#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】 #3～#4

春魔解丼 @vespiking

ダイハツ像の速度が落ち、山の頂上でほぼ停止。ゆるりと重力に任せ、先へ進んでいく。ブレーキが早過ぎれば登り坂で止まり、遅過ぎればジャンプしソクシであったろう。なんたる精密な力加減を要求する危険トラップと、それを可能にするザゼンにより培われた綾波のヘイキンテキか！ #KZNPLN

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ダイハツ像は緩やかなレールを、するすると下ってゆく。おそらく、この関門の終息が近い。綾波はぎゅうと自身を掴む龍驤を、優しく抱き寄せた。「もう終わります。もう大丈夫」一時の安らぎが、2隻を包み込んだ。 #KZNPLN

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綾波らより少し遅れ、ランドグリーズらも冒涜的ダイハツガレージ渓谷に辿り着いた。「ウム……行き止まりか？だが、彼女らの姿が……」「アバ、アバ」ランドグリーズのコンバットズボンを、隻眼のバイオ艦娘がぐいぐいと引いた。「ム、どうした」「アバー」隻眼は壁面を指し示す。 #KZNPLN

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「アバ、アババ」「アバー」隻眼からなんらかの指示を受けた剛腕バイオ艦娘はそちらへ駆け寄り、冒涜的ダイハツ像をひょいと担ぎ、曳航した。「アーバ、アーバ」「アババー」隻眼がぐいぐいと裾を引く。「おお、あれでレールを進むのか！」「アバ」「でかした！那智戦隊、行くぞ！」 #KZNPLN

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「右だ！」「アバー」「イヤーッ！」ゴウ！「左だ！」「アババー」「イヤーッ！」ゴウン！「後ろだ！ブレーキ！」「アバー」「イイイヤアアアーーッ！」難所突破！タツジン！ダイハツ像はゆるりと下りてゆく。 #KZNPLN

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空中でレールが途切れ、ランドグリーズとバイオ艦娘らは空中へ投げ出された。「ウワーッ！」「アバー」CRAAASH！ダイハツ像は落下破砕し、ランドグリーズらは着地！周囲を警戒した。「ウワーッ！さっきの傭兵！」「アイエッ！？」広間中央、祭壇で綾波が銃を構えた。 #KZNPLN

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だが那智は、怯える2隻よりも先に、その奥の祭壇に目を奪われた。空母を模した冒涜的祭壇。その上で黄金に輝く、美しいマキモノ甲板。野晒しじみて広げられ、だが一切朽ちる様子もなく、燦然と光を放つ。「アバー！」「アババー！」バイオ艦娘がぴょんぴょんと跳ねた。 #KZNPLN

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那智はその美しさに一瞬見惚れ、直後、心の底からふつふつと高揚感が滾るのを感じた。「……おお、やったな！ついに見つけたぞ！」那智はバイオ艦娘らを抱き寄せた。「アバ」「アバ、アバ」龍驤は呆気にとられ、綾波は銃を下ろした。敵意が感じられなかったからだ。 #KZNPLN

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「……そうか。川内は死んだか」「ハイ、スガモで」毒気を抜かれた綾波は、那智へ師の最期を告げた。「あいつらしい最期だ」「……お師匠様と、どのようなご関係で？」「腐れ縁さ。同じ傭兵として、何度か背を預けた」「親しかったのですか？」「いいや。戦場とは、そういうものだ」 #KZNPLN

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「スゴイなァ……ホンマにキレイやで……光っとる……」「アバ、アバ」「アバー」龍驤とバイオ艦娘はしばし、マキモノを見つめていた。「……私達はただ、マキモノを見に来ただけです」綾波の言葉に、那智はどきりとした。「……さて、どうしたものか」那智は思案した。 #KZNPLN

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刹那！ランドグリーズのニンジャ第六感は、広間へと迫る恐るべき殺意を知覚し、反射的に祭壇の龍驤らへと跳んだ！「アブナイッ！伏せろ！」「ア、アイエエエ！？」「アバ？」「アバ」直後！強烈なマズルフラッシュが闇を切り裂いた！「グワーッ！」 #KZNPLN

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ランドグリーズの背を、ハンディ機関砲が容赦なく掃射する！「ア、アイエエエ！」ランドグリーズに護られ、龍驤とバイオ艦娘はすんでのところで弾丸を回避した。綾波は反射的に銃を構える！「チィーッ！誰だ！」「誰だ、は無いんじゃあない？ランドグリーズ＝サン」 #KZNPLN

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カツカツと靴音を鳴らし、機関砲を構えた黒髪ツインテールの巡洋艦が聖堂の床を蹂躙する。血に染まる靴底で。「……五十鈴＝サンか」「エエ、ゴブサタです」五十鈴は聖堂の全員に相対し、だが恐ろしく余裕の表情で、両手を広げ挑発する。「お仕事ありがと。オツカレサマドスエ！」 #KZNPLN

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「見ての通りビズは完了だ。マキモノを今から……」ＢＬＡＭ！「グワーッ！？」ランドグリーズの右肩を、機関砲が撃つ！「バカねぇ。状況がわかってないのかしら。もちろんマキモノは戴くわ。だけど、こういうの……宗教的問題？デリケートなのよ。あまり世間には知られたくないわ」 #KZNPLN

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「……口封じというわけか。無礼られたものだ」ランドグリーズは傷口を押さえ、前へ出る。「ドーモ、ランドグリーズです。私はニンジャだ。やれる物なら、やってみろ」五十鈴は余裕の表情を崩さない。「ア、アイエエエ……？ニンジャナンデ……？」龍驤はしめやかに失禁した。 #KZNPLN

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「私達アドミニストレイターはね、普段は明かさない裏の顔があるの。それを曝け出す時、全力で相手をする時。私達は、これを付けるの」五十鈴は懐から、メンポを取り出した。玩具じみた、安っぽいメンポだ。「でも、それって変だと思わない？」五十鈴は玩具のメンポを投げ棄てた。 #KZNPLN

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「本気を曝け出すのに、顔を隠すなんて。だから私は、脱ぐの。この、メンポをね」五十鈴はぐいと首元に手をかけ、力一杯引き抜いた。おお、ナムアミダブツ……！なんたる冒涜的光景か！五十鈴の顔の皮膚が、否、人工バイオ皮膚がベリベリと音を立てて剥がれ、素顔が曝け出された！ #KZNPLN

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五十鈴の顔面には、パッチワークじみて幾本もの縫い傷があった。それぞれ肌の色が違う。まるで、別人の皮膚のごとく。「ドーモ、ランドグリーズ＝サン。トゥエンティワンです。多勢に無勢。貴女達は今、21隻の精鋭艦隊と相対している」五十鈴はあくまで挑発的にアイサツした。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】#4終わり。#5に続く。 #KZNPLN