クライン派とラカン派における精神病概念

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堀川聡司 @satocerac

クライン派的な病態水準の考え方だと、神経症→人格障害→精神病→自閉症、という順で重くなり、治療や環境によっては各水準を移行できる。つまり極端な例だと、精神病の人はまず人格障害にしてそれから神経症にして治療する、といった具合に。

2011-12-10 15:07:57
堀川聡司 @satocerac

それに対してラカン派の、神経症、倒錯、精神病は、最初の刻印に左右されるものといわれているので、お互いを行き来できるような類のものではないのだろうか?例えば倒錯の人は生涯倒錯のままでいるのだろうか?この辺り詳しく解説してくれる人か本が欲しいです。

2011-12-10 15:08:09
schizoophrenie @schizoophrenie

@satocerac 神経症,精神病,倒錯はどう頑張ってもお互いに行き来できない.神経症の「治癒」は幻想の横断と主体の脱解任によって生じ,精神病の「治癒」は妄想形成か補填によって生じるのであって,構造は死んでも変わらない,というのがラカン派のセントラルドグマです.

2011-12-10 18:40:38
schizoophrenie @schizoophrenie

@satocerac 「精神病→人格障害→神経症にして治療する」みたいなクライン派の臨床は,そもそも最初の診断が間違って(ry.そういう事例があったとしたら,それは最初から神経症だっただけのこと.精神病に見えてたのはヒステリー精神病で,人格障害に見えてたのは想像界の病理.

2011-12-10 18:47:53
schizoophrenie @schizoophrenie

@satocerac クライン派の言う「精神病」って,要するに「幻覚・妄想がある」くらいの話で,いいとこ自我脆弱性か原始的防衛機制があるという特徴なので.松木先生の精神病に関する編著とか読むと,分裂病もパラノイアもヒス精神病も十把一からげに「精神病」として扱っていて逆に吃驚する.

2011-12-10 18:52:21
堀川聡司 @satocerac

@schizoophrenie クライン派の考えでは心が器のようなものでそれが「如何ほど情動や葛藤を扱えるか」によって病態水準が決まると考えるので、各水準の行き来が可能であると言われてるんで、そもそもラカン派の人格構造から捉える診断とは考え方が違いますね。

2011-12-10 19:19:30
堀川聡司 @satocerac

@schizoophrenie ということは、「神経症」「精神病」といった言葉が捉えている範疇も両学派では違うということになるんでしょうか。驚愕の事実。

2011-12-10 19:20:47
schizoophrenie @schizoophrenie

@satocerac ラカン先生いわく「〔IPAの〕精神分析家たちは,精神病の治癒を成し遂げたと主張するが,それはすべて精神病が問題ではない〔神経症の〕症例においてなのである」(Ecrits, p.547)だそうです.

2011-12-10 19:24:16
堀川聡司 @satocerac

@schizoophrenie なるほど。ちなみにエクリの邦訳はこの部分さえもひどいことになってましたwこの勢いで「現代ラカン読本」みたいな本を是非執筆して下さい!

2011-12-10 19:53:03
白象 @elephantcalli

@schizoophrenie @satocerac クライン派の治療論としてもそんな経過をたどるとは考えていないと思いますよ。パーソナリティの精神病部分と非精神病部分の力動の中でそう見える、という話ならなくはないかもしれませんけど、それもあまり聞かない流れです。

2011-12-10 20:46:52
あくびこきぞう @akubi_kokizo

@satocerac はじめまして。ラカンの著作をきちんと勉強していないのでなんとも、なのですが、クライン派的な考えだと・・のその治癒過程はどのへんで言われていることなのでしょうか。水準の行き来はまだ実感としてありますが、順番に治す、はあまりに????なのです。

2011-12-10 20:54:24
堀川聡司 @satocerac

@elephantcalli そうなんですか!そういえば私がこれを聞いたのは、文献や症例ではなく、人の口からだったかもしれません。その人は現在のクライニアンの中でも重鎮の先生なので鵜呑みにしてました。

2011-12-10 20:55:20
あくびこきぞう @akubi_kokizo

@elephantcalli @schizoophrenie @satocerac elephantcalliさんにいたく同意します。あまりにびっくりしてsatoceracさんにも返信書きました。自分が不勉強なだけかもしれませんが。

