荒谷大輔さんによるラカン読書会

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荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

そうして、無意識の概念を「原因」の概念との関わりではなしはじめます。いきなりなぜ「原因」なのかは文脈が明らかではありませんが、おそらくは後に出てくるように、神経症の原因として無意識が措定されたというところから来ているのだと思います。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:13:13

カントの『負量概念』

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

で、カントの『負量概念』についてが参照されていますが、これは面白いですね。 カントは『負量概念』で、何らかのもの「A」が実在するに至る「原因」を考えているのですが、「自然」のなかでの変化では、「積極的なもの」の全体の総和は変化しないとします。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:14:36
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

つまり、「A」が生成するときには、同時に「-A」も生じている、と。自然全体で考えれば、何かが生成する前と後で「総和はゼロ」というわけです。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:15:29
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

しかし、原因と結果の間に何も共有されるものがない場合の「生成」、つまり、「負量」を同時に産出することで理解できない「生成」をどう考えるのかが問題になります。例として挙げられるのが「神の意志」と「創造された世界」との関係ですね。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:16:02
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

「神の意志は何かである。ここにある世界は、これとは全く別の何かである。にもかかわらず、一方によって他方が定立するのである。」(カント『負量概念の哲学への導入』アカデミー版全集2巻、202) #ラカン読書会

2014-08-21 21:16:42

「原因」「結果」「裂け目」

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

ラカンはつまり、この意味での「原因」、原因と結果の間に何も共有されるものがない場合の「生成」を、「神経症の症状」と「無意識」の間に見るわけです。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:18:08
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

そこには、「裂け目(béance)」がある、と。この意味だと、物理的な作用・反作用の法則=裂け目なし、月の満ち欠けを潮の満ち引きの原因として語ること、発熱の原因は瘴気とすること=裂け目あり、ということになります。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:19:49
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

フロイトが「裂け目」に見出したもの(=無意識)は、「実現されていないもの(non-réalisé)」で、無意識は「生まれなかったもの」として我々に示されるといわれます。それは、「堕胎屋と辺土との関係」であり「幼虫(larve)の圏域」にあるもの。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:21:00
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

「分析家は、人びとにその幼虫たちの圏域を開くことによって、「現実的なもの」の領域において、取り囲まれる」ともいわれていますね。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:21:47
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

ラカンのセミネールを含む、すべての「ディスクール」は、こうした辺土の領域を開く効果をもちうる。そこでは(無意識の)主体へと至ることが目指されていて、フロイトが「夢のヘソ」と読んだ地点において、その無意識の主体に触れることができる、といわれています。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:23:09
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

「夢のヘソ」=解剖学上も穴としてしか定義されない=裂け目 #ラカン読書会

2014-08-21 21:24:06
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

フロイトの開いた「裂け目」としての無意識は、その後の分析家たちによって閉じられてしまった。ふたたび辺土の圏域を開くとすれば、それには細心の注意が必要、といわれて、2が終わっています。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:24:44
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

うーん、やっぱりtwitterでインタラクティブな感じを出すのは難しいかもしれませんね。あんまり参加自由だと、実際にタグつけて発言するまでの敷居も高いだろうし。一方的に話し続けるのもちょっと厳しいので、続けるにしてもちょっとやり方を考えます。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:33:13

質疑

荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

とりあえず、以上です。結構疲れました。何か質問があったらどうぞご自由にお願いします。 #ラカン読書会

2014-08-21 21:26:01
Don't Stop Now 無理之介 @hal_1969

@daisuke_araya 連続ツイートお疲れ様です。僕は院生なのですが、ふだんラカンにほとんど馴染みがないも同然なので、たいへん勉強になりました。素人なのでくだらない質問になるかもしれませんが、ひとつ訊いてもいいでしょうか。

2014-08-21 21:36:25
Don't Stop Now 無理之介 @hal_1969

@daisuke_araya もっとはやくに聞けばよかったのですが、1の最後にいわれている概念の実現化ということがいまいち理解できていないんです。ここで言われているrealiserは、のちに無意識として見出される「実現化されていないもの」におけるそれと用法は同じなのでしょうか?

2014-08-21 21:40:46
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

@hal_1969 なるほど。「概念の現実化」ということで示されているものが何か、図がないのでわかりづらいですけれど、たぶん、limx→∞みたいな微分が考えられているのだと思います。無限まで行けば概念と現実が重なるけれど、無限小の隔たりは残り続ける、みたいな。

2014-08-21 21:46:46
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

@hal_1969 そうだとすると、「概念の現実化」というのは、実際にはありえないことになり、そこに「跳躍」が含まれているのは、重ならないものとして、ということになろうと思います。

2014-08-21 21:49:08
荒谷大輔:daisuke araya @heartland @daisuke_araya

@hal_1969 そうすると、「実現していないもの」としての「無意識」は、しかし、「裂け目」を通じて、「神の意志」のように現れうるし、実際に現れるので、ちょっと違うことを示しているようにも思います。

2014-08-21 21:50:38
Don't Stop Now 無理之介 @hal_1969

@daisuke_araya なるほど。お答えいただきありがとうございます。こういうところばかり気になってしまいまして……2の方は原文を追えてなくてただ話を聞くだけになってしまったのですが、背景やレファレンスをきっちり教えていただけたのでたいへん有意義でした。

2014-08-21 21:56:58

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