#完全ノープラン艦これ与太話 【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン　丙：ブラック・オンスロート】

春魔解丼 @vespiking

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（よい提督のみんなへ：これからはじまるのは、当アカウントでれんさい中のニンジャスレイヤーリスペクト型艦これファンジンSSの #完全ノープラン艦これ与太話 です。このおはなしは二次創作です。実在するニンジャや大本営とはかんけいがありません。おうちの人が気をつけてね） #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 第2部最終話【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン】より #KZNPLN

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【丙：ブラック・オンスロート】 #KZNPLN

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時雨は地面に手をつき、バク転で衝撃を殺しながら最外壁付近に着地。両手の砲塔を合体させて肩に担ぎあげ、口元の泥と重油を拭った。「ドーモ、春雨＝サン。時雨です。君はマイヅルの主力だね。夕立諸共、ここで砕いておくべき障害だ」 #KZNPLN

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時雨の袖口に縫い付けられたエンブレムが炎に照らされ、煌々と輝く。「……それが、貴女の選んだ道ですか」地に突き刺さる聖剣と、荒々しいドラゴンの意匠が「佐」の字を象る盾形のエンブレム。「どうかな。サセイボも所詮、完全じゃあない。だが、大日本帝国よりは利用価値がある」 #KZNPLN

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「僕は潰すよ、サセイボも。いずれ、きっとね。だが今は利用すべき時だ。金剛もそれを承知だろう。ウィンウィン関係さ」金に輝く忠犬の瞳はおぞましい程にフラットだ。皮肉や自嘲といった感情すらも見出せない。「貴女という艦は……ッ！」春雨はそれを激しく嫌悪した。 #KZNPLN

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時雨は砲を背負い込んだまま前傾姿勢で駆け、水平チョップでドラム缶装甲からはみ出した春雨の脚部を狙う。無敵に近い春雨といえど、下段攻撃への防御力は駆逐艦娘と同程度。いわばベンケ・ニンジャの頭頂部だ！「イヤーッ！」「イヤーッ！」春雨はその場でしゃがみ、ガード！ #KZNPLN

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「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！」「グ、グ、グウーッ！」執拗なローキックの連打！然り。ドラム缶の縁が接地状態であれば春雨は身動きが取れぬ！強固ゆえに柔軟性に欠ける春雨の弱点を即座に見抜いた時雨のカラテ慧眼である。「イヤーッ！イヤーッ！イヤーッ！……イイヤァーッ！」 #KZNPLN

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見かねた夕立がインターラプトに走る！だが！「グワーッ！？」その直後、春雨の円筒形胴体が宙に浮いた！そのトリックを読者の皆様は目撃しているはずだ。時雨はローキックで動きを封じた春雨の中～上段めがけ、主砲を放ったのだ！何たるカラテ支点と砲撃力点が織り成すテコの原理か！ #KZNPLN

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カラテと主砲がもたらす作用点とは即ち魚雷！一撃必殺の酸素魚雷を指に挟み、時雨が空中の春雨を追う！コンマ1秒未満の差で夕立の暗黒触手が時雨のいた足元を砕き、イミテーション土が舞う！夕立は鉤爪のように触手を固定し、胴体を投げて追う！「キエーッ！」「イヤーッ！」 #KZNPLN

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きりもみ回転する夕立の背部艤装を時雨の空中砲撃制動ソバットが打つ！並の艦娘であれば顎めいて裂けた艤装に足を食い千切られるところであったが、時雨は金の光を纏ったカラテで暗黒触手の動きを一瞬止め、踏み台めいて蹴飛ばした！「ンアーッ！」時雨は空中で春雨を掴む！ #KZNPLN

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時雨は上向きになった春雨の開口部にしがみつき、駆逐艦膂力で身体を持ち上げ、ダンクシュートめいた姿勢で魚雷を叩き込んだ。「君には失望したよ。まあいいさ、アブハチトラズだ」ＫＡＢＯＯＭ！開口部から爆炎が噴き出し、ロケットめいて降下。その先には……ナムサン！夕立だ！ #KZNPLN

