1989年8月のあの報道について

MUNEGASHI Isako @isako134

アニメージュ1989年10月号を引っ張り出して、当時の事件報道について勘違いした件に気づいて、さっきまで図書館へ行って朝日新聞縮刷版の1989年8月の該当記事をコピーしてきた。 再逮捕は確かに8月11日なのだが、その前に編集された当日朝刊には、すでにあの部屋の写真が載っていた。

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1989年8月11日朝刊1面では《捜査本部は十日午後（中略）誘拐、殺人、死体遺棄の疑いで逮捕状を取るとともに、同夜（中略）自宅などを捜索した。十一日に身柄を捜査本部に移し、逮捕する方針。》とあるが、27面に10日午後撮影の《アニメなどのビデオなどが山積みされた》部屋の写真が載る。

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夕方書いた件を補足しますと、読売新聞の記者がかつて書いたブログでは《逮捕されたという一報で（中略）自宅に急行しました》とあるのは最初の逮捕ではなく殺人等の容疑の再逮捕のことだと思ってたんですが、どうも再逮捕に向けての容疑が固まったとして夜に警察が家宅捜索に入る前の時点のようです。

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社説：どこが病んでいるのか （朝日新聞 1989年8月11日 朝刊） 文中の被害者名とその住所等は伏せます Read: tl.gd/n_1sj4ju8

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朝日新聞の社説の書き写しを修正しました。もうこの時点で何を叩くのかターゲットは定まってたし、あとで紹介する『声』欄の批判なんて所詮ガス抜きで、社会部としては本気で耳を傾ける気はなかったんだろうな。日が進むと、遺族の写真を大きく載せた扇情的な見出しの記事もあったりと酷いものでした。

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というわけで、1989年8月11日の朝日新聞社説です。社説担当が執筆していた10日夜には、ニュース番組であの部屋の映像がバンバン流されていたこともわかり、この時点でもすでに生きた心地しなかった人がどれだけ出たやら。社説の時点でも漫画やアニメやビデオの悪影響ではないかといってるし。

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アニメージュ1989年10月号で一連の報道を問題視する4ページ分の記事を寄せたのは浅野健一氏で、『世界にもまれなニッポンの犯罪報道―少女連続殺人事件とマスコミ―』と題し、容疑者が犯行を自供したとする朝日新聞8月10日夕刊1面記事、読者からの手紙を事件に関するものとして載せました。

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記事を再読したところ、「アニメ雑誌やグッズを親に捨てられた」という投稿はありませんでしたが、自分の父親が『アニメファンは異常』だと報道から偏見を持ってしまったというものはありました。テレビに映るアニメージュ1989年8月号を見て「（容疑者）を殺したいと思った」というのもあります。

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あのさ、1989年の事件報道では女性でも自分達が迫害される危機感を抱いていたことは、自作のまとめのほうで読売新聞の月曜別刷・ぴーぷるでの投稿に触れたし、部屋映像でアニメージュ8月号が出る度「あいつを殺したいと思った」と同誌10月号の緊急特集に手紙が掲載された人は女性だったんだよ。

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浅野氏の主張は、容疑者の段階で実名報道をすること、加害者の趣味が何であろうがそれを元に規制に動くこと、物証もなく事件を完全解決扱いすること、それらはあってはならないことで、後に不起訴であったり冤罪となった事件でも逮捕時に犯人と断定して報道されてしまっている、というものでした。

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記事には当時の編集長だった鈴木敏夫氏からのコメントもあり、アニメージュでは事件に関して原則的に取材協力を拒否したこと、アンケート葉書・手紙も合わせて毎月3000通ほどの投書が編集部に寄せられ、8月はその1割が事件に関するもので、マスコミの過剰報道が許せないというものもありました。

