「『ま』シン・オブ・ヴェンジェンス」

きれぼし脳向けネタ忍殺SS ◆マロウスレイヤー◆ 第一部「ネオモヘミンチョ炎上H」より「『ま』シン・オブ・ヴェンジェンス」
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sushi_izumi @89_sushi

「ヤホーッ!」速い!おそるべき拳速!だがそこにマローシンの身体は無い!「何!」マロウジンは息をのんだ。マローシンは瞬時に上昇し、フワーッ!して攻撃を回避したのだ!なんたる適応力か!そしてこれは攻撃の予備動作でもあった。マローシンの姿が霞み、虚空に掻き消える! 72

2014-08-22 15:05:30
sushi_izumi @89_sushi

「ヤホーッ!」「クテハーッ!」突如、マローシンはなんとマロウジンの足元からアッパーカットの姿勢で現れ、そのままマロウジンの顎を斜めに穿った!デマッシュ!キリモミ回転して吹き飛ぶマロウジン!トキタは何が起こったのか分からず呆然とするのみであった。73

2014-08-22 15:05:54
sushi_izumi @89_sushi

一体何が起こったのか?彼が知らぬのも無理は無い。或いはバグ考古学者であれば、マローシンの使ったジツの正体が分かったやもしれぬ。その正体は太古の暗殺拳、ケー・ジー・ビーであった!歴史の闇に秘匿された古代の秘拳による一撃!ワザマエ! 74

2014-08-22 15:06:20
sushi_izumi @89_sushi

「バカな、バカな^^」マロウジンが呻いて立ち上がる。「何者だ貴様!目的は何だ^^」「君らマロウジンは一人として生かしておかない」マローシンはツカツカと早歩きで近づく。「あの研究所に関わったもの、全てを僕は許さないわほー」75

2014-08-22 15:07:16
sushi_izumi @89_sushi

「貴様……裏切り者の出来そこないめ!」マロウジンが叫ぶ。「わしらには仲間がいる!およびとあれば、そこからしゅつどうする!んじゃ」聞く耳持たず、断罪するかの如く、静かにマローシンが宣言した。「マロウジン殺すべし」 76

2014-08-22 15:07:49
sushi_izumi @89_sushi

「ヤホーッ!」手負いのマロウジンが捨て身めいて殴りかかる。だがマローシンは左手をその拳に添えるように当て、最小限の動作で逸らしてしまった。当たらねばマロウジンのパワーは意味が無い!「ヤホーッ!」「クテハーッ!」マロウジンが身体を折り曲げ、震えた。「ゲボッ、グロし……」 77

2014-08-22 15:08:06
sushi_izumi @89_sushi

前屈みになったマロウジンの背中には、ナムアミダブツ……激しくドット欠けがが生じている。ジゴクめいたマローシンの杖による一撃がマロウジンの胴体をバグらせたのだ!「本当だぞ、クテハッ」マロウジンの髭が緑色にバグる。「仲間がもうこの場所へ向かってきているんじゃ^^」78

2014-08-22 15:08:25
sushi_izumi @89_sushi

「望むところだよ」「きゅ、救援を退けたとしても」マロウジンの呼吸がみるみるうちに荒くなってゆく。「より強力なマロウ戦士が……そしてあの方が、貴様の存在を許さぬだろう^^」「僕は君達の存在を許さない」マローシンは杖を引き抜いた。「セカイグハアアッ!」 79

2014-08-22 15:08:37
sushi_izumi @89_sushi

全身を異様なドット模様に変質させ、マロウジンが倒れる。マローシンはまるでそれが日常見慣れた光景であるかのように、無感情な目で見下ろすばかりだ。戦闘はあっという間に終結した。だが、見よ!マロウジンの言葉に嘘は無かった。80

