暗礁艦隊外伝~お隣艦隊その2~

とりあえず2話目
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CF型マシニーカhir @hir_CF

「その後の様子はどうだ?」 「んー?真面目にお仕事してるよー。ただ、なーんか辛そうだったよ?」 「そうか。どこか不具合か?」 提督は杖を磨きながら清霜の報告を受けていた。内容は磯風についてだ。 「ううん。なんか寂しそうなの。欲求不満なのかな?」 「ぶっ」 #魔法使い提督

2015-01-21 22:22:22
CF型マシニーカhir @hir_CF

夜。提督の寝室にて。 コンコン 「どうぞ」 「……提督。いいだろうか」 「ああ、磯風か。…待ちなさい。その恰好は」 「抱いてほしい」 「…そんなつもりで雇用したのではないのだが」 「単刀直入に言う。私は重度の色情狂でな」 「本当に単刀直入だな」 #魔法使い提督

2015-01-21 22:36:08
CF型マシニーカhir @hir_CF

「まあ座れ。確か柚子茶があったはずだ」 「すまない」 「構わんさ」 「…私は。人間だった時から狂っていた。サディストでマゾヒストでショタコンでロリコンで両刀使いのニンフォマニアだ。特に小さな男の子が大好物な変態女だ」 「そりゃすごい。話に聞くラブホ鎮守府みたいだ」 #魔法使い提督

2015-01-21 22:41:20
CF型マシニーカhir @hir_CF

「私は多くの人間の人生を狂わせてきた。その報いがこの体だ。提督。…」 「それ以上はいい。…」 提督は、部屋の灯りを落とした。 #魔法使い提督

2015-01-21 22:51:36
CF型マシニーカhir @hir_CF

「…ピンチだった。危うく一線を越えてしまうところだった…」 「すーすー」 「…あれ?提督、おは…あー!?」 「…おはよう青葉」 「磯風?あれ?やっちゃった?やっちゃいました?」 「危うく逆レイプされるところだった」 「あーあ。提督童貞ですもんねえ」 「やかましい」 #魔法使い提督

2015-01-21 22:56:49
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「今朝は和食か」 魔法使い提督の朝は呪文詠唱と共に始まる。魔法の儀式はどれほど熟練してもかなり長いため、咄嗟に使う必要があるものは事前に詠唱して発動寸前で停止させておくのだ。 一通り事前詠唱を終え、維持できるだけの魔法を準備した提督は台所へ顔を出した。 #魔法使い提督

2015-01-23 22:28:56
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「…焦げ臭い?」 鼻を慣らしながら提督。 「おお、起きたか。待っていてくれ、もうすぐできる」 エプロンをつけて何やらフライパンで焼いているのは磯風。手つきはやたら危なっかしいのだがまあ艦むすなので大丈夫だろう。たぶん。きっと。 それよりも問題は料理だ。 #魔法使い提督

2015-01-23 22:32:17
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「焦げてるぞ」 「おお!」 どうやら朝から発がん物質を取り込まないようにするためには、手を貸してやる必要があるらしい。 「貸してみろ」 手早くフライパンを奪い取ると、フライ返しで焦げかけたハムエッグを救出。皿へ移し替える。 さっと目をやり、他の料理も観察。 #魔法使い提督

2015-01-23 22:34:20
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パンを火で軽くあぶって温め直し、レタスをさっと水で洗うと清潔な布巾で水分を取る。プチトマトを皿に取り、笹で作った茶を入れて完成。 「すまんな。紅茶かコーヒーが手に入ればよかったのだが」 貧乏鎮守府とはいえそれらを買えるくらいの経済力はあるが、艦娘優先にした結果だ。 #魔法使い提督

2015-01-23 22:49:48
CF型マシニーカhir @hir_CF

「…上手なのだな」 「これでも野営で鍛えているからな。では頂こうか」 テーブルにつき、朝食開始。 黙々と食べ物が消費されていく。 #魔法使い提督

2015-01-23 22:52:20
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「先ほどは済まなかった」 朝食の後。磯風が切り出した言葉に提督は首を傾げた。 「できると思ったのだ。…が、結果は見ての通り。体の隅々が思い通りに動かない」 「その体に馴染んでいないのか」 提督は心底驚嘆していた。磯風の動作はごく自然で、どこにもぎこちなさを感じない #魔法使い提督

2015-01-24 19:19:55
CF型マシニーカhir @hir_CF

「ああ。いざというとき、これでは不安だ」 不安そうな磯風。 「まあ、おいおい慣らせばよい。今日は訓練がてら海上護衛はどうだ」 「ご命令のままに、提督」 冗談めかして磯風は返した。 #魔法使い提督

