものなのだ。

2014-08-17 20:02:49
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 例えば「人口の少ない国家は国家じゃないので、とり潰すことにしよう」ということになったらどうする。「中国以外の国を全部つぶす」から「数万人程度の小国も全部温存」まで基準は「恣意的」に引くしかない。統一的な国家の定義なんぞない。国家の定義もトートロジーである。

2014-08-17 20:05:18
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 例えば「人口の少ない国家は国家不適格なのでつぶそう」ということになったらどうする。日本は「日本より人口の少ない国家はつぶそう。日本までは残そう」と主張するのか。それは得策ではない。「民族」もそういう性質のものなのだ。

2014-08-17 20:07:20
丹菊逸治 @itangiku

.@itangiku 「アイヌ民族は民族ではない」などというのは、平和ボケの考え方だ。「日本民族」が生き残りたければ、日本民族より大きかろうが小さかろうが、伝統文化を残していようがいまいが、マジョリティだろうがマイノリティだろうが、他の全ての民族と互いを認め合っていく以外にない。

2014-08-17 20:11:32