駄提督の落ち度初め

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は短編二本! 年始の楽しい内容です。 ぜひぜひお楽しみください。 続きを読む
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竹村京 @kyou_takemura

今朝、いつもの無表情とは打って変わった優しい笑みを浮かべて、腹に手を当てて司令室に入ってきた不知火を見た時にとんでもないことになったと自覚した。 どういうわけか噂は既にあちこちに広まっているようで、友人知人からメールがこれでもかと届いている。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:31:12
竹村京 @kyou_takemura

モグリからは 『お前マジ犯罪じゃね?』 ギンブチからは 『正式に結婚している私たちでさえそれはまだ自重しているのにあなたときたら本物のクズですか』 ボルネオに左遷された知人からは 『異動の内示があったんだけど、後任ってお前なん?』#落ちぬい二次

2015-01-02 02:32:15
竹村京 @kyou_takemura

実のところ、朝一でボルネオへの異動の内示が届いているのだ。 艦娘の司令官の間に実しやかに囁かれている噂の一つに『艦娘に手を出すとボルネオに飛ばされる』というものがある。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:33:59
竹村京 @kyou_takemura

もとより隊内恋愛は禁じられてはいない。長門と交際していた頃も、翔鶴と結婚したギンブチも処罰どころか小言一つ言われたことはない。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:35:39
竹村京 @kyou_takemura

だが、実際にメールを送ってきた男はボルネオに飛ばされている。というのも、真面目な交際ではなく肉体関係を主眼に置いた、要するに強制猥褻や強姦と言われる事をしたためだ。しかも相手は年端もいかない初霜という艦娘であったのも大きい。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:36:55
竹村京 @kyou_takemura

俺はそんなんじゃない、と咄嗟に言おうとしたが、実際に不知火を犯してしまったわけだし、ボルネオ提督さえ妊娠まではさせていなかった。 「俺、ボルネオ野郎よりひでぇ……」 「司令。不知火は貴方と一緒ならどこへだって行きます」#落ちぬい二次

2015-01-02 02:38:19
竹村京 @kyou_takemura

優しく肩に手を置く不知火にどう接していいのかさえ分からない。 今までの単なる上官と部下というわけにはいかない。かといって夫と妻だとすぐに割り切ることもできないし、突き放すなんてのはもっての外だ。 「不知火……」#落ちぬい二次

2015-01-02 02:39:46
竹村京 @kyou_takemura

どうしよう。 どうしよう。 どうしよう。 おそらくもう団長の耳にも入っているはずだ。 海軍に噂が広がっているなら妙高の実家にも伝わっているだろう。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:40:50
竹村京 @kyou_takemura

もう海軍に所属しながら国内にいることはできなくなった。かといって深海棲艦の出現総数が少ないボルネオでは尻尾付きへの復讐も遠のく。 いや、それどころかボルネオに連れていける艦娘は不知火ただ一人なのだ。これでは復讐どころか艦隊決戦さえ夢のまた夢だ。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:42:24
竹村京 @kyou_takemura

身重の不知火を戦わせるわけにはいかないし、産まれたら産まれたで母親を戦わせるわけにもいかない。 自分が戦おうにもたった一人では短艇一つ使えやしない。 左遷が嫌なら退官しろ、という事なのだろう。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:43:27
竹村京 @kyou_takemura

海ぼうずを裏切って不知火と幸せな家庭を築く? ありえない。 不知火一人を連れてボルネオに行って為す術もなく海を睨み続ける? それも駄目だ。 どっちにしろすべてが台無しだ。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:44:45
竹村京 @kyou_takemura

「大丈夫ですよ。不知火はいつだってあなたの味方です」 不知火の優しさが逆に堪える。 俺はそんな立派な男じゃない、と叫んで逃げ出したい。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:46:11
竹村京 @kyou_takemura

その時、司令室の扉がノックもなく開き、浜風と神通が断りもなく入室する。 「お前ら、すまんが今は」 「どういう事か。教えていただけますか」 首をわずかに傾げた浜風の手には包丁が。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:47:34
竹村京 @kyou_takemura

「提督。真剣勝負を、お願いします」 神通の手には抜身の刀。鞘は左手から滑り落ちてがらんと転がっている。 ああ、そうか。こいつらは、俺を慕ってくれていたんだ。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:48:31
竹村京 @kyou_takemura

「提督」 「提督」 二人が足を踏み出す。 兵頭が思わず立ち上がる。 浜風が包丁を脇に構えて突進する。 神通が刀を八双に構えて斬りかかる。 咄嗟に不知火を脇に突き飛ばすが、自分は二人の刃を躱す事はできなそうだ。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:50:02
竹村京 @kyou_takemura

だがまあ、いいか。 生き恥を晒すより、すっぱり死んでしまえば楽になれるかもしれない。 駄目な男で済まん、不知火。 浜風、神通、お前たちにも済まない事をした。 包丁が胸に。 刀が首に。 ああ、悔いだらけの一生だった……#落ちぬい二次

2015-01-02 02:51:43
竹村京 @kyou_takemura

「はっ!?」 気付くとそこは自室のベッドの中だった。まだ夜中だ。 体がじっとりと湿っているのがわかる。それだけ凄まじい悪夢だったのだ。 「夢でよかった……」#落ちぬい二次

2015-01-02 02:53:03
竹村京 @kyou_takemura

よくよく思い出してみれば、不知火に襲われた時は手と口だけで凌いでいたのだった。いや、夢というのは変な事でも違和感を感じないから恐ろしい。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:54:52
竹村京 @kyou_takemura

落ち着いてみると布団が不自然に盛り上がっているのに気付いた。自分のナニはこんなに大きくはない。誰かがもぐりこんでいると思えばちょうどいい膨らみだ。 確かに脚に誰かが緩く抱きついているような感覚がある。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:56:09
竹村京 @kyou_takemura

不知火が潜り込んでるせいであんな夢を見たのか? だとしたらきつく叱ってやらないと、と思って布団をめくる。#落ちぬい二次

2015-01-02 02:56:54
竹村京 @kyou_takemura

そこにいたのは、 じっとりと濡れた、 おどろ髪の、 にたりと嗤う水死体のような女だった。 #落ちぬい二次

2015-01-02 02:58:00

あとがき

竹村京 @kyou_takemura

いつにも増してどうでもいい話でしたが、俺が書いてるのはyamotoさんが本編を再開するまでの繋ぎですのでご容赦を。ああやっぱり浜風かわいい。最後の鬼ごっこのセリフをあの絶妙に可愛くない可愛い声で再生すると脳が幸せになる #落ちぬい

2015-01-02 00:42:40
竹村京 @kyou_takemura

なお落ちぬい書籍化に向けて作家・読者が一丸となってyamotoさんを囲い込んでいただけると、ただのファンの一人として本を買いに行くのが楽しみになるので良いと思います #落ちぬい

2015-01-02 00:44:30