艦娘開発記録、並びに運用者の見解

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回は艦娘の開発記録、及び武器の開発などなど技術よりのお話。 どうぞお楽しみください。 続きを読む
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はじめに

竹村京 @kyou_takemura

#落ちぬい二次 、始まります。本作は #不知火に落ち度はない のオフィシャルではありません。感想、ツッコミなどは #落ちぬい タグへどうぞ

2015-01-15 22:11:02

本編

竹村京 @kyou_takemura

私は現在、技師としてある鎮守府の工廠に所属している。民間からここに出向している軍属という形になる。 一つの区切りをつけるために、かつて携わっていた研究について私的な記録を残しておこうと思う。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:12:45
竹村京 @kyou_takemura

機密の暴露が目的ではない。そもそも私が今から記す記録は公開されている情報ばかりだ。 だから、この手記の目的はただ一つ。 私があの男のようにならないためだ。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:14:49
竹村京 @kyou_takemura

深海棲艦の出現から間もなく自衛隊は軍に改編され、同様に防衛省技術研究本部は技術開発局となって三軍に工廠も新設されていた。 私は改編前から技研、つまり現在の技術開発局に属し、海軍工廠と協力して深海棲艦を撃退するための兵器を研究していた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:16:54
竹村京 @kyou_takemura

当時の主な研究は艦載砲の威力向上と既存の各種センサーで深海棲艦を捕捉するための解析アルゴリズム開発、それから原子力潜水艦の建造だった。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:19:21
竹村京 @kyou_takemura

ミサイルについてはESSMでの敵航空機撃墜は可能であったが、主に費用対効果の面でブレイクスルーが必要という事で要素技術の開発が優先されていた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:19:39
竹村京 @kyou_takemura

そのうちセンサーのアルゴリズム開発は順調に進んでいた。そもそも敵艦影を捉えること自体は従前のハードウェアで可能だったのだ。必要なのは以前は艦艇ではないとして除外していた小さな影を深海棲艦であると判別するためのソフトウェアが必要だっただけなのだ。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:21:39
竹村京 @kyou_takemura

原潜も最終設計が終わり、機関は米海軍仕様の原子力タービンではなく原子力ターボエレクトリックに決定し調達が始まっていた。ターボエレクトリックにしたのは減速ギアボックスを廃して静粛性を向上するという、これまで静粛性が売りの通常動力型を運用してきた海軍からの要求だった。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:24:17
竹村京 @kyou_takemura

しかし水上艦による打撃力向上を目指すための艦載砲の威力向上については完全に行き詰っていた。 アメリカの先進砲システムに倣って弾体の重量増加や貫通力向上、炸薬の改良などはいくつかできたのだが、それでは深海棲艦に充分な被害を与えられないという事は分かりきっていた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:25:59
竹村京 @kyou_takemura

まずそもそも127mm砲が命中してもろくに被害を受けないという深海棲艦の耐久力そのものが謎だったからだ。 このままでは急ピッチで建造が進む損耗分の護衛艦も搭載兵装がなく、船体のみの状態でドックに放置されるかと思われた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:28:19
竹村京 @kyou_takemura

そこに現れたのがあの男だ。 数か月前に壊滅した日本海軍の最後の主力艦隊、通称「夏目艦隊」の生き残りだという彼は薄気味悪い笑顔を常に顔に張り付けていた。彼は深海棲艦との戦いで脊髄を損傷し、首から下の自由を失って電子制御の車椅子に固定されていた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:30:38
竹村京 @kyou_takemura

「駄目ですね、これでは」 彼は着任するなり研究資料に片っ端から目を通し、艦載砲の威力向上に関する研究の資料を一瞥するなりそう言い放った。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:32:39
竹村京 @kyou_takemura

我々がこれまで寝る間を惜しんで研究してきた成果を一言で切り捨てられて腹が立ったが、彼は責任者――上官として着任していたため強く抗議するわけにもいかず、できるだけ穏便にその理由を尋ねた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:35:02
竹村京 @kyou_takemura

「違うんですよ、根本から前提が。これ以上の成果は望めないでしょうから凍結するなり生産に移行するなり好きにしてください、艦載砲については」 それから彼は深海棲艦が浦賀水道に現れた時のことを語り始めた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:37:13
竹村京 @kyou_takemura

深海棲艦が現れた時、人類に為す術はなかった。 戦いの詳細については様々な記録を当たればすぐにわかることなのでここでは記述しない。とにかく外洋で海軍が蹴散らされている間は反撃の切っ掛けが掴めなかったことは確かだ。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:39:07
竹村京 @kyou_takemura

ついに深海棲艦が浦賀水道まで侵攻した時、奴らは各所に急造・再建された砲台や軍港に停泊していた現役の戦闘艦ではなく、コンクリートで固められた戦艦三笠を真っ先に攻撃した。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:41:25
竹村京 @kyou_takemura

「現代の艦でしょう、それまで戦っていたのは。タイコンデロガ級もあそこにいたんですよ。なのに、おかしいとは思いませんか、日露戦争時代の骨董品を第一に攻撃したというのは」#落ちぬい二次

2015-01-15 22:43:38
竹村京 @kyou_takemura

確かにその点は多くの者が不思議に思っていた。だがそれについては舷側からハリネズミのように砲を生やした姿が重武装だと誤認されて攻撃されたのではないか、という結論に落ち着いていた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:46:28
竹村京 @kyou_takemura

「思考停止ですね。もっとしっかり考えるべきですよ、それについては」 彼は嘲笑するようにわざとらしいため息をついて続けた。 「本当に脅威だったんじゃないですか、三笠が、深海棲艦にとって?」#落ちぬい二次

2015-01-15 22:47:52
竹村京 @kyou_takemura

数日後、彼は大量の三笠刀を調達させた。三笠刀は後期の数打ちも含めれば相当な数が作られているためさほど労せずかなりの数を購入できたようだ。 この時、私をはじめとする技術者の多くは刀を持って深海棲艦に総攻撃でもかけるのか、と失笑した覚えがある。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:50:03
竹村京 @kyou_takemura

そんな我々を尻目にあの男は実験の準備を進めていた。まず一口を発信機と遠隔操縦装置を付けた小舟に乗せ、他の刀や銃器といった武器を乗せた小舟とともに一斉に沖に放った。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:52:43
竹村京 @kyou_takemura

すると三笠刀の舟が真っ先に破壊され、他は後回しになった。数時間経過しても三笠刀以外の舟はほとんどが波間に浮かんでいたが、それらは放置したまま深海棲艦どもは退却していった。 この実験は数度繰り返され、深海棲艦は三笠刀を第一の攻撃目標にしていると結論付けられた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:55:50
竹村京 @kyou_takemura

攻撃目標になるという事は裏を返せばそれを脅威と看做しているという事だ。 ここまではあの男の想定通りだったらしい。 技術者の中にはこの実験の結果を見てあの男の計画に賛同し始める者が出始めた。#落ちぬい二次

2015-01-15 22:57:46
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