2014年12月21日のNHKスペシャル「メルトダウン File 5 知られざる大量放出」の冒頭のグラフのピークの説明を原論文から抜き読み

昨年末作ったまとめ「2014年12月21日のNHKスペシャル「メルトダウン File 5 知られざる大量放出」をめぐって」http://togetter.com/li/761525 の補足として作りました。
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付録:JAEA論文と合わせて読みたい国立環境研の論文

(この論文の話です↓)

Masato Ida, PhD @miakiza20100906

論文メモ。登録すれば無料。重要なので後で熟読: 福島原発事故後のつくばで採取されたエアロゾル中の Cs と I の化学種分析 pubs.acs.org/doi/abs/10.102…  2014年、Xu(英国)ら。

2014-12-24 07:21:36
nao @parasite2006

原論文bit.ly/1JQmJp9 の表5 (p.73-74)を見るとC137と総I131の比が放出時期により変動し、グラフ表示すると図2 pic.twitter.com/dianOZzvp0 のc(縦軸の対数表示注意)。3/21以降の放出でこの比が1桁上がるのを見て(続

2015-01-06 12:28:25
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nao @parasite2006

(続き)ヨウ素の放出量の絶対値が激増しているのかと心配される方も多いと思います。しかしつくばの気象研の屋上でダストフィルター上に捕集した大気中の微粒子中のCsとIを測定し、絶対量と存在量比の変化を定点観測したこの論文bit.ly/1HCGOgG を読むと(続く)

2015-01-06 12:45:45

気象研→国立環境研(また間違えました、すみません)

nao @parasite2006

(続く)実際にはヨウ素の放出量の絶対値が増えたのではなく、単にCsの放出量の絶対値がヨウ素の放出量の絶対値より大幅に減った結果ヨウ素/Cs比の値が大きくなったにすぎないことがわかります pic.twitter.com/9WKBuMtxq1

2015-01-06 12:56:06
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(↑この論文の重要な結論の一つは、表3にあるようにI129/I131比はほぼ一定なのに対し、I131/Cs137比は時間とともに変動するので、初期のI131量を推定するならCs137から求めるよりI129から求めた方が確実だということです。I129はヨウ素の同位体のうちで半減期が最も長い1570万年。測定には加速器質量分析計http://bit.ly/1xWTGgu という特殊な質量分析計を使います。この論文が国際共同研究(スコットランド国立大学環境研究センター、デンマーク工科大学核技術センター、国立環境研)になっているのも、I129の測定にスコットランド国立大学環境研究センターの加速器質量分析計を使っているからです)

nao @parasite2006

この論文(気象研ではなく国立環境研の論文)bit.ly/1HCGOgG が前tw表3で分析した4枚のフィルターは、気象研が分析した6枚のフィルターbit.ly/1sC4SYT の1つ目と2つ目のピークの間(1-3)か2つめのピークの後ろ(4)に対応

2015-01-06 13:18:34
nao @parasite2006

すなわち表3 pic.twitter.com/9WKBuMtxq1 の4枚のフィルターの中には、気象研がオートラジオグラフィーbit.ly/1sC4SYT にかけた6枚のフィルターのうち点状に見える固体微粒子の数が最も多い1つめのピーク(左上隅)に対応するものがない(続

2015-01-06 18:49:26
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nao @parasite2006

(続き)このことを頭においた上で表1に出ている水でもNaOHでも抽出できない水不溶性Csの割合(Cs134 1-4%、Cs137 1-3%)を見ないと、解釈を誤ります pic.twitter.com/dAC6aSCtYA

2015-01-06 18:55:47
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なお「考察」の項では、表1でNaOHで溶出可能な=有機物と結合しているCsの割合が多数を占めること(全体の53-91%)を指摘し、どんな有機物粒子と結合しているのか、またその機構はどのようなものか不明だけれど、大気中に大量に存在する有機物粒子としては「春に多い比較的大粒の植物由来の有機物粒子」が考えられると言っています。筆頭著者が日本人なら、3月の東日本の状況を知っている以上あっさり「スギ花粉(ceder pollen)」と書いていたことでしょうが。ちなみにこの論文は気象研と違って、ダストフィルターのオートラジオグラフィーによる微粒子の検出はやっていません。