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カラテ注入ソバットにより制動を崩された夕立はこれを回避する術がない。ダンプカーめいた重衝撃質量塊が夕立をネギトロに変える……筈であった。だが！「……何？」おお、見よ！重力に乗って直進轢殺するかに思われた春雨は円弧を描き、夕立を避け、あろうことか上昇！時雨へ迫る！ #KZNPLN

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「く、グワーッ！？」ＫＲＡＡＡＳＨ！時雨は衝突の瞬間、恐るべき反射神経で合体連装砲を放ち衝撃を緩和。だがダメージは浅くない！炎に照らされ、円軌道の中心に向かう黒の鎖が煌めいた。その先にはバンブー！その上方に薄桃色の……影！「イヤーッ！」ドラム缶が宙を舞う。フシギ！ #KZNPLN

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なんとかウケミした夕立はその影を見た。薄桃色の髪は先端が蒼く光り、ドラム缶と同色の黒い装束を纏った少女はネコめいて跳躍し、夕立の傍らに立つ。「……ぽい！？」その手には、黒く強靭な鎖。一方は背のアンカーチェイン巻き取り機構に接続され、もう一方はドラム缶だ！ #KZNPLN

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春雨の中身は鎖付きドラム缶を威圧的にブンブンと振り回しながら勢いを殺し、ゴトリと脇に落とした。「こちら春雨。これより機動形態に入ります。形態変化中の防御支援は不可能です。脅威を排除するまで警戒を強めて下さい」『こちら長波。了解した。久々の運動だ、存分にやれ！』 #KZNPLN

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「なる程ね……君も奇妙な存在だ」煤を払い、炎の奥から時雨が立ち上がる。「おかしいとは思ったんだ。僕の知っている春雨は駆逐艦の名だからね。つまり君の素体は駆逐艦娘か。缶と艦、任意にスイッチできるとなれば脅威だ」砲を分離し、握り込む。「優先順位を変えよう。君から潰す」 #KZNPLN

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夕立はずいと身を乗り出した。今の春雨は防御を捨てた戦闘形態である。初撃を防ぐのは己の役目だ。だが、時雨は掴んだ砲を春雨でなく、自身のこめかみに押し当てた。「メルカバーッ！」そして引鉄を引いた！ＢＬＡＭ！ #KZNPLN

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破裂音と共に、時雨の頭部が空気圧によって横に跳ねた。空砲！「……イイイイヤアアアーーーッ！」直後、時雨の瞳から金の光が消え、かわりに白目が赤く見紛うほどに充血！引き絞られた瞳孔が春雨を見据え、その船体が矢のように放たれた！ハヤイ！「キエーッ！」「イヤーッ！」 #KZNPLN

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夕立は獣じみた反応速度でこれを察知し、カウンターのチョップ突きを振り抜いた。速度のみへとカラテを転化した、砲弾めいた初速。タイミングは完璧。時雨の頭部は砕ける。だが時雨は姿勢を低くし、これをすり抜けた。恐るべきことに、時雨はチョップを目視で躱した。第六感ではない。 #KZNPLN

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時雨はスライディングめいて春雨の懐に潜り込み、ドラム缶を振り上げる動作が一割にも満たぬうちに拳を握り、突き出す。春雨はバックステップ、否、最早転倒に近い緊急回避動作でこの致命打を回避した。これは第六感の産物だ。時雨は伸ばした肘を曲げエルボードロップを「グワーッ！」 #KZNPLN

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無我夢中で背後へ放った夕立の暗黒触手が、今まさに春雨の内臓を破壊せんとしていた時雨を打ち払った。踏み止まった春雨が、短くとった鎖でハンマーめいて構えたドラム缶を打ち振るった！「グワーッ！」時雨は後方に飛ぶ。浅い。直前で防御動作をとったか。何たるハヤイか！ #KZNPLN

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ウケミした時雨の瞳に、金の炎が再び宿る。「フゥーッ、慣れないうちはこんなものか。常用はできないが、まあいいさ」徐々に瞳孔が広がり、充血していた血管はかわりに縮む。「僕がサセイボに与するのじゃあない。サセイボが僕の理想に与するのだ。このようにしてね」 #KZNPLN

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