#完全ノープラン艦これ与太話 【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン　丁：ザ・サン・アバヴ・クラウズ】

春魔解丼 @vespiking

●●●●●●●●●●●●●● #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

（よい提督のみんなへ：これからはじまるのは、当アカウントでれんさい中のニンジャスレイヤーリスペクト型艦これファンジンSSの #完全ノープラン艦これ与太話 です。このおはなしは二次創作です。実在するニンジャや大本営とは関係がありません。おうちの人が、気をつけてね） #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

#完全ノープラン艦これ与太話 第2部最終話【アンセム・オブ・プロジェクト・サタン】より #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

【丁：ザ・サン・アバヴ・クラウズ】 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

（これまでのあらすじ：元クナイチョ艦艇、現大日本帝国元帥あきつ丸はサセイボ鎮守府総司令、金剛と共謀し、重犯罪者で編成された急造艦隊を用いて首脳会談の行われる地下防空壕ゴブンコ・ライブラリを襲撃した） #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

（あきつ丸の目的は北上の鎮守府に所属する伊8クローン、通称アハトの回収。だがヌル博士と自称する伊8オリジナルは護衛の駆逐艦嵐に手間取っていた。膠着状態を破るべく、ついにあきつ丸手ずからが攻撃を開始した！） #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

（前節︰ togetter.com/li/1007644 ） #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

ゾワワワワ！不気味かつ不愉快な音を立て、全長約20cmほどの虹色の芋虫めいた形状に変化した粘液が一斉に嵐と伊8へ迫ってくる。「ア、アイエエエ！？」「畜生！聞いてねえぞ！」嵐は探照灯の描かれたカードを取り出し、バックルに挿入！「チェンジ！ヤセンソウビ！」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

なんらかのサイバネ機構が発動し、嵐の全身がフルメンポニンジャ装束に包まれる。フシギ！『ブガガー！警告！警告！カラテ不足近いデチ。これ以上の稼働は……』「ファック！まだ足りないのかよ！」『もうすぐ強制終了を……』「わかったよ！しつこいな！」迫る虹芋虫！ #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

嵐は再びカードを挿入。今度はハンマーの意匠（原註︰ハンマーはダメージコントロールを表す）が描かれた白いカードだ。「チェンジ！リペアソウビ！」嵐のニンジャ装束が白くなり、各部位の武装がやや控えめに変化した。「ザコなら充分だろ！イヤーッ！」機銃掃射！虹芋虫が爆ぜる！ #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

『ＭＹＡＡＡＡＡＡ！』爆ぜるたび、異様な金切り声を上げる虹芋虫！その存在すべてが精神の奥底から恐怖と嫌悪を容赦なくサルベージし、否応無しに正気を奪われる！「アイエエエ！」「落ち着け！逃げるぞ、この姿だとカラテも満足にできねえ！」言うが早いか、嵐は伊8を抱え走る！ #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

鼓膜に粘液となって貼り付くような金切り声が、聴覚から徐々に感覚を奪っていく。視界が色褪せ、平衡感覚が歪む。この効果は実際ゲン・ジツの類いであるが、しかし虹芋虫は物理存在として、たしかにそこに存在しているのだ。現実と重なることで、嵐と伊8の認識に非現実が滑り込む。 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

モルフォ・ジツの射程圏内においては実在する物理現象ほど希薄になり、幻ほど現実感を持って迫ってくる。カラテ生成した粘液状の狂気的物質を媒介にゲン・ジツを振りまくこのおぞましきジツの虚実の境界は、恐らくあきつ丸以外の誰にも観測はできぬであろう。双方とも正気を奪うのだ。 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

いっそう巨大な虹芋虫が天井から滴り落ち、炎に飛び込み、奇声をあげて死ぬ。胴を焼かれて背がボコボコと沸騰する虹芋虫から沸き立ち、鼻を突く腐乱臭は果たして現実か？耳にまとわりつく奇声は耳の中に何かがいる？全身を這うような感覚は、虹芋虫のそれか？「う、うわあああ！」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