2011-12-10 20:55:50
堀川聡司 @satocerac

@akubi_kokizo たしかに○→○→○という言い方は大分ひどい表記ですね。私のイメージでは、葛藤や不安や罪悪感etcを抱え込めるようにすることが分析治療のプロセスで、抱え込める能力に応じて、神経症、人格障害等と名付けられるので治療に応じて水準が変容しうるということです

2011-12-10 20:59:59
schizoophrenie @schizoophrenie

@akubi_kokizo @elephantcalli たとえばラカンがずっと批判していたのは,「精神療法的接近によって神経症が精神病化してしまう事例」なるものの存在です.フランスだとBouvetが強迫から妄想形成にいった事例を紹介していますが,ラカンはこれを疑っています.

2011-12-10 21:39:36
堀川聡司 @satocerac

クラインが1929年「芸術作品および創造的衝動に表れた幼児期不安状況」で取り上げた画家ルース・クヤールのことが作品+肖像付きで見れる論文発見!http://t.co/NPH5XXau ちなみにこの症例をラカンは倫理のセミネールで引用して、<物>や昇華の議論を展開しています。

2011-12-10 21:41:19
あくびこきぞう @akubi_kokizo

@schizoophrenie @elephantcalli ありがとうございます。いかんせんラカンの勉強があまりに不足しているのでものが言いづらいのですが(汗) 個体の中に精神病的な部分がある、という理解は自分はしています。定義からズレるのかしら。(続く)

2011-12-10 21:43:51
あくびこきぞう @akubi_kokizo

@schizoophrenie @elephantcalli  神経症が精神病化する事例、の場合はラカンからすればあくまでも神経症の症状の展開の一つにすぎず、精神病化、という理解が(ことばの用法が)間違っている、ということでしょうか?

2011-12-10 21:45:25
schizoophrenie @schizoophrenie

@akubi_kokizo ①前精神病(prépsychose)だった症例が顕在発症して精神病になった,②神経症がヒステリー精神病化ないし想像界的なパラノイア性を発露させた,の2通りでだということですね.ほとんど言葉の定義の問題ですね.

2011-12-10 21:49:13
あくびこきぞう @akubi_kokizo

@schizoophrenie ありがとうございます。どうも定義の問題だという気がしてきました。ただ、このずれを理解しておかないと、お互いがまるで違う話をしている可能性があるということを心にとめておきます。そして勉強しなきゃ。

2011-12-10 21:50:37
schizoophrenie @schizoophrenie

要するにですね.神経症の患者でもひとつのセッションのなかでPSからDへと移り変わる,という説明が一方にあって,もう一方で分裂病やパラノイアがPSで説明され,うつ病がDで説明されてしまうと,ラカン派としては「なんじゃそれ」となるわけです.精神病を規定するメカニズムとはなんぞや,と.

2011-12-10 21:54:29
schizoophrenie @schizoophrenie

H.スィーガル:メラニー・クライン入門 http://t.co/1yvXWvuG 精神病を妄想分裂態勢(PS)で説明する話があって,シーガルになると精神病は早期乳幼児期への「退行」だとかそんな話になる.これに対するラカンの立場は「精神病をこども扱いとか本気でやめてほしい」となる.

2011-12-10 22:04:39
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白象 @elephantcalli

@schizoophrenie @akubi_kokizo @satocerac まず第一にカンバーグのような境界性人格構造はクライン派にはなく、ビオンによるパーソナリティの精神病部分と非精神病部分の区別がありますが、その2つの差異は質的なものと捉えられていると思います。

2011-12-10 22:08:34
白象 @elephantcalli

@schizoophrenie @akubi_kokizo @satocerac 精神病的部分で作動する防衛は原始的であり、象徴作用も空想も内的な自己と対象のあり方も、非精神病的部分とは全く異なるものとして概念化されているわけです。

2011-12-10 22:16:31
白象 @elephantcalli

@schizoophrenie @akubi_kokizo @satocerac しかし、この各部分がパーソナリティの中にあり、その力動(という言い方で良いかは実は理解しきれていませんが)によって病態が変わるという点では連続性のあるものとしても捉えられるだろうと思います。

2011-12-10 22:18:35