若島先生のウムノフ談義

洋書千一夜まとめ人で、将棋もチェスも門外漢ですが、なんとなくウムノフという言葉の響きが気に入ったのでまとめてみました(笑)
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Problem Paradise @propara

2手進んだ局面。ここで24龍を消去したいが、直接に35龍と取ると同角成と応じられて、この馬が34に利くので詰まない。そこで46銀!と捨てて同銀と取らせ、57角の利きを遮断してから、35龍!と捨てて原型消去する。これがウムノフ手筋。 pic.twitter.com/LT1PbwtxHr

2014-11-19 00:19:32
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Problem Paradise @propara

なお、46銀を同角成と応じると、56歩が打てるので詰む。この46銀捨てを「成・不成の打診手筋」だと解釈する向きもあるが、狭義の打診手筋には当てはまらないことを注意しておく。

2014-11-19 00:21:53
Problem Paradise @propara

まだありますウムノフ、今度はメカニズムその5。いったん移動する受方駒Xが、攻方駒Cのラインを遮断するというもの。これは当然ながら、打歩詰に関係している。

2014-11-19 00:26:09
Problem Paradise @propara

このメカニズムその5は、図巧に2局。まずは37番から。 pic.twitter.com/BbCjXxH98E

2014-11-19 00:27:45
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初形からいきなり85飛生?と取ると、66玉、78桂、同と、67歩、76玉、88桂、同とのときに、85飛に紐がついているので、77歩が打歩詰。また初形から85金と取るのもやはり同様の結果。そこで、84角!同馬、85金!と、81飛のラインにいったん馬をはさんでから金を捨てる。

2014-11-19 00:31:17
Problem Paradise @propara

これで85金を同馬と取らせることで、96金の原型消去が実現したことになる。これがウムノフ手筋。後は同飛生!として、この飛に紐がついていないので打歩詰が回避できて詰む。うーん、よくぞ考えついたものだ!

2014-11-19 00:34:10
Problem Paradise @propara

話はちょっと横道にそれるが、一部のマニアにはよく知られた、将棋大綱32番。 pic.twitter.com/nkoGY7JsMc

2014-11-19 00:39:21
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その6手目の局面。ここで直接に45歩と取ると35玉で打歩詰なので、35角!同と、45歩、同とと、妙な手順で46歩を消去してから同香と行けば、この香に紐がついていないので詰む。これもウムノフなのはもうおわかりでしょう。 pic.twitter.com/n2ehCemORI

2014-11-19 00:42:12
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Problem Paradise @propara

この大綱32番の仕掛けは、図巧37番に類似している。違うところは、図巧のウムノフのメカニズムがその5「攻方駒遮断」なのに対して、大綱の方はメカニズムその1「退路封鎖」であるところ。しかしそれにしても、図巧と大綱とでは力量の差が歴然としているではないか。

2014-11-19 00:45:41
Problem Paradise @propara

もう1局、図巧からメカニズムその5の例を。84番。 pic.twitter.com/LycmYIhQiG

2014-11-19 00:47:08
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6手目の局面。ここで65銀と取ってしまうと75玉で打歩詰。また73龍だと銀が邪魔して75玉と逃げられる。そこでここから56桂!同馬、65銀!として、38角のラインを馬で遮断してから銀を捨てると、同馬で銀の原型消去が実現する。おみごと! pic.twitter.com/pfsiJquMki

2014-11-19 00:50:49
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Problem Paradise @propara

まだあるぞウムノフ(看寿さん、よく考えてるね!)。受方駒Xをいったん移動させると、その空いたマスに、別の受方駒Yを呼んできて取ることができる。つまり、Xの代わりにYを取るわけですね。これがウムノフ手筋のメカニズムその6。

2014-11-19 00:55:16
Problem Paradise @propara

当然ながら、Xの代わりにYを取るわけだから、XよりYの方が強い駒なら話は当たり前だが、看寿はそういう当たり前のことをしなかった。彼が作ったメカニズムその6の例2局のうち、1局は弱い駒を取る例、そしてもう1局は同じ駒を取る例である。ええっ?と思いませんか。

2014-11-19 00:59:57
Problem Paradise @propara

まず弱い駒を取る方から。おなじみ17番。 pic.twitter.com/L3WJCc13Ob

2014-11-19 01:04:03
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その4手進んだ局面。ここから73角生、93玉、94歩、83玉、72角成、同玉と行くと、95角成と香を取ることになり、その香が将来玉方に渡って、香合で詰まない。いわゆる「回収手筋」で、このアイデアも看寿のオリジナル! pic.twitter.com/O3kXQ6MnXx

2014-11-19 01:07:21
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そこでこの局面から、96桂!同香とスペースを空けて、73角生、93玉、94歩、83玉、95桂!、同と、72角成、同玉とすれば、95角成で香の代わりに歩が入手できて、後の香合がなく詰む。遅延ウムノフですね。超傑作!

2014-11-19 01:10:40
Problem Paradise @propara

次に、同じ駒を取る例を。52番。 pic.twitter.com/OosfR88oHg

2014-11-19 01:12:04
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この初形から、いきなり28馬?と取ると同歩生!と応じられて打歩詰が打開できない。そこで、29桂!同とと、いったんスペースを空けてから19馬とすると、28歩成と応じる一手(28とは29桂まで)になり、同馬、同とで、手に入れたのは同じ歩だが、と金が残るために打歩が打開できて詰む。

2014-11-19 01:15:32
Problem Paradise @propara

これも仕掛けはウムノフで、同じ駒を手に入れるというパラドキシカルな着想に、歩生を防止するという意味付けを加えたのはさすが看寿。全体の仕上げがイマイチだけに、あまり評価されていないように思える作品だが、メカニズムの新しさは充分に買える。再評価されてしかるべき作品。

2014-11-19 01:20:36
Problem Paradise @propara

いちおう6種類のメカニズムを説明しおわったが、実はまだこれでも終わってないんですよね…。

2014-11-19 01:22:11
Problem Paradise @propara

今までのパターンに当てはまらないウムノフ手筋は、単に「取れる駒を取らない」のではなく、「駒交換できるのにしないで捨駒にする」という例。その唯一のケースが、これもみなさんおなじみ、図巧2番。 pic.twitter.com/kVvjGDDVgz

2014-11-19 01:25:52
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Problem Paradise @propara

その2手目の局面。ここで16歩、同と、同金、同玉と駒交換すれば、玉方25とが消えるが、あえて16金!と捨てて、25とを残す。その意味付けは、攻方駒のライン遮断(作意と変化で2通りあります)による打歩詰回避という、メカニズムその5。 pic.twitter.com/TAtQOBV5YM

2014-11-19 01:29:17
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Problem Paradise @propara

この図巧2番については、過去につぶやいたことがあるので、くわしくは省略しますね。

2014-11-19 01:30:12
Problem Paradise @propara

これでもまだ終わらない。今まで見てきたのは、「取れる駒を取らない」ことじたいに何らかの目的があったような例で、それが成立するメカニズムを分析してきたわけ。残ったのは、「取れる駒を取らない」というのが目的ではなく、単なる結果であるような例。

2014-11-19 01:33:06
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