2015-01-24 19:39:40
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「というわけで、れっつごー!なんだから!」 ぷにぷにのお腹がそう宣言する。いや間違えた。ぷにぷにのお腹の軽巡がそう宣言する。 最強の脂肪装甲(他称)を誇る軽巡阿賀野だ。 「おー」 やる気のない返事。 「もーっ!もう一回!」 「おー」 文月のやる気ない掛け声であった #魔法使い提督

2015-01-24 19:46:51
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「…大丈夫なのだろうか?」 「たぶん」 心底不安そうな磯風に、浜風は答えた。 ちなみに阿賀野は練度1。文月は73である。 勿論阿賀野に旗艦など無理だから指揮は文月だ。 「まあ、我々にとっての脅威はほとんどありません。貨物船をしっかり守りましょう」 「分かった」 #魔法使い提督

2015-01-24 19:51:22
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――でも実はすごく危険だったりして。 等と考えているかどうかは定かではないが、潜水カ級は、他数隻の配下と共に航路で待ち構えていた。 単縦陣。仮に先頭が輸送船を仕留めそこなっても、後続が撃沈できる必殺の構えである。 #魔法使い提督

2015-01-24 19:59:03
CF型マシニーカhir @hir_CF

「…うん?」 「どうした、磯風?」 無線を通じて聞こえた磯風の声に、浜風は疑問を呈した 「嫌な予感がする。敵対的な気配が」 「気配?」 浜風は思案。そこへ文月の声 「う~ん。阿賀野~。水偵~」 「え?は、は~い」 このメンバーでは最も練度が高いだけあって判断が早い #魔法使い提督

2015-01-24 20:07:46
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潜水カ級は、飛来する水偵に発見された事を確信した。このまま攻撃を行うか? 僅かに考え、攻撃を決意。 狙いは貨物船。護衛の艦むすを沈めるのは難しいが、貨物船はカモだ。 無線で仲間に連絡すると、行動を開始 #魔法使い提督

2015-01-25 14:42:22
CF型マシニーカhir @hir_CF

「どうする?」「単横陣~」 即座に貨物船を中心とした単縦陣を組む一同。 息詰まる時間が訪れる。―来た。 「狙いは船だよ~。回避運動~!」 このご時世、普通の船と言えども操舵手は腕利きだ。素早く舵を切る。が、巨船は中々向きが変わらない。 #魔法使い提督

2015-01-25 14:46:52
CF型マシニーカhir @hir_CF

針路上に航跡。 「魚雷だ!」 磯風の叫びに、一斉にあわただしくなる。 深海棲艦の(そして艦むすの)魚雷は直進しかしない。射線から外れれば回避は可能である。 そして貨物船は既に舵を切っていた。それは魚雷の魔の手から逃れたという事だ。 #魔法使い提督

2015-01-25 21:16:04
CF型マシニーカhir @hir_CF

「次、来ちゃう~!」 阿賀野の声に磯風は爆雷をセット。前方に投射する。 「それでは当たらないぞ!」 何をしているのか訝しむ浜風の視線の先で、ちょうど魚雷と交叉する位置に爆雷が着水。爆発。 「なっ…」 爆雷と魚雷の衝突。両者は木端微塵だ。 #魔法使い提督

2015-01-25 21:18:45
CF型マシニーカhir @hir_CF

「――少し遠いが、なんとかなるか」 呟くと、磯風は水面を"滑った" 特殊な歩法で一歩の距離を短縮。その積み重ねは疾風のごとき動きとして顕れる。 ほんの数秒で敵潜水艦の真上まで行くと、手づかみした3式爆雷を投下。そのまま通り過ぎる。 ―爆音 #魔法使い提督

2015-01-25 21:28:18
CF型マシニーカhir @hir_CF

「ほへ~…」 ぽかーんとしている阿賀野。文月と浜風も驚愕を隠せない。艦むすの限界を超越したあの動きは、提督と同じく超人の類―― 「次が来るぞ!」 磯風の叫びに正気に返る一同。それぞれは持ち場で本分を尽くし―― #魔法使い提督

2015-01-25 21:51:09
CF型マシニーカhir @hir_CF

「お疲れ様でした」 無事目的地に到着した一同は現地で一泊。新たな積み荷を満載した貨物船を護衛して帰途に。 帰りは戦闘も特になく、平穏無事であった。 「はぁ~凄かったねえ」「確かに」「うんうん。」 当の磯風は、まさか自分が話題になっているとは思っていないようだった。 #魔法使い提督

2015-01-25 21:59:22

おまけ

CF型マシニーカhir @hir_CF

タグの #魔法使い提督 #暗礁艦隊 の違いは、前者は基本魔法で解決し後者は基本艦むすが解決する。前者の場合でも魔法使い提督が主役でない事は多々あるが、魔法は大抵出てくる。 両方とも同じ鎮守府でのお話。

2015-01-25 22:42:59