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記事内では容疑者（当時）の名前は一切載せないという方針なので、鈴木氏もそうしてますが、氏の個人的な意見は以下です。 《個人的な感想ですが、「彼」が犯人か否かは結論を待つとして「ビデオに取り憑かれた男の悲劇」はこのニッポンで充分に起こりうる可能性があるという点です。（続）》

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《人とも町とも自然とも、そしてビデオとも「ほどほどにつきあう」ことがやっぱり大事なことなんじゃないか――あたり前のことですが、今回の一連の報道を通じて、改めて考えてしまいました。みなさんのご意見ご感想をお待ちします。》 ビデオに限った話じゃないけど…としてるようですが、うーむ。

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アニメージュ1989年10月号 p122-125 特別寄稿『世界にもまれなニッポンの犯罪報道 ―少女連続殺人事件とマスコミ―』（浅野健一） ※朝日新聞8月10日夕刊画像の被害者の写真、浅野氏の当時の連絡先はこちらで伏せました。 pic.twitter.com/ygWD6GDPdc

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で、これがテレビ版開始間近だった機動警察パトレイバーの表紙。1989年10月号のアニメージュの画像を出そうとして筆記ミスしまくるわであげ直しを繰り返すというorz pic.twitter.com/RgjkhNOh8C

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朝日新聞1989年8月11日朝刊27面にて、10日撮影の自宅部屋写真と共に載った記事の文面がもう…。 《壁の三方はテレビから録画したらしいアニメ、SFなどのテープでぎっしり埋めつくされている。床にはマンガ本にまじって、幼児の性的嗜虐（しぎゃく）をテーマにする雑誌もあった。》

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《自宅近くの（某書店）では十日、「常連」が来ないことが話題になっていた。（略）は毎月十日、決まってこの書店を一人で訪れ、この日が発売日の月刊アニメ雑誌「アニメージュ」「アニメディア」の二誌を買っていた。どちらもテレビアニメのファンを対象にした専門誌で、読者は中学、高校生が中心。》

HAL@古き悪しき時代大好き侍 @HAL9152

なお3年後のキキは完全に都会に染まってるのであった #魔女の宅急便 pic.twitter.com/z45DFQjdkL

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アニメージュ1989年9月号の表紙をよく見たら、《元気なキキに会いました。 武田鉄矢さん・氷室冴子さん・原由子さんほか》とあるんだが、当時は再逮捕前の彼が買えなかった雑誌として「これ持ってる奴は殺人者同然」な報道をされたんだよ！ twitter.com/HAL9152/status…

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ちょうど当時うちは朝日新聞を購読していたので、夏休み最中の朝にこの記事読むわけですよ。前年からほぼ立ち読みとはいえアニメージュやアニメディアを読んでいた中学三年生にはもろダメージ食らいますよ。自分の場合は親が漫画読むのでそちらは問題なくても、マスコミ報道でだいぶ自信なくしました。

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死刑確定や執行時に1989年当時の映像も流した報道のキャプ画をとってあったので、日中確認したのですが、部屋に貼ってあったポスターは宇宙戦艦ヤマトとラ・セーヌの星。床にあった他の雑誌に月刊アウト1989年8月号もあり、表紙はアイドル伝説えり子で、宮崎駿インタビューも掲載してました。

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「ロリコンアニメやロリコン雑誌ばかり」と印象づける報道もありましたが、当時凹まされた自分のリアルタイムの記憶では、別に成人向けでもないアニメ（魔女の宅急便を含む）や漫画を好きなだけで人でなしという扱いを連日、新聞・雑誌・テレビでやられたという印象です。

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報道が過熱する中で異議を唱える意見がメディアになかったわけではないことは、浅野氏の寄稿や、後に見た資料でも触れられてはいますが、自分はアニメージュ1989年10月号でやっと救われました。 なお、浅野氏記事の直前は夏コミレポで、トルーパーに続けとシュラトもあったねえ…と思い出す。

henocchi @henocchi

当時の事をなるべく思い出してみたザンス pic.twitter.com/g2FxL4A3wv

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