rsbs日誌#26

﨟長けた鉄血のかはたれどきの魔女🦋 @r_s_b_s

#rsbs日誌　魚雷の数が尋常ではない。此れ程の夥しい量の魚雷を一度に放つ事は困難だ。敵はどの様な技を使って此れを為したのか…？『ギョライダ！』誰かが叫んだ。再びの雷撃。この執拗な攻撃は何だ？遠く海の向こうから攻撃機が魚雷を投弾する姿が見える。尋常ではない数だ…

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#rsbs日誌　それはさながらスコールの雨雲の様だった。数百もの艦攻が群れを成して飛んでくる。投弾される魚雷も尋常ではない。『バラマキカ！』戦艦ル級は吼えた。命中率を一切無視したアウトレンジ攻撃。対空砲で追い払おうにも、有効射程の向こう側から敵は魚雷を放ってくる。

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#rsbs日誌　回避行動を取ったばかりだと言うのに、再びの夥しい雷撃。艦隊に再度の進路変更が言い渡された。途端、水柱が無数に立ち上った。『今度ハ砲撃カ！』電探を稼働させるが反応は…極僅か。砲戦距離にしては異様に遠い。敵の砲弾が左翼を航行していた重巡に被弾し、爆発炎上した。

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#rsbs日誌　『糞ガアァァ！！』怒りの咆哮を戦艦ル級は吐いた。まるで纏わり付く虻蚊の様な執拗な攻撃に怒りが発露する。振るい払おうにも空を切り、無視を決め込もうにもその牙の一突きは此方の力を大きく削ぐものだ。何が、何が起きていると言うのだ。

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#rsbs日誌　「こちらハートブレイク、着弾確認です。敵艦隊の進路方向に対してやや左にズレてます」『了解シマシタ。そのまま偵察をお願いシマス』高度１万メートルを超す高度を飛ぶ偵察機が一機。妖精が飛ばす艦載機だ。彗星を魔改造した高高度偵察機。ドイツ由来の排気タービンを積んでいる

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#rsbs日誌　嘗ての爆弾倉は省かれ、胴体をスリムにし機首のラヂエータを胴体へと移設する等の大改装が行われ、高性能電信装置、高精度撮影機、大望遠カメラなどが搭載された艦隊の隠し玉である。軽量化と出力を増大させた事で700キロを優に超す韋駄天であった。ただし旋回性能は劣悪だ

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#rsbs日誌　文字通りの直線番長。だが今まで被弾した事はあっても未帰還が無いのが彼ら偵察妖精隊の誇りであった。「所で機長？」「何？見張りを休めないでね」「何で私達のコールサインはハートブレイクなんです？」「提督のお呪い。撃ち落とされても帰ってくるからよ」機長はメータを見た。

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#rsbs日誌　「こちらハートブレイク。あと30分でヒュエルビンゴ。交代機を要請します」無線機に語り掛けながら機長妖精は帰りの航法に掛かるあれこれを脳内の算盤で弾いていた。『こちら飛鷹、交代機は発艦したわ。15分後にそちらへ到着予定』「了解です。さぁ皆、気合い入れて！」

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#rsbs日誌　フットペダルを確りと踏み支え、操縦桿とスロットルを握る。この終わりの瞬間が一番恐ろしいのだ。そう、何処からか鼻の良い狼が襲ってくるから。不意に左の空に影を見た。「敵機来襲！緊急退避！」無線機に吠えると機長はスロットルを開きフットペダルを蹴り飛ばした。

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#rsbs日誌　さぁ鬼ごっこの開幕だ。タコメータや速度計がグルグルと回転する。さっきの無線でエスコートの防空隊が出た事だろう。仲間を信じてスロットルを押し込むだけだ。必ず生きて帰る。それこそが、偵察妖精隊の至上命令なのだから。

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#rsbs日誌　わしは艦橋指揮所で数多の情報、メモ、算盤、海図などを前に思考を巡らせていた。「第一撃は概ねの成功を見せています。魚雷による長距離攻撃は命中率約12％。100発撃って12本命中ですね」「こんな戦い方をしたら嘗ては国が引っくり返るがのう」わしは苦笑してボヤいた。

