#完全ノープラン艦これ与太話 【ディープ・ナイト・レクイエム】 #1～#2

春魔解丼 @vespiking

陰惨な闇夜をズルズルと闊歩しながら、レインコートの深海棲艦はグシャグシャに丸まった耐酸性雨新聞紙を拾い上げ、片手間に広げる。どこの新聞も、一週間前のシェル・インシデントが紙面を埋め尽くし、ネオヨコスカ以外が世界平和となったような錯覚を与えた。 #KZNPLN

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『日刊マイヅル号外：異例の大人事、新政権の真意に迫る！』『辺境鎮守府から大本営中枢にヘッドハントされた霧島中将とは何者か？』『軍事アナリストは、秘密裏に新型兵器の開発を進めているのではと鋭い分析を』『国連側の反発も予想され治安が』女は新聞を再び丸め、路地に捨てた。 #KZNPLN

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投げ捨てた新聞紙は酸性雨の溜まったポリバケツのフチに当たり、下に落ちる。女は振り向き、舌打ちして新聞紙を拾い上げ、歪な手つきでバケツの中へと落とした。「……チッ、まだうまく動かねー」女はゴキゴキと首を左右に曲げ、肩を回して手を開閉した。「慣らしが必要だな」 #KZNPLN

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ずるり、と、周囲のアトモスフィアが一転する。路地を歩いていたネズミが敏感に殺気を感知し、重度のショック症状を起こしソクシした。獲物を定めた彼女の纏う、恐るべきニンジャ存在感が弱者を狩り潰したのだ。スガモを離れた深海棲艦ニンジャは、2隻いた。 #KZNPLN

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「レェーレェーレェー……せっかくだ。さっきのサンシタでも殺すか……」女はフードを目深に被り、首のマフラーを鼻までずいと引き上げた。彼女の名はレクイエム。スガモインフェルノに湧き出した恐るべき戦艦レ級であり、同時にニンジャ。食物連鎖の頂点に座する存在である。 #KZNPLN

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レクイエムはぎらつく眼光でネズミや衰弱浮浪者を射殺しながら、ニンジャの足跡を探した。ショック死した生態系弱者の轍が、2隻の航路をマイヅルの不夜城に刻みつけてゆく。いずれ、この轍は1本に収束するだろう。悪逆駆逐艦ニンジャ、アフターマンの残骸を合流地点として。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【ディープ・ナイト・レクイエム】 #2終わり。 #3へ続く。 #KZNPLN