五大聖戦:第一戦闘フェイズ【第二の扉】

──激突するは瑞風と颶風。
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【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

己が起こすそれとは異なる異質な風。自分がそよ風のように柔らかなものなら、相手は正しく嵐とでも。渦がまるで空間を切り開いて見える……否、真にそういったものなのだろう。

2014-10-28 12:19:06
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

お礼にと投げられたキャンディをキャッチする。甘いものは嫌いではない。さすがに咥えてやれるほど信用もしていないが。懐にそれを仕舞い込む。 「後でゆっくり味あわせていただきます」 手土産に、その力の一端を教えてくれたものも含めて。

2014-10-28 12:21:23
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

魔王を取り囲む風は轟音めいて、甲高く鳴り響く音は耳に届く。 「ええ、正々堂々、ね」 言葉を含んだ口調は噴出しかねなかったが堪えた。正々堂々なんて苦手なのだけど。呑気に、既に魔王の手によって崩れたがれきの上に立ち、舞い上がった魔王を見上げた。

2014-10-28 12:23:24
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

「まー、全力でやらないとすぐ細切れになりそうですね」 がれきに向けて片手を翳すと土塊や破片、壁の一部を風で浮かばせる。風を纏わせたそれを、颶風に向けて雑多に投げつけた。攻撃より、視界を妨害させる目的。もう片方の手に作られた魔力の塊である魔法の矢が、がれきの裏に交じって投擲される。

2014-10-28 12:32:03
【狂王】アルレット @FHW_ar

様子見、――否、目眩ましか。 纏う風をさらに強め、投げつけられたそれらを壊すわけでもなく、渦の中へと取り込む。 同時、チリ、と感じる違う空気の流れ。 「っ、」 瑞風が投擲した魔法の矢が、それの右腕をかすめた。 流れる赤にそれは驚くこともなく、ただにんまりと。

2014-10-28 19:53:21
【狂王】アルレット @FHW_ar

「…ふっふーん、なるほどなるほど!そういうことね!」 勇者が名乗った時に感じた違和感――おそらく偽名であろうという理由はこれかもしれない。 魔術師はその真名を知られてはいけないと聞く。だからこそ―― …ま、全ては些細な事だ。 崩れて壊れてしまえば、何であろうと終わり。だが、

2014-10-28 19:54:52
【狂王】アルレット @FHW_ar

(…油断するなってセティオのおっさんに言われてるしねぇ) ――カラン、とそれの首に掲げるものが鳴る。 「そうか、君は魔法使いか!いいねぇいいねぇ!…さて、これはお返ししておくよ!」 自身の纏う渦へ取り込んだ破片類を、勢いを増して瑞風へと。

2014-10-28 19:55:20
【狂王】アルレット @FHW_ar

だがそれは、瑞風と同じく攻撃を目的としたものではない。 ―――じわじわ、とね。 微かな、本当に微かなラベンダーの香りがふわりと舞った。

2014-10-28 19:55:24
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

渦巻いた破片は無論だが当たる筈もない。けれど本命たるそれは、傷つけるに至る。 「与えられるものですね」 魔王を見上げ、口元を緩ませた。相手が思案している己に関することなど気にする事も無い。 「……ふむ」 返されたそれを見上げ、こちらへと飛んできた破片を避ける為に駆ける。

2014-10-28 20:36:40
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

魔王を見上げながら手をかざせば飛んできた破片は瑞風を避けて行く。大型のものばかりは瑞風のコートの裾を破ってしまう。 「……ん」 雲散させた瓦礫に交じって、途端鼻腔をくすぐった香りに眉を顰めた。こんなところで花の香りがする筈もない。

2014-10-28 20:41:31
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

後ろへと飛び跳ねながら風力を強めて、こちらへの香りを寄せ付けないよう一迅の風が魔王に向かう。香りを返すとともに、それは魔王を突き破ろうとする槍となって突出した。

2014-10-28 20:46:16
【狂王】アルレット @FHW_ar

――うーん、気付かれたか。 同じ風だからこそ警戒してほんの微量にしたというのに。 ……面白い。 「ふふ、あはは!」 まるで遊戯を楽しむ子供のように、それは嗤う。 二度は受けまい。 それはふわりと、まるで羽のように軽く舞い、向かってきた風槍をかわす。

2014-10-28 23:49:18
【狂王】アルレット @FHW_ar

だがそれの纏うは災害だ。 突如現れ全てを奪う竜巻のように―― 「――遅いよ、」 …―――カラン。 瑞風のすぐ後ろ、それは狂乱する風と共に現れ鋭利なその尾先を振り下ろす――!

