「千の想いを」~最終章05「布陣」~
- mamiya_AFS
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全ての電源を落とし、さながら配船の如く波に浮かぶだけとなった艦の中心で、第十五支援艦隊を主とする10人は薄暗い空間の中でそれぞれの顔を見合わせる。周囲を怪物共に囲まれた状況は時間による解決は無い。艦娘達にとってはこれ以上無い程の絶望的背景の中。
2014-07-05 20:09:28殺戮を宣言した千歳と、それを阻止したこの場にいる筈のない天龍の「手がある」という言葉に、誰ともなく息を呑み込む。
2014-07-05 20:10:05天龍の言葉に頷きながら、千歳が包帯だらけの身体を起こし、長椅子から両足を下ろす。手助けすべきか止めるべきか、どちらもできずに事情をいまだ理解していない千代田がおろおろと姉に手を伸ばそうとしたり引っ込めたりしている。 千歳が、膝も床に着け、そのまま両手までも床へと運ぶ。
2014-07-05 20:13:13千代田の喉から変な音が漏れる。 膝と両手を床に着け、深々と頭を下げる姿は、説明するまでもない。土下座である。
2014-07-05 20:14:50皆さん、謝って許されるとは思っていませんが、ごめんなさい。 私が浅はかでした。手を穢す前に天龍さんが止めてくれて良かったです。 今更信じてくれとは言えない立場なのは承知です。私を信じてくれなくても構いません。天龍さんと千代田を信じて下さい。
2014-07-05 19:45:47千歳をそこまで追い詰めたのはオレの責任でもあるんだ。水に流せ、とは言わない。一旦この状況を乗り越えるまで忘れてくれ。
2014-07-05 19:47:19@titosedesu 頭をあげてください、千歳さん 無かったこと…、にはもちろんできないかもしれません ですが、この状況に置かれているのは皆同じ 皆で生き残るための努力をしていきましょう ひとまずは帰ってからです
2014-07-05 20:17:06@blauer_Baum8114 ありがとうございます、提督。 罰は無論受けます。その為に、生き残る事に不肖ながら皆さんの力をお借りしたく思います。
2014-07-05 20:19:43姉が撃たれた理由も知らなければ、撃った天龍ではなく千歳が悪いようにしか見えない物言いに千代田が一人混乱して、助けを求めるように仲間達の顔を見回す。
2014-07-05 20:22:04@titosedesu @blauer_Baum8114 …。変な話ね、千歳さんは敵艦載機の奇襲を受けたんじゃなかったっけ?
2014-07-05 20:22:21夕張の深慮ある言葉に天龍がまず瞳を軽く見開くが、千代田はますますわけがわからなくなる。 隻眼の軽巡洋艦娘が、次いで実際に被害にあっている常盤と樫野、そして姉を見た。
2014-07-05 20:25:33@tiyodadayo 千歳が急いで来てくれなかったら、私はただじゃ済まなかっただろうね。助かったよ、庇ってもらえて。
2014-07-05 20:29:32樫野が肩をすくめて話すのを見てから、常盤もにこにことしたまま頭を下げる。 千歳は黙ってつい先程まさしく殺そうとした仲間達の顔を見上げた。唇を噛み締める様は、後悔と感謝が混じり今にも泣き出しそうですらある。 千代田は何を思ったのか、千歳に倣うように隣で膝を下ろす。
2014-07-05 20:34:13@tiyodadayo さて、この話はここでは終わりしましょう! それよりも、話すことがありますからね それで、千歳さん、天龍さん 策と言うのは…?
2014-07-05 20:37:13天龍の言葉にほとんどの者が眉根をひそめる。戦闘能力どころか海上を自力で移動できない提督と2人の怪我人がいる以上、この艦ごと移動するのが理想なのはわかっている。 が、それは文字通り足手まといにしかならない。艦が傍にいれば攻撃の邪魔になるし、敵から見ればただの的と餌である。
2014-07-05 20:42:54