「フー・キルド・ニンジャスレイヤー?」#1・再放送Ver(実況なし)
「ニンジャ!ニンジャだ!」襤褸男がエーリアスを指差し、震えた。キモノヤクザは一瞥した。「ニンジャ?ハッタリかましやがって」言葉とは裏腹に、キモノヤクザはじりじりとすり足で後退を始めた。エーリアスはカラテを構える。「来いよ」「スッゾ!命拾いさせたるわ!」キモノヤクザは遁走した。68
2014-11-18 23:07:56……「行こうぜ、なあ」エーリアスは襤褸男に手を差し伸べた。「場所変えようぜ。落ち着かねえし」路上で呻く二人のヤクザを横目で見る。襤褸男は震え、逃れようとした。「ニンジャ……」「あンたもだろ」エーリアスは言った。襤褸男はしばしためらった後、手を取り、立ち上がった。 69
2014-11-18 23:08:45エーリアスが驚いた事に、老人と見えたこの男は、実際そこまで老いてはいなかった。中年といったところだ。痩せているのとみすぼらしさとで、ずっと老けて見えていたのだ。「……ドーモ。エーリアス・ディクタスです」エーリアスはアイサツした。70
2014-11-18 23:09:54襤褸男は彼女の予想に反して、まともにオジギを返した。襤褸がはだけ、再び胸元の「禅」のスティグマが目に入った。「ドーモ、エーリアス=サン。私はね……ウミノ・スドといいます」71
2014-11-18 23:13:28「ハァーッ!ハァーッ!」窓から差し込む街路灯の明かりが、青年の筋肉を闇に浮かび上がらせる。執拗な腹筋トレーニングである。「ハァーッ!ハァーッ!」青年は腹筋トレーニングを繰り返す。「イヤーッ!」やがて青年は寝た姿勢から突如回転ジャンプで跳び上がり、膝立ちに着地!「シューッ!」73
2014-11-18 23:14:52膝立ちの青年を取り囲む闇の中、薄ぼんやりと浮かび上がるは、複数のUNIXモニタ表示。IRC通信のログが高速で流れ続けている。「モミサン・ストリート」「ホウエイでツジギリ」「タオイ」「デスパワーポンド・ヤクザクラン壊滅」「カースドキャッスル・ヤクザオヤブンおそらくニンジャ」74
2014-11-18 23:20:30「シューッ!シューッ!シューッ!」青年は高速スクワットを開始。IRCログには深甚さを競うかのようなやり取り。「紋章学において血紅色は復讐や戦場の血を象徴。ニンジャスレイヤーの装束色も当然ここから採用された」「ポン・パンチで中腰になるのは天と地の間に立つバランスをあらわす」 75
2014-11-18 23:28:44「先日の忍殺行為を開始するおよそ40秒前に重金属酸性雨が止んだ。これが忍殺行為にあわせた図らいであることは明らかであり、セイジ=サンへの超自然的承認であることは明らか」「ニンジャ名の三文字目を繋ぎ合わせ……」青年は立ち上がり、床に畳んだ赤黒の装束を着込んだ。汗は瞬時に乾く。76
2014-11-18 23:32:55青年……セイジは、神聖な赤黒装束に身を包むと、再び部屋の中央へ戻り、アグラ・メディテーションを開始した。握り、開く拳に炎が弾け、火の粉が宙に舞い、消える。そのたび、天井に大きくショドーされた「忍」「殺」の文字が闇の中に浮かび上がる。77
2014-11-18 23:35:08「シューッ……」セイジの瞳は赤く明滅する。彼は深く呼吸し、己の内なるニンジャソウルと深くコネクトしようと努める。やがて彼はなかばトランス状態に陥り、認識がどんよりとぼやけ始める。ローカルコトダマ空間において、彼のニンジャソウルはニンジャスレイヤーと同一となる。 78
2014-11-18 23:36:54(((私はニンジャスレイヤー……私はニンジャスレイヤーだ……私はニンジャスレイヤーを宿す……)))マントラめいて、彼はニューロンに反復し、刻み込む。真実を。彼の真実を。(((私はニンジャスレイヤーを宿している……私はニンジャスレイヤーだ……ニンジャスレイヤーなのだ))) 79
2014-11-18 23:38:23彼の中にある意志無き不定形のニンジャソウルは、彼の強烈なイメージによって輪郭を付与される。逆光の中で立つあの赤黒のセンシの記憶イメージを。(((ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー)))不定形のニンジャソウルが、どろりと蠢く。 80
2014-11-18 23:40:43(((ニンジャ……?スレイヤー。ニンジャ……スレイヤー?)))コダマめいて、ニンジャソウルがセイジに返す。(((そうだ。ニンジャスレイヤー。お前はニンジャスレイヤーだ)))(((お前は、ニンジャ、スレイヤーだ)))(((そうだ。俺はニンジャスレイヤーだ))) 81
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