【 #KZNPLN 】

春魔解丼 @vespiking

嵐の足がついに止まる。全身が動かないのだ。嵐は手練の傭兵であり、相応にシュラバも抜けてきた。その嵐をもってして、精神力が限界を迎えたのだ。戦闘経験のない伊8は言うに及ばず、既に生気を失った顔面に、瞳孔までを見開いた大きな目が張り付いているだけだ。 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

「……ハァーッ！ハァーッ！」くぐもった荒い息が、フルメンポの中で充満する。リペアソウビ形態の特徴はカラテの充填と肉体的損傷の修復。実際、嵐の肉体的ダメージはヌル博士との抗戦直後よりも回復している。だがヤセンブリンガーの特殊機構も、心の内側にまでは及ばぬのだ。 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

ペタン、ペタン、ペタン。不格好な足音が響く。どこから？わからぬ。視界情報と脳の処理がリンクしないのだ。ここは崩落寸前の廊下であるのかもしれないし、羽化できず液状化したまま死んだ芋虫の蛹の内かもわからぬし、或いはオヒガンの果てにある、毒花が咲き乱れた花畑やもしれぬ。 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

その、わけのわからぬ宇宙のただなかに、ニョキリと湧き出すように、ドクロめいた白い顔が生えてきた。それだけが嵐の精神にとって今や、真実と確信し得る存在であった。不幸なことに。「ホ、ホ、ホ。ドーモ」死人めいた皮を張り付けた、ドクロの口を開いた。「あきつ丸であります」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

「ド、ーモ、……、ヤセン、ブ……リンガー、です、、。」ギチギチと腰骨が曲がり、嵐はオジギさせられた。脊椎内部に侵入した巨大な針金虫が、胴を折り曲げたような感覚だった。「ホ！ホ！ホ！元気なアイサツで宜しい！結構、結構」あきつ丸が手を叩くたび、芋虫が掌の間で潰れた。 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

「ニンジャ。なる程」ドクロ顔がニタリと笑う。「ヤセンブリンガー＝サン。否、嵐＝サン。貴艦はニンジャではない。その装束がニンジャだな？興味深い所業だ……一体、何処の誰がこんなことを。慈悲深い……不死。不滅。善き言の葉だ。皆そうありたく思う。私もそう願おう」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

「ア、ギギ」嵐がもがく。ドクロは続ける。「平和。平和は善い。尊く、かけがえがない。これこそはミコトノリ・オーダーに他ならぬ。何を犠牲にしようとも、成し遂げねばならぬ。わかるね？君の小脇に抱えたアワレな潜水艦を渡してくれ給え。八千代の帝国。その礎を」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

嵐の腕に自由がほんの少し、戻る。脳をがんじがらめにされたまま、腕だけを解かれたような感覚だ。「さあ。蜘蛛糸は解かれたぞ。こちらへ」「ウ、ギ……」ゆっくりと、小脇に抱えた伊8を前に移す。「さあ。もう少しでありますよ」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

シャコン。嵐の手首付近のサイバネ機構から、一枚のカードが飛び出した。ちょうど伊8を腹の前で抱え、腰のバックル付近にあった手首からだ！「チェンジ！ヤセンソウビ！」真っ白な装束が一瞬にして、燃えるような赤銅色に変化する！フシギ！「イヤーッ！」 #KZNPLN

春魔解丼 @vespiking

伊8を手渡す寸前、嵐はバク転であきつ丸との距離をとった。距離！然り、ここはオヒガンでも芋虫の腹中でもない！現実世界！そして相手もドクロではない！ただの、実在の艦艇だ！「ファック・オフ！助かったぜセンセイ！」「ホー！ホー！ホー！善い反応だ！貴様は素晴らしいな！」 #KZNPLN