HYODO the AVENGER

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は変身ヒーローもの?! 仮面ライダー的な展開をどうぞお楽しみください。 続きを読む
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はじめに

竹村京 @kyou_takemura

#落ちぬい二次 、始まります。本作は #不知火に落ち度はない のオフィシャルではありません。意見・ツッコミは #落ちぬい タグまでどうぞ

2015-01-18 19:04:17

本編

竹村京 @kyou_takemura

『こちら黒潮!緊急!』 司令室の通信機から黒潮の声が響く。 『待ち伏せや、まんまとやられ……』 通信が途絶し、ノイズが走る。それを聞く司令官の脳裏に最悪の事態が浮かぶ。 「おい黒潮!応答しろ!」 僅かな間を措いてノイズが消え、別の声が通信に出る。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:05:40
竹村京 @kyou_takemura

『こちら陸奥よ。黒潮ちゃんは被弾したけど大丈夫、通信機がやられただけ』 「そうか、状況は」 『最悪ね。敵は戦艦と空母がそれぞれ4、重巡以下多数。それに見たことないやつもいるみたい』 「逃げ切れるか?」 『無理ね。私、低速戦艦だもの。良くて付かず離れずといったところ』#落ちぬい二次

2015-01-18 19:06:39
竹村京 @kyou_takemura

「……わかった。真っ直ぐ帰投しろ。こっちからは長門たちを出す。お前たちは補給を受けろ」 『了解、それじゃ後でね』 「聞いたな不知火。総員召集急げ!」 「了解しました」#落ちぬい二次

2015-01-18 19:07:42
竹村京 @kyou_takemura

鎮守府にサイレンが鳴り、全ての人員が集められる。非番で外出していた者もすぐに呼び戻された。 『司令官より達する。現在、深海棲艦の大艦隊が接近中。総力を以てこれを撃退する。各隊の指揮官は司令室に出頭せよ。以上』#落ちぬい二次

2015-01-18 19:08:44
竹村京 @kyou_takemura

呼集から数分で長門、神通をはじめ部隊長クラスが司令室に集まる。 「第一艦隊旗艦は長門。思いきり暴れろ」 「ああ、胸が熱くなるな!」 「神通は水雷戦隊を指揮。弾薬が尽きた場合にのみあの刀の使用を許可する」 「承知しました」#落ちぬい二次

2015-01-18 19:09:42
竹村京 @kyou_takemura

「陽炎は駆逐隊を指揮しろ。やれるな」 「任せてよ!」 艤装の修理中であった扶桑、山城は応急修理に切り替えて可能な限り速やかに出撃。蒼龍、飛龍は彼我の空母戦力の差から艦載機による攻撃は不可能と判断し、艦上戦闘機のみを搭載して航空優勢の奪取に努める。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:10:40
竹村京 @kyou_takemura

それから各員の戦法と持ち場を指示して送り出す。 断続的に入る陸奥からの通信は、やはり敵艦隊を引き離しきれずかといって目立った攻撃も受けず真っ直ぐ鎮守府に向かっているというものだ。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:11:45
竹村京 @kyou_takemura

これは……おそらく意図的なものだ。 陸奥らに先導させて大艦隊で鎮守府海域に侵攻、これを撃滅する腹だろう。 だがそうはさせない。俺の部下たちはそんなにヤワじゃない。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:12:49
竹村京 @kyou_takemura

進出した長門が戦況を報告する。 鎮守府の総力を挙げても互角にやや至らない。戦艦は現在長門のみ。陸奥は長門と交代で補給に向かい、扶桑と山城は艤装の応急修理待ちで出撃できないでいる。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:14:25
竹村京 @kyou_takemura

そうしているうちに耐久力に劣る駆逐艦、軽巡洋艦から被害が増え、稼働率が落ちてゆく。 どうすればいい、どうすれば勝てる、どうすれば部下を死なせずに済む? 「くそっ!また、またなのか!」#落ちぬい二次

2015-01-18 19:15:36
竹村京 @kyou_takemura

苦悶を吐き出した兵頭は、窓の外の海を睨む。僅か一秒にも満たない間だけ目を瞑り、再び目を開けた時にはもう迷いはなかった。 司令室を飛び出し、モーターボートに飛び乗って沖に向かう。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:16:37
竹村京 @kyou_takemura

何を考えているのか? 生身の人間が深海棲艦に立ち向かうことなどできないのは誰あろう兵頭自身が骨身に染みて知っているはずだ。 しかし、兵頭の目に光るのは狂気ではなく決意の光だ。 やがて交戦海域に入ると、敵駆逐艦が闖入者に機銃を向ける。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:17:43
竹村京 @kyou_takemura

兵頭が駆るのは快速ではあるが武装も装甲もないただの連絡用モーターボートだ。撃たれればひとたまりもない。 しかし舵を切らず、敵艦隊の中心に向けて突進してゆく。 機銃が火を噴く。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:18:05
竹村京 @kyou_takemura

白いモーターボートに黒々とした弾痕が次々と穿たれてゆく。白煙を吹き出すボートはやがて火を噴き、爆発した。 それを見ていた艦娘たちの目には怒りに我を失った司令官が愚かにも戦死したと映った。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:19:06
竹村京 @kyou_takemura

だが、そうではなかった。 爆炎が晴れると、ボートがあった位置に人影が立っていた。 兵頭である。 艦娘でもない兵頭が、鬼の形相で海面に立っていたのだ。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:20:12
竹村京 @kyou_takemura

「もう俺の仲間は奪わせない!」 その言葉が深海棲艦に伝わったかどうか。 重巡以上の艦が兵頭に主砲を向ける。 「……てめえらは、俺が殺す!」 兵頭の、無いはずの右目が赤く光る。 「やめろ提督!一也!」 長門が何かを察し、必死に兵頭を制止する。しかし兵頭は止まらない。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:21:33
竹村京 @kyou_takemura

「変……身ッ!」 顔の前にかざした手を勢いよく振りおろす。その衝撃波は海面に達し、大きな水柱を上げた。 水煙が晴れた時、そこに立っていたのは兵頭ではなかった。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:22:54
竹村京 @kyou_takemura

―――兵頭一也とは、この鎮守府の司令官の名前ではない。 ある略称、コードネームである。 兵頭と呼ばれる男の感情が極限に達した時、その身体に残った僅かな生体部分は休眠状態に移行し、機械の身体が戦闘形態に移行する。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:24:13
竹村京 @kyou_takemura

そうして現れるのは、黒と軍艦色のボディに赤く光る両目を持つ機械の戦士。 HYbrid Organic Destroyer Operator No.1 混合生体駆逐兵士被験体第一号。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:25:14
竹村京 @kyou_takemura

艤装の技術とサイバネティクスを融合させた人ならざる存在。 深海棲艦への怒りが生んだ、二刀を背負う復讐鬼である。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:25:31
竹村京 @kyou_takemura

兵頭――否、HYODOに向けられていた砲が一斉に火を噴く。しかしその砲弾は一発とて命中することはなかった。最速の駆逐艦なみの機動で全て回避してのけたのだ。 「やめろと言ったのに、死ぬ気か一也!」 長門が叫ぶ。いつもの凛々しい表情は消え、その目からは涙が流れている。#落ちぬい二次

2015-01-18 19:26:46
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