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#rsbs日誌　何せ魚雷一本の値段で家が一件建つのじゃからな。わしが散々行っておいた統合規格計画と量産計画のお陰で大分安価になったが、今回の様な戦いは事前に資源を溜め込まねばやっておれん。とある時間軸のドイツ海軍でＵボートを乗り回しておった頃はとても慎重に撃ったもんじゃった

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#rsbs日誌　「提督、戦艦による長々距離艦砲射撃の成果が出ました。着弾観測のお陰でこっちは19％もの命中率です」「魚雷で進路を封じ、着弾観測をしながら艦砲射撃…存外上手くいったのう」わしはほくそえんだ。此れならば終わる頃には３割は削り切れるじゃろう。「後方部隊はどうじゃ？」

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#rsbs日誌　「回避された魚雷の回収に成功しているとの事です」「まずまずの結果みたいじゃな。特製の魚雷キャリアーによる効果は」それはわしと工廠が開発したイリーガルな追加兵装じゃった。その場での再装填は不可能ながら一度に10発の魚雷を並列発射出来る代物じゃ。

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#rsbs日誌　更に弾頭部分にワイヤーを括り付けてある為に回収が安易である。ワイヤーは魚雷の弾頭が吹き飛べば簡単に外れる為、途中の魚雷が当たっても残りの魚雷は回収しやすいと言う仕組みである。潜水艦艦娘らにこのキャリアーを装備させ、雷撃させたのが最初の一撃じゃった。

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#rsbs日誌　「提督、潜水艦たちの収容を完了しました。旗艦グロースブラーゼンと補給艦、行動出来ます」「よし、先回りのポイントに向かうぞよ。主機関全力、両舷前進！速度３５ノット！」余りにも高速過ぎるグロースブラーゼンは戦速で呼ぶには煩わしく、わしは直接速度を指示した。

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#rsbs日誌　「操舵士、今から海流に乗せる故、確りと舵を頼むのじゃ」「イエスマム！」わしは海図に指を置き、指先に意識を集中させる。海を流れる海流を捕らえ、呪文を呟きながら指先を目的地までなぞった。途端、艦が揺れ、飛ぶ様に前へと進んで行く。60は出ているじゃろうか

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#rsbs日誌　そしてわしは更に海図を突いた。無論、深海棲艦の艦隊の足を鈍らせる為に向かい風と向かい潮にしてやる。奴等はきっと歯噛みをするじゃろう。思った以上に全く速度が出ておらん事に…かーっかっかっか！『提督ゥー！』不意に伝声管が叫んだ。「なんじゃー？」

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#rsbs日誌　『見張りですが、潮風が結構寒いですぅー！防寒着の着用許可を！』あー…忘れとった。「随時防寒着に着替えよ。三時間はこの調子じゃ」『へぶしっ。了解！』60ノットも出したら概ね110キロは出てるからのう…そりゃひんやりしておる潮風を浴びたら寒くもなろう。うむ…

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#rsbs日誌　さて…第二ラウンドの準備と参ろうではないかや。苛めに苛め抜いてやろう。夜戦の恐ろしさを、あやつらに教えてやろうではないかのう？

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#rsbs日誌　闇に染まった海を深海棲艦達はゆく。空は雲一つ無く、星空が覆い尽くしていた。夜は視界が悪い。其れは彼方にも此方にも言える事だがしかし、昼間、自分達を襲って来た相手にも言える事だろうか？戦艦ル級は思い悩む。また何かを仕掛けてくるのではないかと。

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#rsbs日誌　航海行程についても先行きが怪しい。予定よりも航行距離が伸びていないのだ。まるで潮に逆らっているかの様な気分だった。川を上るにしたってもう少し速度が出るだろう。私は一度も川を上った事はないのだが…何故今、そんな事を考えているのか。自分でも良くわからない…

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#rsbs日誌　考えても仕方の無い事だ、と区切りを付け右舷の艤装を確かめる。昼間の長々距離砲撃で至近弾を喰らい、それからと言う物調子が芳しくない。内部からの応急修理を行っているが使い物に成るかどうか…『ーーー！！』遠くで火炎が咲いた。襲撃！？何処からだ！？何を受けた！？