【ニンジャスレイヤー二次創作】 司祭廃棄 #3
さっと身をひるがえして、ドアの外へでてふせた。しばらく様子をみたが、なにもおこらなかった。おどかしやがる。おれはもうひとくちサケをあおった。 それはまちがいだった。ああ、そうだとも。かんぺきにしらふで、ここへこなかったことがまちがいなのだ。 R132
2015-02-05 21:19:24なぜ敵のすみかへむかうのにサケが必要なんだ?おまえはしっかりしているつもりでも、ほんとうのところ、あたまがぼうっとしているんだ。よくみりゃ、足どりはおもく、みぎにひだりによろけてる。めも、みみも、しらふよりもずいぶんとにぶくなっている。 R133
2015-02-05 21:32:09だから、敵がこっそりうしろから近づいても気付きやしない。そら、強烈な一撃だ!いわんこっちゃない、おれはなにもできずに倒れこんだ。痛みを感じるまえに、おれはやみにつつまれた。まっくらやみだ。そしてなにもわからなくなった。 R134
2015-02-05 21:34:29だれかがおれをゆすぶっている。そいつの顔をみてやりかったが、ひかりがさっとさして、おれのめをくらました。めを細めるとやっとみえてきたが、まばたきするたびに顔がかわってしまうのだ。そいつはおとこだっり、おんなだったり子どもだったりした。 R135
2015-02-07 14:36:20おまえたちはだれだ?なんでそんなにうらみがましい目をしているんだ?なにをきいても答えやしなかった。ただ、じいっとおれをみつめるだけだ。その目をみかえすと、なんでうらみがましいかおれはわかった。みな、殺されるにんげんの目をしているのだ。 R136
2015-02-07 15:04:09そうだ、やつらはおれが殺したにんげんだ。そんならこれは夢だ。くそったれな夢だ。やにわに目があいた。現実の光がおれを照らしていた。それから現実のくさりがおれをつないでいた。おれはイスにしばりつけられているのだ。 「おきたかね?」 やけに通るこえがした。 R137
2015-02-07 15:19:10声をだしたやつがみえた。神父が着るような、辛気くさい黒服のおとこだ。そいつはメンポをつけ、ぼうしをかぶった。 「ドーモ、スカーシンメトリーです」そいつはアイサツした。「きみはインターラプターだね?」 「ドーモ、スカーシンメトリー=サン。サカキ・ワタナベです」 R138
2015-02-07 15:32:00スカーシンメトリーは首をふった。 「わたしにはうそをつかなくてもいいんだ」 「うそだと?」 「こころをひらきたまえ。いつわりのない語りあいは、相互理解のかなめだよ」 イカれたことをするやつはイカれたやろうだ。殺し合いのあいてを理解してどうしようってんだ。 R139
2015-02-07 15:41:29「おれを理解したいなら、この鎖をはずせよ。おしゃべりするより、ずっとてっとり早くてかんたんな方法があるぜ」 「わたしをなぐりたいのかね?」 みすかされていやがる。 「それはあとにしよう」 スカーシンメトリーは部屋のすみへいった。そこには檻があった。 R140
2015-02-07 16:05:59檻のなかにはおんなが何人かほうりこまれていた。スカーシンメトリーはそこからひとりを選び、ひきずりだした。おんなの顔はひめいの形にこおりついていた。のどがひくひくとうごき、床にしょうべんの後をひきずった。 「語りあいにはつまみがあるとよいと思わないかね」 R141
2015-02-07 16:20:05「酒や、お茶のようにね。」 スカーシンメトリーは女を手術台のうえにしばりつけた。 「わたしたちのばあいは、これだよ」 スカーシンメトリーはおんなの胸のまんなかに、十字にきずをつけた。それから、自分のてのひらにもおなじ大きさのきずをつけた。 R142
2015-02-07 16:29:42ふたりの傷からは血がもりあがり、ひかりを反射しててらてらとひかった。 スカーシンメトリーはそのふたつの傷をあわせた。ふたりの傷からでた血はのびあがり、まざりあって、それから傷口へもどった。 「これはフィアカタリスト・ジツといってね、ジツをうけたもののいたみが R143
2015-02-07 16:45:08わたしにも伝わってくるようになるのだ」 なんときみょうなジツだろうか。おれにはそのジツのつかいみちが、ちっとも思いつかなかった。 「このジツは、楽しむためにも、実用的な面でも、実にすばらしい役目をはたしてくれるんだよ」 R144
