青木理さん×山田健太さんトークイベント「メディアと国家権力」
- osomatu_san
- 4491
- 0
- 3
- 2
山田「日本は弱い者いじめの方向にタブー破りが向かうんですね。メディアがタブーを作って、それに一般市民が愛想を尽かす(そしてタブー破りに向かう)という悪循環がある」
2015-01-26 20:22:44日本のマスメディアは再生できるか?
青木「多数派に盲従する風潮が強まっているこの状況で、メディアがどう抗うのか。僕はもう末期症状じゃないかと思うんですよね」
2015-01-26 20:23:34山田「日本は世界の中で唯一、全国どこでも新聞やテレビが見られる特殊な国なんですね。他の国はそうじゃない(お金を払わないとTVが見られなかったりする)。日本の場合はその安住感かた、自らを鍛えてこなかった。それが破綻しかかっているのかもしれない」
2015-01-26 20:25:14青木「いままでのマスメディアが守られすぎていた部分はあるんですよね。例えば記者クラブや再販制度。1回崩れ落ちてみろっていう気持ちはあるんですよね。その後にどんな花が咲くのかと、期待をする気持ちもある」
2015-01-26 20:26:58青木「例えば読売新聞が朝日叩きに走った理由の一つは、それをやらないと自分のパイ(読者層)が増えないから。ライバル社の不祥事は『絶好のチャンス』とも書いている。それが問題にならない風土があったからこそ、1回崩れ落ちてみたらいいんじゃないの、という気持ちがある」
2015-01-26 20:29:35山田「ただ<表現の自由>は1回崩れ落ちてしまうとなかなか戻らない。だから簡単に壊さない方がいいのでは、という気持ちもある。大量のデータ分析とか、財政が安定した組織ジャーナリズムにしかできないこともあるのでは」
2015-01-26 20:31:21青木「新聞が凋落するなかで、権力監視という本来の役割をかろうじて果たせているのは朝日・毎日・東京。それらの新聞にできているのは調査報道ですよね。記者が事実をかき集めて、政府が隠していた事実を提示する。朝日がやってきた調査報道は、国内でも最高峰だと思いますよ」
2015-01-26 20:33:18青木「調査報道にはお金と時間がかかる。それは安定したメディアじゃないとできない。例えばノンフィクションを書くのだって、安定したバックグラウンドがないとできない面がある。でもメディアが崩れていくなかで一番初めに切り捨てられてしまうのはそうした部門」
2015-01-26 20:34:55青木「朝日バッシングが一番ひどかった10月くらいにある週刊誌が『木村社長を国会招致しろ』と書いた。権力に新聞を罰しろというのかと、腰が抜けそうになった。後で聞いたら『それくらい扇情的なタイトルをつけなければ売れないからやった』と。貧すれば鈍するという状況」
2015-01-26 20:37:48(会場質問)イスラム教徒と公安
山田「この話を実は最初にしようと思っていました。イスラム国の話は日本と無縁ではなく、『悪魔の詩』という本の翻訳者(大学教授)が抹殺された事件も過去にありました。青木さんから少しお話をしていただければ」
2015-01-26 20:41:21青木「日本の公安警察組織は、基本的に戦後からずっと反共なんですよね。共産党が強くなれば国が亡びるという発想。ところが最近ではそれほどでもなくて、警察のなかでも『公安いらないんじゃない?』というムードが広まっていたんですよね」
2015-01-26 20:42:31青木「でも2001年に9.11事件が起こった。それで『国際テロ対策』という新部署が作られたけど、それが事実上のイスラム教対策。モスクは徹底監視して、出てくる人間は全部尾行する。でも国内に過激派ムスリムなんてそういないわけですよ」
2015-01-26 20:43:42青木「ここから先気になるのは、イスラム教/教徒に対する偏見のムードが国内で強まるんじゃないかということ。もう1つは石破茂が『海外の情報取ってくる機関が必要なんじゃないか』と言い始めていて、このままだと現実化しかねない」
2015-01-26 20:46:01青木「監視スタイルのひとつが例えば盗聴ですが、日本は権力者による盗聴(と検閲)を憲法で禁止している国なんです。そこまで厳しく戦前体験を反省しているのに、それが今崩れて行こうとしている。でも、そうした市民的自由をきちんと守っていかないといけない」
2015-01-26 20:49:09