2014-08-22 15:08:56
sushi_izumi @89_sushi

アヒャアヒャアヒャ。巨大な推進音が接近し、上空がにわかに明るくなった。マローシンは顔を上げた。繁華街の退廃的なバグ看板……「ファミリーテテテ」「ふよふよ」「Hさせて頂く。」といった極彩色の文字群の向こう、夜空を斜めに横切る高速飛行船あり。マローシンはその鋼鉄の下腹を睨んだ。 81

2014-08-22 15:09:33
sushi_izumi @89_sushi

「バグい、バグい、実際バグい」「この飛行船はバグプレイ目的であり、怪しくは無い。安心です」欺瞞の言葉を撒き散らしながら、高速飛行船はコードサーチライトを投射し、対象を探している。「……」零秒後、マローシンはフワーッ!と跳躍し、ビルの屋上へ飛び移り、そのまま駆け出した。 82

2014-08-22 15:12:22
sushi_izumi @89_sushi

トキタは、一連の戦闘、いや殺戮を微動だにせず見つめていた。否、動けなかったのだ。バグイオンの嵐が収まった今でさえ尚、トキタは何が起こったのか分からずに居た。「な、何の話だったの……?」その問いに答えるものは、ダレモイナイ。一つ明らかなことは、命拾いしたということだけだ。83

2014-08-22 15:12:30
sushi_izumi @89_sushi

ふと。トキタは足元に一枚の紙切れが落ちていることに気づいた。未だに震える手でそれを拾い上げる。それはポートレートであった。まだ少女であろうか。とびきりの笑顔でこちらを見つめている。明るい色のショートヘアに髪留めがよく似合っていた。84

2014-08-22 15:12:41
sushi_izumi @89_sushi

「これ……あの、マローシンとかいう奴が落としたのかな……?」その問いに答えるものは、だれもいなかった!なかった!85

2014-08-22 15:12:58
sushi_izumi @89_sushi

「そう。うん。もしもし……わかったな?」カレー・ラーメンを食べる手を止め、トキタは携帯電ガチャ端末に向かって呟いた。意気消沈だ。「え?そりゃ、やるしかねえよ。これは突発バグ。どうにかするよ。このトキタ様がこれしきでへこたれるわけ無いだろー!?うん」 87

2014-08-22 15:13:53
sushi_izumi @89_sushi

屋台はメンスター茹で機が吐く水蒸気が立ち込め、隣の客の顔も見えないほどだ。「じゃあまたな。うん。俺様の勇者力を試せるいい機会だしな。また電ガチャするよ……」通信を終了し、味の濃いカレー・ラーメンを啜りこむ。「こんなの無いわー、本当にさ……」 88

2014-08-22 15:14:47
sushi_izumi @89_sushi

結局、トキタはギルドへとは戻らなかった。あの老人は消えたのだから、依頼は達成だ。倒したことすら自分の手柄にすることも出来ただろう。しかし、それはしたくなかった。勇者とは名声を盗むものではない。自然と集まってこそ意味があるのだ、とトキタは自分を納得させていた。89

2014-08-22 15:15:03
sushi_izumi @89_sushi

「あいつは……どこに居るんだろうな?」トキタは拾ったポートレートを見ながら問いかける。彼女は当然、何かを答えてくれることはなかった。「ま、探すしかないか……TASけてもらっちまったわけだしな。この勇者トキタ様の名にかけて、借りはバカヤロウ返すぞ!」90

2014-08-22 15:15:46
sushi_izumi @89_sushi

ゴーにしーを粘つくカウンターに叩きつけ、トキタは霧雨の街角に足を踏み出す。この程度の雨と含有バグイオンなら傘はいらない。マフラーを鼻の上まで引き上げる。マフラーには「旅勇者忍者」のレタリング。「絶対探しだしてやるからな……俺は勇者だぞ。勇者トキタ様だ。」彼は独りごちた。 91

2014-08-22 15:16:00
sushi_izumi @89_sushi

(『ま』シン・オブ・ヴェンジェンス」  完)

2014-08-22 15:17:28
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