2015-02-07 16:57:26それから、スカーシンメトリーはたっぷりと時間をかけて女をいたぶった。 「こういうしごとは、とても繊細なたぐいのものだということはだれにでもわかるだろう。」 スカーシンメトリーはおんなに、ありったけの力で声をあげさせ、体のそこいらじゅうからひどい音をさせた。 R145
2015-02-07 17:13:43「やり過ぎてはいけない、けれども、これならひと晩かふた晩はたえられると思わせては具合がわるい。もうこれ以上、ひとっときも生きちゃいられないと思わせるようでなくてはいけない」 さいごに、おんなの腹からなかみが床にごっそりとこぼれおちておわった。おんなはそれきりになった。 R146
2015-02-07 17:27:42むねの悪くなるながめだった。こんなひどいみせものは、生まれてこのかた、みたことはなかった。またみたいと思うことなど、ぜったいにないだろう。 「わたしのあたえるしろものが、どれほどのものか、あいての身になって感じることができるとは!どれほど助けになることか!」 R147
2015-02-07 17:46:58スカーシンメトリーはおれのかたに、そっと両手をおいた。 「わたしのしごとをどう思うかね?」 「どうもこうもあるもんか、気分がわるいね」 「それだけか?」 それだけだ。やつのやることなぞ、おれの機嫌をそこねる以外になんの力もありやしないさ! R148
2015-02-08 08:14:49スカーシンメトリーはゆかいそうに笑った。 「ふつうの人間はそういうふうに言わないものだよ。おぞましいとか、やめてくれとか、わたしのすることが、人間にはどんなに間違ったことなのかを言うものだよ」 それはにんげん、モータルの言いそうなことだ。 R149
2015-02-08 14:29:22「きみもわたしも、精神性においてはモータルとはまったくことなる生きものになっているんだよ。ニンジャを理解できるのはニンジャだけなんだ」 スカーシンメトリーのひとみは、ちぢんだり、ひろがったりしていた。モータルもニンジャもないもんだ、あたまのネジをどっかへやっていやがる。 R150
2015-02-09 13:18:06「だからきみは、わたしにうそをつく必要はないし、なんでも話してよいのだよ」 「なにを話せばいいってんだ」 「神についてはなしてほしいのだ」 おれはぽかんとくちを開けた。こいつはぜんたい、なにを言っているんだ? 「きみは信仰をもたないのかね?」 R151
2015-02-09 18:59:37「ブッダならモータルのめんどうをみるので手いっぱいなんだろうさ、おれのもらいのひとつも増やしてくれやしない。やつはモータル専用だ」 おれがそういうと、スカーシンメトリーは声をだして笑った。 「そうだとも!わたしの知っている神はみなモータルのための神だ!」 R152
2015-02-09 21:08:47「では、わたしたちのための、ニンジャのための神はどこにいるのだろう」 しったことか、こいつはしんそこのあほうだ。 「神さまのきにくわないことをたくさんやれば、てめぇに天罰くだしにくるんじゃないのか」 「いろいろやってみたんだがね、さっぱりさ」 R153
2015-02-09 21:36:49おっと、クソ。おれはマズいことをいっちまったかもしれない。スカーシンメトリーはあほうだが、頭はわるくない。おれはやつにろくでもないことをさせるヒントをあたえちまったかもしれん。 「そうか、わたしはモータルの神の禁忌ばかりをきにしていたのだ」 R154
2015-02-09 22:09:46ちくしょう、やっぱりだ、かんべんしてくれ。 「ニンジャの神の禁忌をやぶればニンジャの神の奇跡はおこるのだろうか?」 スカーシンメトリーのおれの視線のいみがかわっている。友だちをみるめじゃない、これから、ちっぽけな虫けらをばらばらにしてあそうぼうっていう子どものめだ。 R155
2015-02-09 22:21:25「きみも、もしかしたら信仰をもてるかもしれない」 おれはごめんこうむりたい。 「きみがいれば、神を感じることができるかもしれない」 そんなものはひとりでやってくれ。 やつは自分のてのひらと、おれの胸に十字の傷をつけた。 R166
2015-02-09 22:50:16