- Entry2Hurt
- 2001
- 0
- 0
- 0
「お前の予想、的外れもいいとこだぜ。で? どう思う」 「正直、瀬戸さんでは厳しいと思います。火神君でも手こずったので。お父さんに張り付くには体力が必要ですし」 「クソッ、やっぱ潰すか〜」 テーブルの下で足を蹴られた。 「ラフプレーはダメですよ」 コートの外ではいいのかよ!
2014-11-20 19:30:07「勘違いすんな。オレは別にラフプレーがしたいわけじゃない」 「んなわけねぇだろ…ですね、わかります。いいかげんボクも騙されませんよ」 「バスケに青春かけた奴らを潰すから楽しいんだろ。大して努力もしてねー奴じゃな」 「悪い人ですね」 「ああ、極悪だ」 「悪童のままでいられますかね」
2014-11-20 19:35:03「あと、弱点というほどではないですが彼は煽り耐性が低い。バカバカ言うところとかキミに似ています」 「」 黒子から450円以上の情報は得られなかった。勝ちたいわけでもねぇが、今回は“やっぱ花宮すげぇ!”を示す必要がある。とりあえず罵言の発音練習するか。セネガルはフランス語だったか…
2014-11-20 19:45:07_
「ところで今日は駅まで送ってくれるんですか…?」 「いや、次の角で一緒に曲がれ。多分つけられてる」 驚きの声をあげる前に黒子の口を塞いだ。 「しっ。どーせオレへの復讐目的だろ。二人なら諦めると思ったんだがな。帰らないところを見ると、弱そうなお前が一人になったところを狙う気かもな」
2014-11-20 20:00:21万が一に備えて黒子にスタンガンを手渡し、オレは警棒を握った。 「持ち歩いてるんですか…」 「オレの趣味は命がけだからな」 曲がり角に差し掛かった。オレ達を見失わないようストーカーは必ず距離を詰める。そこを叩く…! 数歩進んだところでふり返り、一気にソイツに接近する。 「きゃあ!」
2014-11-20 20:05:08声を聞いてすんでの所で打撃を止めた。壁ドンした相手を見下ろす。 「随分な挨拶ね」 「復讐ならもっと上手くやるんだなバァカ」 「アンタをぶっ殺したいのは山々だけど、私は黒子君に話があって来たの」 地面に何かが当たる音と共にスタンガンが転がる。黒子の顔は真っ青だ。 「カン、トク…」
2014-11-20 20:10:11「あなた、本当にこんなクソヤローと仲良くしているのね。見損なったわ」 相田リコは黒子を睨みつけた。 「昨日、火神君と電話したの」 黒子の肩がビクリと跳ねる。 「火神君、あんなふうに出国してしまったこと、すごく後悔してたわ。あなたに謝りたいって。私もずっと元に戻りたいって思ってた」
2014-11-20 20:15:03「火神君の話は何かの間違いかもしれないって…でも、どうやら本当みたいね」 話が全く見えない。なぜかオレが誠凛の争いの火種になっているようだ。 「ねぇ、何か言い訳して!」 黒子は無言で目を伏せた。 「…そう。なら、これ以上話すことはないわ。今後もウチの選手に近づかないでちょうだい」
2014-11-20 20:20:06「皆には黙っておくわ」 捨て台詞を吐いて相田リコが去っていった後も、黒子は暫く動かなかった。 「…そろそろ説明しろ。さっきの話も…どういうことだよ?」 「…あとで話します」 「オイッ!! ごまかすなよ!!」 「いえ…今はまだその時ではないだけです」
2014-11-20 20:25:06黒子はオレが着てる就活スーツを視線でなぞった。 「花宮君、やりたいことは見つかりましたか?」 「はぁ? 別にねぇけど」 「今いくつ内定を持っていますか?」 「今日で43」 結果が決まっている面接のような会話だった。 「では、キミが50コ目の内定を貰ったとき、全てをお話しします」
2014-11-20 20:30:09「ふはっ、オレは今ココで就活やめることだってできるんだぜ?」 「ならば、この話はこれまでです。…でも、気になってきたでしょう?」 「チッ」 「関心を持ってくれて嬉しいです」 あたりが暗くてよく見えないが、声色から黒子が微笑んでいるように感じた。 「今のボクにはキミしかいないので」
2014-11-20 20:35:04「キミは自ら本筋に関わる気はないと思っていました。キミは花宮(キミ)のバスケを愉しんでいたから」 “ボクは彼らのバスケが間違ってると思って戦うことを選びました” 5年前のイグナイトパスを打ちながらの早口を脳内で再生した。何かモメてたらしーが、オレには関係ねぇし気にも留めなかった。
2014-11-20 20:40:16『騙された思うて続けてみーや。内定はなんぼあってもええしな〜』 『約束通り、あと何社か受けてもらいます』 『キミが50コ目の内定を貰ったときに全てを話します』 どうしてこうなった。オレはただ就活に大学生活をかけた奴らが、歯軋りしながら祈られる姿を見たいだけなのに。就活やめたい。
2014-11-20 21:00:09_
「花宮、モテモテじゃん」 ピアノの屋根に置かれた名刺の束から瀬戸は一枚を手に取った。 「文化祭は企業の人事が集まる絶好の機会だ。とっとと50内定とろうと思ってな」 「それで謎の意識高いトークライブね。お疲れサマ」 「…健太郎、何が言いたい」 「そんなに知りたいの? 黒子のこと」
2014-11-24 17:15:09「気にせず就活やめればいいのに。何だったら皆で起業でもしようぜ」 「…木吉なんかと手ぇ組みやがって」 「まだ怒ってんの。…お互い様ってわけか。でも、もしものときは言って。力になる」 返事をせずオレはピアノの鍵を閉めた。 「花宮は無敵だけど、それはオレがサポートする限りでだから」
2014-11-24 17:20:12_
セネガルは元仏領だから仏語と思いきや、調べたところ、実質上の共通語はウォロフ語っつーマイナー言語らしい。文法クソめんどくせぇ…いや、オレは留学生を華麗に煽ってみせる…! 諦めんな、悪童・花宮真! 意識の低い就活生花宮のバスケ【序章】 togetter.com/li/743174
2014-11-23 23:46:01