2014-10-28 23:49:32
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

可笑しなことでもありましたか?なんて首をかしげて見せるけど、口にする余裕までは無い。軽々と交わされた槍を一瞥してから、後退の為のルートを確保―― 「……ッ!」 真後ろに現れた尾に視線のみをやる。気付けば既に背後を取られて、背後の刃のよな尾に背を傷つけられた。赤が飛び、風に舞う。

2014-10-29 01:13:10
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

「…、このッ」 逆手に魔力を生成する。それは透明で、一見すれば目に見えない。掌に纏ったそれで、疾風の速度を持つ風の刃が風力を放って近接に挑む。 しかし、刃先に触れられれば、あるいは肉薄するとき、それはじゅわ、と音を立てて滴る毒性の強い液体に覆われたものであると分かるかもしれない。

2014-10-29 01:13:23
【狂王】アルレット @FHW_ar

――チリ、 再び肌に感じる、あの違う空気の流れ…魔術か。 後退すると共に風を纏い防御―…よりも早く、それの鼻先を僅かに掠る! ――…毒か…変質性のある魔力を扱うのか。 「ちょっと遅かったね!」 ――カラン 瑞風の横で、それが掲げたものが鳴ったかと思えば、また遠く、宙へと浮かんで―

2014-10-29 01:47:42
【狂王】アルレット @FHW_ar

「あはは!やっぱり楽しいや!今まで戦ったヤツみんなすぐ死んじゃったからさぁ」 笑顔。 先程から一切変わらない、表情。 どこまでも楽しむかのような、表情。 少し傷ついた鼻先をぺろりと舐める。 「ふふ、薄々分かっているんじゃない?そういうの、ボクには何の効果も示さない」 ――カラン

2014-10-29 01:48:19
【狂王】アルレット @FHW_ar

「そう何度か魔力を感じればもう予知できる。この空気も、風も、既に把握済みなんだよ。…だてに魔王を名乗ってないサ」 苦痛も皮肉も何もない、純粋な笑顔のまま。 空で足を組み、肘をついて瑞風を見下ろす。 「ああ、そうだ。あまり動かない方がいいよ」 それの紅の眼は、青を見据え――

2014-10-29 01:48:45
【狂王】アルレット @FHW_ar

「ふふふ、<毒>がまわっちゃうよー?」 ――じわじわと、じわじわと、 「さぁ、君はどうかな?」 瑞風の背を傷つけたそれの尾から血が、落ちた。

2014-10-29 01:48:54
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

逆手に持っていた刃は、風を纏っていた石柱は、明るく輝く白と紫の刀身を晒して吹き飛ぶ。風の魔力に覆われたものは音を立てて落ちたそれは粒子となって消える。 どこまでも楽しむ様子につられて笑む瑞風。 「ええ、楽しいですね」

2014-10-29 02:57:24
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

「魔王に毒は効かないとなると、1つ手は封じられましょうけど、痩せ我慢しているわけではありませんか?」 己の魔力は特異な型。真っ当な手段はそう持ち合わせない。 「僕とあなたは似た臭いがしますもの」 だからこそ分かる気がする。目の前の魔王の欺瞞が。

2014-10-29 02:58:27
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

「毒、なんて……」 破れた背中を気にすることも、触ってみる気にもなれない。瑞風は変わらず笑い返してやる。 「どうでしょうね。あなたと違ってただの人間ですから」 これが暗殺者や魔術師なら諦めるであろうところであろうと。 「それに、僕は勇者ですからね」

2014-10-29 02:58:40
【覇王】ウェスぺル @Vesper_2i

自らを鼓舞して、掌に魔力を集め、風が覆う。 「ここからですよ?」 再び剣のような形状に変化させる。実体のない魔力は瑞風が視線で追った先、魔王へと疾風の如く向かう。 けれどそれは風という鞘に納まった剣に過ぎない。刹那に風を解けば、重い速度を持った氷の刃が穿とうと顕現した。

2014-10-29 09:47:58
【狂王】アルレット @FHW_ar

「っぷ、あはは!!」 吹き出し、大笑い。 「似た臭いか!あはは!魔王と似た臭いって、くくくっ…!」 それは腹を抱えて肩を震わせ、でもね、と続ける。 「欲望のままに力を手に入れたボクら魔王に我慢だなんてものはないよ!」 嗤う。張り付けたように、嗤う。

2014-10-29 17:46:50
【狂王】アルレット @FHW_ar

「勇者…そうだね、君は勇者だ。うち滅ぼすべきは魔王。そしてその魔王がボクだ。けど魔王もまた同じ。うち滅ぼすべきは、勇者」 疾風のごとくこちらへ向かう、勇者の魔力。 「いいね、足掻く人間は好きだよ、大好きだ!そしてそれをへし折ることも」

2014-10-29 17:47:07